Laugh Like Ghoul
夜の帰り道、腹が減ると人気のないその店に行き、
煙を溶かした液体のような酒を飲んでごまかした。
白昼夢をみるように、低速の思考回路を楽しむ。
このあたりの土地は広い湾から得られる海産物で栄えた街だった。
窪地に建てられた建物の間をたくさんの人々が行きかっていた。
酒を飲んでいる間は、
頭からシャワーを被っているような懐かしい気分になった。
現実を忘れるほどではなくとも、どこか綺麗に洗われた気持ちになる。
かすかに、ドアの外で声がした。
外にいる奴らが私のにおいに気づいたかもしれない。
今日またこのラフロイグが飲めてよかった。
いつもこればかり飲んでいた。
わたしは自分が飲み干した酒瓶を見て、
しかしその文字がもう読めなくなっていることに気づいた。
おかしかった。
そのままわらいながら、ドアのほうへむかった。
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