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創作についての覚え書き

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描くとか創るとかいったことに関してとりとめもなく考えた記事を収納しています。
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記事一覧

浦島、海の客人と『はやて(全)』完成祝いに宴を催す。

はい!ということでワタクシ浦島Ru太郎、またしてもイルカの技意句さんを拙宅にご招待いたしました! こちらの一月の記事ではウミネコ童話集に収録されるgeekさん著の「はやて」に挿絵を描かせていただいた際の制作に関する諸々をご紹介したのですが、今回は、なんと! あの「はやて」が約六倍の長さになってウミネコ制作委員会発行のウミネコmini文庫『はやて(全)』の姿で誕生しました! 前出のgeekさんの告知記事にもありますように、mini文庫化に当たって、童話集に向けて描いた三枚

浦島、ときぞうに日本を教わる/『さよロテ』挿絵制作に関する覚え書き

先日2024年9月8日に開催されました文学フリマ大阪に向けてとき子さんが作られた二冊、短編小説集『ツーベンリッヒは嘘をつく』エッセイ集『さよならあの日のロッテンマイヤー』。 この二冊とつる・るるるさんの新刊『そばぼうろの夫婦』、文フリでお買い置きしていただいたウミネコmini文庫二冊、揃って今週チェコの私のもとに届きました。 全ての本の「届いたよ報告記事」は後日改めてしたためることにして(いつになるかな?)本記事ではとき子さんの『さよならあの日のロッテンマイヤー』(以下『さ

Hahnemühleと、戯れる。

これまでnoteでは画材について結構な熱量で語らせていただいていますが(暑苦しいことこの上ないとは思いますが、ま、興味のない方は最初から記事を開くこともないのだろうと開き直っております)、画材と言っても今まで私が語ってきたのは主に絵の具と墨と紙について。水彩画、水墨画、アクリル画、ペン画と浮気性なものでいろいろ描いているわけですが、お気付きでしょうか、私、色と紙に関してはうるさいのに筆に関してはほとんど言及しておりません。 なぜって、こだわりがないから。 ある程度のクオリテ

夏の龍、蓮より生ず/新画材を試してみた

「呉竹の顔彩(商品名『顔彩耽美』)を買いました」という話を出したのは確か今年五月の裏打ちの報告書。 水墨画は墨の濃淡だけで表現した絵が断然好みだけど、色も合わせられるようになったほうがいいのではないか、と以前から思っていて、探してみたらドイツAmazonで呉竹の顔彩セットを取り扱っていたので購入。 買ったはいいもののなかなか使い始められずにいたところ、最近になって某SNSでこの『顔彩耽美』をイラストに使っているスウェーデンのイラストレーターを発見し、「なんだ、普通に水彩絵の

きれいだとかきたないだとか二色で筆一本だとか

あなたの絵は「美しさ」と「陳腐」の狭間にあると言われたことがある では醜いものを描けば良いのかと悩んだが その話を聞いた知人は「この世には醜いものが溢れているのだからわざわざ新たに醜いものを生産することはないだろう」と言った 「美しさ」と「醜さ」の違いは何か 美しいものは美しい形や色を纏った存在 醜いものは醜い形や色を纏った存在 美醜の判断それ自体が「客観性を欠く」と一蹴されるのだろうが 自身の美しいと思うものを言葉で形容しようとした場合と醜いと思うものを言葉で

浦島、創作大賞のおこぼれにあずかる。

本記事の趣旨は「創作大賞感想文」だとか、そういった類のものではありません。 ではタイトルに「創作大賞」を掲げて何をしたいのかと言うと、自慢です。 えっへんワタクシ、自分の作品を応募せずしてちゃっかり創作大賞に顔を出しているのですよ!とご報告したいのであります! 何をどうしたらそんなことができちゃうのって思われるでしょうが、私自身は本当に何もしなかったのであります! ……前置きはいいから何を自慢したいのかさっさと吐け、という声が聞こえてきましたよ。失礼しました。 ふふふ、

浦島、カフカ没後100年に毒にあたる。

本記事はフランツ・カフカ没後百年とは何ら関係ない内容になりますが、昨年7月3日にカフカ生誕140年で記事を上げたので、没後百年の今日中(2024年6月3日……投稿している今、日本は既に4日ですが)に無理やりこの話題をねじ込んで記事を上げておきたいなと思いまして。 繰り返しになりますが、拙長編小説『その名はカフカ』は作家のフランツ・カフカとはほとんど関連性がないものでして。よって、冒頭の漫画及び以下に書くことはまったく没後記念とは関係ありません。こじつけてボソっと書き留めてお

常設展示のお知らせ

原画展示のお知らせです。 「常設」と言うからにはこれから先、展示先の予定変更がない限り、ずっと展示される、ということです。とは言え販売展示なので、作品が売れたら新しいものを額装して追加します。 ……え、なんか、すごくない? ええ、私にとっては大事件ですよ!格好つけて「!」なしで書き始めてしまいましたがっ!ここからは「!」連発で!進めていきたいと!思います!(しつこいな……!) それで、場所はどこなんだい? チェコ共和国の首都プラハです。プラハ1区です。同じ通りの東には米大

墨で春2024

「鳥の水墨画でビシッと決まったのが描けたらオマケとしてお披露目しよう」と思っていた習作や墨絵教室のお手本が、肝心の「ビシッと決まった墨で鳥」が出来上がらないまま溜まってきたので、一挙公開とします。先日の「墨でハイタカ」以降の作品です。 いずれも書道半紙(24 x 33 cm)に描いたものです。 以上です。

『巨匠とマルガリータ』への偏愛を語る~『別冊「羽ばたく本棚」』に寄せて

 昨年11月に発売されたつる・るるるさん著『羽ばたく本棚』では扉絵のご提供に留まらず、るるるさん、とき子さん、橘鶫さんと共に本について語り合う座談会にお呼ばれするという幸運に恵まれた。  その昨年五月に行われた座談会にて「とにかく何かが起こりまくる小説」の代表としてスルっと私の口からこぼれたのがミハイル・ブルガーコフ著『巨匠とマルガリータ』だった。この二月に開催される文学フリマ広島6ではるるるさんは『羽ばたくセット』と銘打って『羽ばたく本棚』に鶫さんのステッカー、拙ポストカー

浦島、海で客人を釣る/ウミネコ童話『はやて』挿絵制作の諸々覚え書き

こちらの客人は、言わずと知れたイルカアイコンのこの御方。 昨年10月末に発表されたgeekさんがウミネコ文庫・童話集に寄稿された『はやて』の挿絵に立候補したお話は2023年の振り返り記事でお知らせしましたが、先日1月1日に『はやて』が挿絵付きで再発表されました。 本記事では「描かせてください!」と手を挙げたところから最後の一枚を描き終わるまでの過程を順を追ってご紹介していきたいと思いますが、書き記しておきたいことがあまりにも多いため支離滅裂な雑記で終わらないことを祈るばか

Dino、君はそもそも竜なんじゃないのかね?素の自分で行こうぜ2024

新年明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 こちらも日本より八時間遅れで年が明けました。 昨年11月からデジタルやら色鉛筆やら水墨画やらで竜を描きまくっていた私ですが、やっぱりトリオの新年ご挨拶画は外せません! ということでこちらのトリオ、昨年はコーヒー豆氏やカフカに押されまくってほとんど活躍の余地がありませんでしたが、本日は着飾って(?)新年のご挨拶です。 この干支を絡めたトリオのご挨拶画はちょうどねずみ年だった2020年から始めたので、次

年末に吉報・カフカが売れたって話

拙長編小説『その名はカフカ』の作中では時々話題に上るだけではあっても、小説の背骨的テーマとして存在するカフカ(kavka)ことニシコクマルガラス。 小説のテーマだけあって、今年は何度となく挿絵としてこの鳥を描いてきたわけですが、やはり気に入ったものは自分の作品として広く見てもらいたいと思い、自分のポートフォリオサイトにも載せています(ちなみに私が小説を書いていることはnote内だけの秘密です、現実世界では一切そんな話はしておりません)。 気に入った作品だけを載せる、とは言っ

海老も龍も墨で乱れ踊る師走

本記事のタイトルは……適当に付けました。深い意味はありません。 昨年のこの時期も墨絵教室に(オマール海老にインスピレーションをいただいて)海老をテーマに持って行ったことがあったのと、12月の第一週は来年の干支をモチーフにするのが恒例なので、龍の前に海老で「長い生き物」に手慣らし、という思いもあり、先週はまず海老を、そして今週は龍を墨絵教室で描くことにしました。 上級者にはいつもいろいろな本や資料などからのコピーを用意してお手本にしてもらうのですが、初級者には毎回私が簡単な