【ディスカヴァー春の応援企画】#わたしの上京物語(香川県出身/三谷の場合)
ディスカヴァーで「上京」といえば『上京物語』!
ということでちゃっかり最後には宣伝もしつつ(笑)、弊社の社員の「上京」の思い出、
「#わたしの上京物語」を3日連続のリレー形式でお届けします。
この企画の最後を締めるのは、編集部・三谷の「#わたしの上京物語」です。
===
1993年、春。
生まれ故郷の香川を出て、東京で一人暮らしをはじめた。
本当は、東京に来るはずじゃなかった。
その1年前の春から、京都の大学生になっているはずだった。
いつからかわからないけれど、大学は京都に行くと決めていた。
修学旅行で京都に行ったからかもしれない。
そして、高3の冬、当たり前のようにその大学を受けた。
しかし、結果はまさか(と、当時の自分はそう思っていた)の「不合格」……
くやしくて、志望校を東京の大学に変えた。
恩師も、「こっちの大学の入試問題の方が、きみに合ってる」と言ってくれたし。
実際に見てみると、そうなのかもしれない。
1年間、退路を絶って、勉強ばかりしていた(そして太った)。
夏休みも、10時間ぐらい机に向かっていた気がする(そして太った)。
何より、先に大学に行った同級生がまぶしく見えた……。
そして、屈辱の1年が過ぎた。
忘れもしない、1993年3月10日。
なぜか、合格発表を見に行けば自分の番号があるような気がして、
父親と一緒に、香川からはるばる東京まで見に行った。
そうしたら、本当に、あった。
(なかったら、どうするつもりだったんだろう……
父子ともにうなだれて帰るしかない……)
当時は携帯もない時代、公衆電話の行列に並んで、
母に電話したことを思い出す。
合格発表を見に行ったその足で、確か不動産屋さんも見て回ったように思う。
とにかく、父も子も浮かれてしまっている。気も大きくなっている。
勢いにまかせて、月8万円もする新築アパートを契約したのだった
(いま思えば、なんともったいないことを……と思う)。
田舎者は思った、東京の家賃は高いんや……と……
そして、その夜。泊まるところを予約していなかった
(というか、田舎者には「予約」という概念がない)。
どこに泊まろうか……まったく土地勘がない父子。
公衆電話の電話帳で「新宿」「ホテル」で適当に探して、
「新宿プリンスホテル」に泊まったんだった。
一泊4万円も出して……
(いま思えば、なんともったいないことを……と思う)。
田舎者は思った、東京のホテルも高いんやな……と……
***
あれから、この春で、もう27年。
この年数に驚く。
香川で過ごした時間よりも、東京にいる時間の方が長くなってしまった。
すっかりおっさんになったなあ。。。
新卒で入った会社で40代半ばの男性はもれなくおっさんだったが、
今の会社の20代の若い子たちは、僕を相当なおっさんだと思ってるんだろうな……
それはさておき、
もしあのとき、京都の大学に行っていたら、どうなってたんだろう……
と思うときもある(いや、そうでもないか)。
最後に。
28年前、急に行き先を断たれ、この先どうなるかわからなかった
当時の自分に会うことができたら、こう伝えてやりたいと思う。
心配しなくていい!
28年後の自分は、東京でそこそこおっさんになったけれど、
そこそこ幸せにやってるよ、と。
===
3日間お付き合いいただきありがとうございました!
明日からは、「#わたしの受験記」のリレー企画があります!
お楽しみに!
▼『上京物語』をはじめ、その他喜多川泰さんの名作をご紹介
https://d21.co.jp/column/kitagawa_yasushi/