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ナミビアの塩湖をわたれば

南部アフリカのナミビア🇳🇦に出張中です!

1/13-14(月、火) 晴れ、晴れ
二日間かけて、アフリカはナミビアに来た。

月曜の夜に成田を出て、カタール(ドーハ)まで十二時間。乗り継ぎが三時間あって、南アフリカのヨハネスブルグまで八時間半。最後にヨハネスブルグからナミビアまで一時間半飛んだ。ホテルでシャワーを浴び、落ち着いたタイミングで日記を書いている。長旅で、身体の芯がこわばっている。

ナミビアは乾燥した、人の少ない国だ。面積は日本の倍だが、人口は神戸市と同程度。空港からホテルまでの移動中も夜の明かりは少なかった。夜空に雲はなく、星が見える。今は雨期だが、雨は何週間も降っていない。去年は百年に一度の干ばつで家畜の牛も痩せてしまったと聞いた。

ナミビア着陸直前。
乾いた大地と低木の緑が入り混じる

移動日は何日間も物事をぼうっと考えられる貴重な時間だ。今回は移動中に空港のことを考えた。成田空港でもナミビアのウインドフック・ホセア・クタコ空港でもなく、世界中の空港という場所のことを。

旅を始めた頃は空港が好きだった。大学のある札幌は新千歳空港から名古屋に帰省するだけで浮き足立つほどに。ぼくが当時を後悔し、でも同時に、だから今があると思うことが一つある。それは自分の内ではなく、外の世界にばかり目を凝らしたことだ。内省よりも刺激を、潜水よりも遠泳を求めた。いろんなことを知らなくてはと焦っていた。空港はどこかに行く人とどこかから帰る人でできている。大学生だったぼくは空港に憧れた。そこに冒険と非日常があったからだ。

同じ理由で、最近は以前ほど空港に興味を持たなくなった。
アフリカ出張はこれで十一回目だ。慣れたせいもある。でも、それ以上に、空港という非日常よりも、ありふれた日常にぼくの関心が移ったのだ。

空港という非日常にいる人たちはみんな似ている。外見は違うが、ゲートを探しているか作業や食事で時間を潰しているかだ。疲れた顔の人が多く、楽しそうな人は少ない。それよりも近所のスーパーにいる方がずっと楽しい。夕方になるとパックの寿司に値引きの黄色いシールが貼られる。せいぜい二割引とかだけど、稀に半額ともなると客たちは身を乗り出して寿司を狙う。今夜何を食べるかというその身ぶりに生活を感じる。知らない生活を見つけたいからこそ、旅をするのだとも。

飛行機の中では「博士と彼女のセオリー」と「インターステラー」、「#居酒屋新幹線2」を観た。感想をまた書きたい。




1/15(水) 晴れ
ジャカランダ(jacaranda)の木陰🌲




1/16(木) 晴れ
中央部の首都ウィンドホックから北部の街オンダングワまで500kmを北上する国内線に乗った。アフリカ最大の塩湖、エトーシャ塩湖を眺める。地図上でも写真でも湖のように見えるが、水は完全に干上がっている。

エトーシャ塩湖

塩湖を越えると、家が点在する盆地が姿を現した。家と家が離れているため、何十キロと離れた先も同じ村だそうだ。家によっては畝を引いて何か育てている。あとで主食のマハング(Pearl millet、トウジンビエ)だと教えてもらった。

点在する家





1/17(金) 晴れ
日本を出発して一週間。今の所一番意外なのは、バイクを見かけないことだ。アフリカはどの国もバイクタクシーだらけと思い込んでいたが、ここは車ばかり。しかもどれも比較的新しい車に見える。中古車の輸入規制があるそうだ。

土地が広く、人がいないので、ビルが少ない。だから、空が広い。おかげで恐怖は感じないけれど、車のメーターを見たら街中なのに100km出ている!

視界が白い。砂がビーチのように砂質で、白いのだ。「日陰でも、砂の照り返しで顎の下が焼けるよ」と言われたので日焼け止めを念入りに塗り込んで調査に行く。

北部の降雨量は300~600mmのステップ気候。草丈の短い草原が広がり、家畜が放牧されているが、乾季(5~10月)にはこの草もなくなると聞いた。




1/18-19(土、日) 晴れ
木曜日の夜だが、ホテルのレストランで魚を頼んだら、ヘイクというタラ目の白身魚が出てきた。パン粉をつけて、焼いてある。
ナミビアは水産業が盛んだそうだ。伊勢海老も獲れる。日頃内陸のウガンダにいる身としては、海魚が食べられるのは最高!

新しい国に来るのはカロリーを使う。夜、少し時間が取れたので、平山夢明「ダイナー」を読んだ。殺し屋たちが訪れるレストランに堕ちた若い女性の話。この世のどこかにある奈落の話。痛みと絶望の話。美味しいハンバーガーの話。生きることは食べること。食べることは旅をすることだ。



(おわり)


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