【解説】映画「ジュラシックパーク」に見る、草食恐竜の描かれ方
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●映画「ジュラシックパーク」を語ってみた
さて、今回は「語ってみた」シリーズ。いきもの作品について、いきもの雑学プレゼンターDINO(ディーノ)が、いきもの大好き視点で好き勝手に語ります!!
※ネタバレ含みますのでご注意ください。
前回から引き続き、僕の大好きな映画「ジュラシックパーク」シリーズから、「ジュラシックパーク1」について語ります。好きな作品のため、長期連載になりそうなので、是非フォローの上、楽しみにしてください🦖このシリーズの過去記事は下記よりご覧ください。
今回は、恐竜の親しみやすさの描写について見てみたいと思います。
●草食恐竜の親しみやすさ
恐竜と言えば、ティラノサウルスのような肉食恐竜をイメージするかと思います。ジュラシックパークも、いわば恐竜パニック映画としてハラハラドキドキを掻き立てるためにティラノサウルスやヴェロキラプトルからの逃走劇がメインシナリオです。
とはいえ、そこはエンタメ映画。しっかりと恐竜について親しみも持ってもらわないとファンは増やせません。
ということで、親しみやすい恐竜、という位置付け(勝手な推測です)として描かれていたのが、草食恐竜の代表格というべき、トリケラトプスとブラキオザウルスです。
●病気の草食恐竜
本作ではティラノサウルスやヴェロキラプトル、さらにはディロフォサウルスなどの肉食恐竜は、恐竜のイメージそのままの躍動的な描かれ方をしていますが、草食恐竜は真逆のイメージで描かれています。そうすることで情を持たせて、親しみの感情を持ってもらおうとしたのかもしれません。
◎トリケラトプス
トリケラトプスは、名前の由来にもなっている3本のツノと、首周りのフリルが特徴的な大型の草食恐竜、角竜の代表格です。9mもの巨体でティラノサウルスのライバルとも言われ、こども人気も高く、トリケラトプスを主人公にした絵本もあるぐらいです。恐竜好きでなくとも名前や姿(あくまで想像図ですが)を知っている恐竜かと思います。
ちなみに、このあと紹介するブラキオサウルス、ステゴサウルスやティラノサウルスなど、恐竜の中でも有名な恐竜をしっかり登場させるあたり、一部のマニア向けではない一般層を意識している作品と言えますね。
さて、そんなトリケラトプスですが、本作ではティラノサウルスのライバルと言われる力強さを発揮する場面はなく、逆に病気です弱って倒れ込んでいる、なんとも弱々しい姿で登場します。
主人公グループの植物学者に介抱される様は、まさに犬などの弱ったペットのようです。
◎ブラキオサウルス
巨大な竜脚類として有名なブラキオサウルス。実は竜脚類の特徴としては珍しい部類に入ります。こちらも恐竜好きでなくとも名前を知っている、代表格な草食恐竜です。
ちなみに、珍しい特徴というのは、その名前の由来です。ブラキオ=腕という意味のようです。直訳すれば「腕トカゲ」。どういうことかというと、前足(つまり、腕)が後ろ足よりも長いことが特徴です。そのため、体のフォルムが縦に長く、かつ肩から尾にかけてすべり台のように下がっています。
現生の動物では、ハイエナがこのフォルムに近いです。
この特徴を持つブラキオサウルス類の仲間には、一番背が高い恐竜と言われるサウロポセイドンやギラファティタン(巨大なキリン)という恐竜がいます。
そんなブラキオサウルスも主人公グループとの触れ合いが描かれていますが、ここで登場するブラキオサウルスは風邪気味です。盛大にクシャミをする描写があります。人間から草をもらったりする描写もあり、まさに餌付け体験です。
これらのように、恐竜=強い、乱暴、こわい、というイメージの真逆の描き方を、草食恐竜の代表格トリケラトプスやブラキオサウルスでしている点が興味深い演出ですね。
●刷り込み
もう一つおもしろいと思った描写が、刷り込みです。作中ではジュラシックパークのオーナーが卵から孵ったヒナを取り上げるという描写があります。
刷り込みとは、鳥などで見られる生態で、産まれたてのヒナが最初に見た動物を親と認識する、というものです。
恐竜は爬虫類の仲間ですが、爬虫類で刷り込みや、人に懐く、という習性はあまり見聞きしません。恐竜で刷り込みがあったかは不明ですが、これも親しみさを感じさせますね。
●こぼれ話 「ありえない共演」
少し話は逸れますが、こういった恐竜映画の醍醐味として、「ありえない共演」が描かれるのも見所のひとつです。
たとえば、ジュラシックパーク3ではスピノサウルスとティラノサウルスとの闘いが描かれます。恐竜好きにとっては興奮必至のカードです。
しかし、スピノサウルスとティラノサウルスは生きていた時代が異なると見られています。スピノサウルスはジュラ紀後期から白亜紀前期、ティラノサウルスは白亜紀後期。
本記事で紹介しましたトリケラトプスとブラキオサウルスも、トリケラトプスは白亜紀後期でブラキオサウルスはジュラ紀です。
このような、本来ありえない共演が見れるのも恐竜映画の醍醐味ですね。
それでは今回はここまで!まだまだ語り尽くせないジュラシックパーク!次回もお楽しみに😊