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マイホームは円い家|ウガンダ生活

ウガンダ🇺🇬から来週帰国です〜

今週もこんにちは。今日は移動日です🚗

アチョリ地域の円い家(ハット)

僕が今いるのは、ウガンダ北部アチョリ地域。初めてここに来た時、まず日本との違いを感じたのが「家」でした。藁葺き屋根の円い家。未知というより、小学生の頃に訪れた博物館みたいだと思ったのを覚えています。今週はそんな丸い家の話。

アチョリ地域の農村風景

円い家(ハット)の間は写真のように近接していますが、じつは、一軒に一家族が住んでいるわけではありません。一家族がいくつもハットを持っていて、台所や寝室、物置きなど用途別に分けられているのです。

アフリカも最近は日干しれんがとセメントで固めた家が増えてきていて、ハットで多くの家族が暮らす地域は珍しいようです。

ハットは5メートル四方ほど。サイズも作りも似ているのが印象的です。材料さえあれば工期は一週間と聞きました。日本の建売住宅みたいなものなのかも。

最大の謎はなんといってもこの形。なぜ円いのか? 家具が置きにくくて住むには不便じゃないかと思ってしまいますが、現地の人に聞いても理由は分かりません。何か理由があると思うんだけど。

もう一つの謎は地域性です。不思議なことに、同じウガンダでも南部ではハットを見かけません。北上してアチョリ地域が近づくとハットが増えていきます。

では、ハットはアチョリ地域特有かというと、他の地域にもハットはある。アチョリ地域からナイル川を渡った先は西ナイル地域ですが、西ナイル地域のハットは円ではなく四角なのです。お雑煮のお餅の形が関東と関西で違うようなものでしょうか(だいぶ違う気もするけど)。

西ナイル地域のハットは四角い

ハットを建てるには

どこの国でもマイホームはお金がかかります。このハット、建てるのにいくらかかると思いますか?

オーソドックスな丸い小屋
(写真はどれも許可を得て撮っています)

正解は一式約150万ウガンダシリング(約6万円)。材料は壁のれんが、壁を塗るための土、屋根の骨組みにする竹、仕上げに床に塗る牛糞など。屋根の藁にはイネ科のSpear Grassと現地でAbiと呼ばれる二種類の植物が使われます。

地代、材料の運搬費、労賃なども考えるとリーズナブルな価格設定ですが、アチョリの人々には大金です。平均世帯年収が約4万円なので、1軒建てれば年収が吹き飛びます。

日本で住宅ローンを組むように、アチョリにもこれだけの大金を一括で払える人は多くありません。ローンの代わりに、農村ではよく下の写真のような建設途中の家を見かけます。

作りかけ

面白いのが、このハットの骨組みは、まず地面で作ってからすぽっと帽子みたいに被せるそうです。かわいいですよね🎩

ハットの個性いろいろ

ハットには、よく見ると一軒一軒個性があります。村に行くと、ハットの個人差や地域差を見るのが楽しい。例えば、下のハットには絵と文字が書いてあります。

Gang ber lutino=「よい子の家」という意味

下の写真のハットは壁を塗ってないですね。屋根の藁の長さも不揃いです。でも周囲は掃除してあるので、倉庫か何かとして使われている模様。

単層タイプ

屋根を丁寧に葺いて多層にしているものもあります。多層は最初に建てるのが手間でお金もかかりますが、長持ちするのがメリット。屋根が一層だけだと風雨に一年でやられてしまいます。ハットづくりにはメンテナンスコストも重要です。

多層タイプ+柱

そうそう、上の写真の謎の柱。ずっとただの装飾だと思っていたのですが、屋根を支える支柱になっているそうです。この柱があると、屋根が直接壁のれんがの上に乗らなくて済む。この柱をのぞき込むと下の写真のようになっています。

屋根の骨組み(木)と壁(れんが)の間に隙間がある

なぜわざわざこんな構造に? と聞いたら、こうすれば、屋根の藁がれんがの壁を這い登ってくるシロアリに食われにくいとのこと。このタイプの家はアチョリ地域でも気温の高い乾燥した東部の県に多いです。暑い分、風が通りやすい構造が好まれるのもあるのかも。

僕にとってアチョリの丸い家はまだまだ謎に満ちた存在です。いつか自分でも建ててみたい。また詳しいことが分かったらお伝えしますね。みなさんも良い一日を!

(おわり)

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