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ガレージキットって何ですか?

📎DIY、造形、工作、フィギュアに興味ある方はぜひ。noteでは初耳という読者も多いと思う「ガレージキット」をざっくりご紹介します。


🛠ちょっとDEEPかなりDIY

このDISCOVERY_blogでメイン記事に扱っている「ガレージキット」は、70年代後半に模型や造形が好きな人たちの中で登場した、レジン製の未塗装・要組立キットです。自家製キットとも言い換えることができます。

ガレージキットの定義として


①アイテムないし熟知した人間が原型を作ること。
ゆえにマニアライクであり直接的な説得力を購買層に対して持つ
②採算は二の次。
まずリリースする側がその商品化を望んでいること。制約による妥協はなく、価格は品質に合わせて決定される極めて低いニーズでも商品化の可能性があること。
③プラスティックモデルに代わるものとして誕生したが、アイテムごとに適した素材を用いることで、プラスティックモデルにはなり難い物でも商品化が可能。
④特定の立体作品の複製的要素が強いこと

ガレージキット誕生物語/著:小田雅弘、発行:株式会社トイズプレス

ないものは自分で作る気概で、自主制作から生産まで行い、造形イベントなどで販売(または頒布)されています。近年ではデジタルモデリングから3Dプリンタによる出力品をキットとして販売されることも増えています。

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DISCOVERY製ガレージキット(未塗装・要組立)

制作・展示・作家交流は、つくり手にとって最大のアクティビティであり活力源です。

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彩色完成例

画像は組み立てて塗装したもの。イベントでは彩色例として展示します。


💁‍♂️ガレージキットの工程をざっくりご紹介

では、キットはどんな工程でDIYされるのか?ご紹介します。

①原型を作る

石粉粘土やオーブン粘土、パテなどで造形します。近年ではデジタルツールで造形する人も増え、データを3Dプリンタで出力した物が原型になります。

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オーブン粘土とパテ、デジタルモデリングで制作

②ゴム型を作る

『①』の完成原型のシリコンゴム型を作ります。雄雌で挟み込む、たい焼き型のイメージです。

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個人的にこの作業が一番しんどい

レジン樹脂を流すために湯口とゲート(通り道)を作ります。レジンが硬化する間に気泡が残らないように、パーツを型へどう配置するか悩むところです。デジタルでは『①』の出力品がキットとして扱われることもあります。

③複製する

『②』のゴム型へレジン樹脂を流し込み、硬化したら出来上がりです。
ゴム型の劣化とダメージもあり、ひとつの型で複製できるのは20〜50個くらいでしょうか。パッケージやラッピングして商品にします。

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テストショットと呼ばれる一発目の流し込みでできたパーツ

この後はSNSで商品紹介や増産などもあります。この工程はもはやプロダクトと呼べるでしょう。

じゃ、キットはどうやって組み立てるの?
これについては後日、あらためて記事にしたいと思います。


🎪造形イベントがあるんです

ガレージキットはどこで販売されているの?

ここまで読むと、メーカーでフィギュア化されていない、あのアニメや漫画、特撮や映画のキャラクターを作れる!そして販売できる!とお思いの方もいるでしょう。

作ってご自身だけで楽しむのはファンアートになりますが、個人で自由に販売はできません。既存のキャラクターには権利があり、法人同士の契約が必要です。個人の販売は違法になりますので、やっちゃダメです。

国内では造形イベントがあり、既存のキャラクターを扱う場合、「当日版権申請」という厳正な手続きを経て制作・販売することができます。イベント当日に、その手続きをクリアしたキャラクター造形が展示・販売されています。

いくつか国内の造形イベントを参照します。

▼ワンダーフェステイバル 国内最大級のイベント

▼トレジャーフェスタ・オンラインオンライン開催経験豊富なイベント

▼AKガーデン ミニチュアやドールが中心のイベント


この他にも、ソフビトイ・玩具が中心のイベントや、オールジャンルのクリエイター向け大型イベントなど、ガレージキットを出品できるイベントがあります。版権申請については各イベントで条件が異なりますので募集要項は必読。

イベントでは、ディーラーと呼ばれる出品者がテーブルに彩色完成見本を展示してキットを販売します。お客さんはもちろん、ディーラー同士の交流も多く行われ、次の活動へのモチベーションに繋がっています。

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ワンダーフェステイバル2018冬の展示

この空間はぜひ体験してほしいです。昨今の社会情勢から「行こう!来てね!」と強く推せないのが残念であります。


🎉これは楽しいものです・ハイ。

「DISCOVERY」と屋号を掲げてディーラーをスタートし、おかげさまで活動歴10年が過ぎました。
初参加では、売り物全部持ち帰ってくるという厳しさを経験しました。今ではたくさんのお客さんに支えられ、より良いものをプロダクトできるよう励んでいます。

皆さんにはワクワクしながらパーツを手にして、組み立てて塗る工程を楽しんだり完成を喜んでもらえたら、ディーラー冥利に尽きます。

制作ではトライアンドエラーの連続ですが、最近は「楽しむ」という言葉でまとめちゃってます。一品一品、振り返るとその言葉が最初に浮かぶんです。鯔のつまり、楽しんでるんだと。

そう、ガレージキットは楽しむものです。

創作の喜びと、自身の内にある広大な世界の育みが、ガレージキットプロダクトにもあると信じてnoteで発信したいと思います。約40年の歴史を持つ、ニッチな世界を知っていただけら嬉しいです。


最後まで読んでいただきありがとうございます。



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