父は蝶になって私に会いにきた。
不思議な体験をした。
私の思い込みかもしれない。
だけど、わたしは信じてる。
あれは、父だったんだと。
誰にも言えるわけがない。
思い込みかもしれないし、気のせいかもしれないし、幻覚かもしれない。
だけど、「note」は自由帳。
ここには、私が感じたことを書けばよい。
他の人からすると可笑しいかもしれないけど、書いてみよう。
あれは、1年まえのことだった。
四国の大学に通う娘から、バイクの調子が悪いと連絡がきた。
ならば家にある原付バイクと取り替えに、バイクを持って行ってやろうと主人が言い出し、随分久しぶりに娘の下宿先へ向かった。
軽トラにバイクを固定して、港へ向かう。
フェリーに、軽トラで乗車して、四国へ向かう。
久しぶりのフェリーから眺める海。
遠出することはめったにないから、心はウキウキしていた。
フェリーのデッキで、いつものようにくつろぐ。
なんだか気分がすぐれない・・・。
コロナ禍のせいか、客は少なく、デッキには私ひとり。
天気がよく、春らしい太陽の光で暖かい日だった。
気持ちはとても穏やか・・・。
めったに父のことを想わないのに、そのタイミングに限って、父のことが頭をよぎった。
元気かな・・・
意識が朦朧としているわけではなかったけど、ぼーっと父のことを考えていた。
と、そこへ黄色の蝶がヒラヒラとやってきた。
お父さん・・・
な、わけないよな・・・。そんなバカなこと・・・。
蝶を目で追うと、ヒラヒラと海のほうへ舞っていってしまった。
それから、私は自分が熱っぽいことに気づく。
もしかして・・・コロナ?
確信は持てないが、いまどき体調を崩すってことは・・・。
不安は尽きない。
主人には伝えるが、場所はフェリーの上。
他の人と距離を置くことしかできない。
フェリーが着いて、娘の住む町へと車を走らせ、助手席から景色を眺めていると、心なしか体調も良くなってきた。
気のせいか・・・。
娘のバイクを無事取り替えて、帰路に着く頃にはすっかり体調は良くなり安堵する。
無事、家に着き、その日、眠りにつこうとしているところへ、いっぽんの電話が主人の携帯へかかってきた。
お父さんが亡くなったよ・・・
弟からの電話だった。
たまたま数日前に新聞折り込みの求人のチラシで、初めての試みで募集をするために載せた主人の携帯番号を、妹が見つけてかけてきてくれたのだという。
そのとき求人をかけたのは、地元のみならず広域版のほうを選択したことといい、掲載したタイミングといい、いろんな偶然が重なって、携帯番号は知らされた。
教えられた葬儀場は、比較的新しくできたところで、主人が、娘へバイクを送り届ける道中で、なぜか気になったところだったという。
私は全く眼中になかったけど。
次の日、頭痛はしたが、熱はなく、咳をするでもなく、のどが痛いわけでもなかったので、体調を少し崩したかなと少し気にはなったが、父との最後のお別れのために、葬儀場へ向かった。
葬儀は母も妹もいないなか、簡素に執り行われ、火葬場へ向かった。
そのころから、頭痛薬が効いていて安心していたのに、頭痛がひどくなって、とうとう身動きがとれなくなった。
帰路に着いてから、私は1週間あまり、熱にうなされた。
PCR検査は2回受けに行った。
更年期障害の一環だろうか・・・と、婦人科へも通った。
どちらも問題なしだったにもかかわらず、あれほどの高熱をだし、あれほど関節の節々が痛くなったことは、それまでなかった。
1週間余りの時間を要して、体調は回復し、畑へも復帰したが、その後の体調は何てことなかった。
むしろ、絶好調で、あれ以来、体調を崩したことはない。
後にあの日のことを主人は言う。
義父さんと、義祖母さんが、お前を迎えにこようとしてたんだよ。
義祖母さんは、お前のこと、いちばん可愛い孫だっていってたもん。と。
まさか(笑)・・・でもそうだったりして!(汗)
つい最近、フェリーの上で出会った蝶の話しを主人にした。
それは、ありえへんやろ。そんなところで、蝶が飛んでるワケないやん。
と返ってきた。
だけど、私は、信じてる。
普段、スピリチュアル的なことは、一切信じないし、経験したこともなかったけど、あのときのことだけは。
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