コーヒー豆、ヤドリギを手に入れる。
コーヒー豆氏が最初のコマで抱えているクリスマス飾りというのは、先日クリスマスカードのモチーフにしていたヤドリギ(チェコ語名jmelí)です。
(↑ちなみにダウンロード可能期間は来週金曜日の12月16日までとなっております)
クリスマスシーズンになるとチェコでは屋台でこのヤドリギの束がそこかしこで売られるようになります。
私は勝手にこのヤドリギはチェコとか広くて周辺諸国の伝統だろう、と思っていたのですが、上記の記事でパーリーメイさんに「イギリスで言うmistletoeでしょうか」とコメントをいただいたので、もっと広範囲で一般的なクリスマスの装飾である様子。
ちょっと調べてみたら、古くはキリスト教以前のケルト人の時代(古代ヨーロッパに広く居住していたと言われるケルト人は正確にいつ出現しいつ消滅したのかは未だ議論の的だそうで、「ケルト人の時代」と言っても一体いつ?と疑問に思ってしまいますが、ケルト人が現在チェコ共和国のある土地で生活していたのはだいたい紀元前6~1世紀だそうです)に聖職者が金の鎌でヤドリギの枝を幸せと愛を願って切り取ったのが始まりだとか、イエス生誕の際にヨゼフがイエスのために用意した揺り籠がヤドリギで作られていたのだが、のちにローマ人がイエスの十字架を作るのにもヤドリギを使い、ヤドリギはそれを恥じて萎縮し今の姿となり人々を善で囲むために存在するようになったからとか、由来にも諸説あるようです。
私はチェコに住んで今年で20年、生まれも育ちも生粋のチェコ人であるパートナーと同棲して14年半。
そのくせパートナーが伝統を重んじない人間だからか(人のせいにするな)どうもチェコの伝統には疎いワタクシ。
これまでこのヤドリギも買ってまで飾ろうとは全然思いませんでした。
ところが去年、クリスマス直前の墨絵教室で生徒さんたちがこぞってプレゼントしてくれたのです。
生の緑のものを二束、金に塗色されたもの一束。
さすがに三束は多いので緑のほうは他の生徒さんに一束譲りましたが、ヤドリギを抱えて帰宅するのは「ちゃんと伝統に従ってクリスマス祝ってます」アピールをしているようで嬉しいような恥ずかしいような(道行く人は誰も私のことなんか気にしてはいないと思いますが。)
生徒さんたちの説明によると、ヤドリギは家のどこかに(ドアに、という話もあります)吊るして12月24日の夜にその下で家族とキスをするとまた来年も家族みんな健康で幸せに暮らせるのだとか。
家に帰って嬉々としてその話を確認したのですが、パートナーの反応は
いや、本当に興味ないんだね…。
どこにどう飾ろうかとか相談しようと思っていたけど、勝手にやらせてもらうことにするよ。
ネットで検索してみると赤いリボンでくくられて逆さに飾られているのが多かったので、真似してみました。
もっときれいに飾れないものか。
生のほうと金のほうの長さが違ってバランスが難しかったんですよ…。
これで一年そのままにしておいたのですが
これ、一度飾ってしまうと毎年やらなきゃいけない気になってきますね。
今年最後の墨絵授業で誰もくれなかったら、買ってみようかな…などとケチ臭いことを考えております。
ちなみに今週の墨絵教室のテーマは来年の卯年への準備ということでウサギでした。
ここのところクリスマスの話が多くなっていますが、日本の伝統を忘れたわけではありません…とはいえ、本来干支が切り替わるのは旧正月(春節)なはずなんですが。
いくら「伝統、伝統」と騒いでも、いろいろな都合で「伝統」と呼ばれるものも塗り替えられていくものなのでしょうね。