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本のむし

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記事一覧

【おすすめ本】運命は、子どもが石を蹴るように(コルタサル/石蹴り遊び)

今回紹介する本はとにかく変わった一冊。まずは書き出しをどうぞ。物語のふくらみが見事な、大…

吉川歩
2か月前
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【おすすめ本】読んだら、別の本になる(早瀬耕/未必のマクベス)

今週もこんにちは。日本は衆院選ですね。肌寒くなってきたそうですが、みなさんお元気でお過ご…

吉川歩
3か月前
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【おすすめ本】正反対の似た者どうし(J・オースティン/高慢と偏見)

今週もこんにちは。日本は涼しくなってきたと聞いています。秋でしょうか🌰 今週の一冊はジェ…

吉川歩
4か月前
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【おすすめ本】子供時代は知らない街角(山田詠美/晩年の子供)

子供の頃のこと、どれくらい覚えていますか。 例えば、幼稚園の通学路、友達との初めてのケン…

吉川歩
5か月前
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【おすすめ本】人類がはじめて月を歩いた夏だった(オースター/ムーン・パレス)

今週もこんにちは。今日は実家の名古屋に帰省してきます🙋 作家の訃報に接してその作品に触れ…

吉川歩
6か月前
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【おすすめ本】悪役と悪と悪いやつ(伊坂幸太郎/マリアビートル)

今週もこんにちは。ぶじに帰国しました🛩️ 暑いですね・・・ 今日の一冊は伊坂幸太郎さんの…

吉川歩
6か月前
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【おすすめ本】きみの空に一匹の猫がいて(大江健三郎/空の怪物アグイー)

今週もこんにちは。ウガンダ出張もあと二週間ほどです🇺🇬 このマガジンは同じ作家は二度取り上げないぞと勝手に思ってきたのですが、今回それを破ります。最近読んですごく良かった話があって、人に勧めたくなってしまったので。それは大江健三郎の短篇「空の怪物アグイー」です。 ▼▼今回の本(収録されている本)▼▼ この話、元々気になっていました。近藤聡乃さんの「A子さんの恋人」という漫画に出てきたからです。(「A子さんの恋人」は改めて紹介したい大好きな作品なので気になる方はぜひ。7巻

【おすすめ本】ひとの数だけ歴史はあるの?(バスケス/コスタグアナ秘史)

今週もこんにちは。早くに目が覚めてしまいました🥱ウガンダは朝の5時・・・ 「歴史は勝者が…

吉川歩
7か月前
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【おすすめ本】「アートは自由だ」と言うために(村上隆/芸術闘争論)

今週もこんにちは。ウガンダに来ました🇺🇬〜こちらは朝夕涼しく、過ごしやすいです。 今日紹…

吉川歩
8か月前
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【おすすめ本】50年かけて書く、15年越しに読む(埴谷雄高/死霊)

今週もこんにちは。今日は朝から仕事です。日曜日なのに〜GWなのに〜〜😭 それはさておき。き…

吉川歩
9か月前
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【おすすめ本】本棚の遠い女性たち(アトウッド/侍女の物語)

今週もこんにちは。関東はよく晴れた週末です🍡 今週の一冊はマーガレット・アトウッド「侍女…

吉川歩
10か月前
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【おすすめ本】僕が僕になるまでの長い助走(西加奈子/サラバ!・夜が明ける)

今週もこんにちは。日本に帰ってきました。思ったより、寒い! セーターを着ています。 帰路…

吉川歩
10か月前
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【おすすめ本】ことばに追われて、救われて(李良枝/石の聲)

今週もこんにちは。 李良枝(1955-1992)は韓国人の両親を持ち、日本で生まれた作家です。初…

吉川歩
11か月前
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【おすすめ本】「わからない」をしりたくて(古井由吉/杳子・妻隠)

今週もこんにちは。関東は今週大雪だったみたいですね。みなさん元気でお過ごしでしょうか。 今回取り上げるのは古井由吉「杳子・妻隠」。古井さんは「杳子」で1971年に芥川賞を受賞しています。新潮文庫のオビには、ピース又吉さんが「脳が揺れ比喩ではなく実際にめまいを感じました」という応援文を寄せています。 「杳子」は精神を病む杳子と男子大学生の壊れやすい恋を描いた作品。「妻隠」も男女間の機微がテーマですが、こちらは夫婦間で、二人の心の奥深くにあるズレが日常の中で炙り出されていきま