農大37日目 2023-12-04 鳥獣被害対策
鳥獣被害対策
書籍『鳥獣対策 虎の巻』鳥取県HPにPDFファイルで公開されている。
全国ではシカの被害が1位だが、鳥取県ではイノシシが1位。
鳥取県の鳥獣被害
イノシシ
鳥取県全域、中山間部で被害が多い
警戒心が強く、臆病
1m の障害物も飛び越える
猪突猛進ではない
学習能力が高い
鼻は繊細かつパワフル
ニホンジカ
県の東部から生息域を拡大させている
経過鬼神が強い
明るく開けた場所にいる
1.5mの障害物も飛び越える
メスは群れをなす
草の葉、木の実、樹皮なども何でも食べる
角は生え変わる
ツキノワグマ
氷ノ山山系を中心に生息
警戒心が強くおとなしい
朝夕を中心に活動
力強く、木登りが得意
植物に偏った雑食性
どんぐりが不作だと人里へ降りてくる
柿・梨の食害が多い
カラス
ハシブトガラス、ハシボソガラス
エサへの執着心強い
3日食べなければ餓死してしまう
雑食性でなんでも食べる
記憶力学習能力に優れる
単なる脅しはすぐに慣れてしまう
サル
東部の山間部に生息
メスを中心にした集団行動を取る
離れサルが市街地に出没する
植物主体の雑食性
記憶力、学習能力が非常に高い
人馴れすると人家へ普通に侵入してくる
アライグマ
北米産外来種
県東部で生息域拡大中
尾の縞模様が特徴
雑食性で卵、魚、果実などを食べる
屋根裏に住み着く
鋭い歯と爪があり、気性も荒い
手先が器用でトウモロコシなどは皮を剥いて食べる
ヌートリア
南米産外来種
県全域に生息
水辺の巣穴がすみか
草食性で茎、地下茎などを食べる
水かきがあり、泳ぎが得意
モグラ
鳥獣法で保護対象のため許可なく捕獲はできないが、農林産目的に限り全種捕獲ができる
ホームセンターなどでモグラ取り装置が売っているが、素人はなかなか難しい。モグラの生活道に設置することが重要
カラス
原則として捕獲禁止
追い払いが重要。ほっておくとつけあがって、過激になる。ロケット花火やモデルガンが有効。
その他の動物
タヌキ、アナグマ、ハクビシン、カワウ、ヒヨドリ、アオサギ
なぜ鳥獣被害が増加したのか
もともと、里山では薪などの採集のため人が出入りし、そこで動物との遭遇があって動物側も警戒しそれ以上入ってこないようになっていた(緩衝地)。
しかし、50年のうちに里山は人工林に植え替えられたり竹林に変わったりしたことで人の出入りが減少し、動物が侵入してくるようになった。
集落内の農地も耕作放棄地が増え、人里と動物の距離が縮まった。
集落として行う対策
見通しのよい草地管理
間伐・伐採による明るい疎林(緩衝地帯をつくる)
侵入防止柵を設置
捕獲・追い払い
現在の状況(イノシシ)
ほぼ全県下で被害(4000万円)
農業被害を減らすためには年1万頭以上の処理が必要
鳥獣被害の算出方法
水田→だいたい農地が協同組合に所属し鳥獣被害の保険金が出る→算出可能
野菜・畑→分からない→算出不可
実際は示されている数値の倍くらいはあるかも
農家の対策方法
誘引物の除去
警戒せず取って食べられる残渣等は動物にとって絶好のエサになる。より多くを求めて農地や集落へ入り込んでくる。
農地の囲い
トタン柵、電気柵、ネット柵、ワイヤーメッシュ、金網柵、電気ネット複合柵などがある
電気柵
イノシシの花を狙う(高さ20cm)
電気は5kV以上、パルスだから安全
足裏から地面(アース)へ抜けてカイロをつくる
地面がアスファルトだと効果が薄くなる
電線が草に振れると漏電し意味がなくなるので、除草が必須
ワイヤーメッシュ
建設用資材で安価
設置も比較的簡単
防止効果も高い
メンテナンスが重要。見回りと補修。柵と地面の間にすき間がないか
複合作
ワイヤーメッシュの上に電気柵を設置する
捕獲による除去
鳥獣保護法・・・動物は許可なく獲っては行けない
狩猟・・・狩猟免許が必要(狩猟者登録)
狩猟免許取得者:1980年5000人以上→2013年500人程度まで減少
わな・・・わな免許。講習会と適性検査により取得。3年間有効。
農家が猟師に依頼せず、自分でワナを設置するようになり、ワナ免許取得者は増加。
捕獲後は以前は埋設していたが、現在はジビエ料理など食肉利用が促進されている。
『野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドライン』