アニメ『とらドラ!』感想 いい感じのリアルさ
この令和の時代に『とらドラ!』を見ました。
職場の人で『とらドラ!』が好きという女性に2名も遭遇し、何故にこんな女子人気が高いんだ…?と不思議に思い。実はまともに見たことはなく、ネタバレもくらってなかったので、完全に初見でした。
一番最初に思ったのは
「くぎゅの声いいなぁ…」
という立派なキモオタの感想。令和のこの時代に聞くと、当時より心にしみる。
おふざけはここまでにして、真面目に書くと、他のラノベ原作アニメにはない、独特な雰囲気持った恋愛アニメでした。大好きな人が多いのも分かる。
「運命の出会い」の否定
今作品でまず思ったのは、各ヒロインと主人公が出会いが、それほどドラマチックではないな、ということ。
もう、この時代の作品といえば、ファンタジーだろうとそうでなかろうと、主人公とのヒロインの出会いは運命的なものが多かった。
でも、今作品の主人公、竜児が大河と初めて出会うシーンは、廊下で軽くぶつかるという普通なシーン。まぁその後、アッパーカットをくらって気絶するというラノベっぽい展開もありますが。
今作品は、その後2人のヒロインが出てくるが、どれも衝撃的な出会いはない。ごく普通のクラスメイトだったり、親友の親戚だったり。
エピソードとしては、そんなに強くない。
そして、それは出会いだけでなく、主人公とヒロインたちの関係でもそう。
この2人だから。この出会いだから。このエピソードがあるから。
普通のラブコメなら、2人が愛し合うのにそういう理由が明記されるけども、この作品はそういうのは薄い気がする。
日常で、バカやっていくうちに少しずつ、お互いの良さに気づいて、惹かれていく。ある意味、凄いリアルに落とし込んでいる気がする。
大河とかミノリンとか、キャラはそれなりにラノベな感じの作りをしているのに、ここがめちゃくちゃリアル路線だから、他のラブコメ作品にはない独特な感じになっているのかなと。
それは、ヒロインの一人のこんなセリフからも表されているような気がする。
恋愛することは、幽霊を見るのと同じ。非現実的な現象であると。
運命的な出会いや、ファンタジーな恋愛エピソードを真っ向から否定している。
主人公が最終的に選ぶヒロイン、大河と竜児の関係の決着も、これに沿っている気がする。
それは虎と竜のように、「昔から並び立つって決まってる」関係。約束があろうとなかろうと、常に2人で日常を送り、それこそが幸せであるというエンドで終わる。
大なり小なり2人のイベントはあったけども、この2人が惹かれ合ったのは、そういったイベントが起因ではなく、本当に常にこの2人は一緒にいて心地よいからくっついた、という描き方だったかなと思ってる。
個人的には、ラブコメとはやはりこの2人でなくては!というような関係性が欲しいタイプ。
衝撃的な出会い、双方のコンプレックスの解消、壁を経てより深まる関係性。そういう王道路線が大好きなんです。
そういった意味では、少し物足りなさは感じる。
大河と竜児も、親の話とか、もうちょいと掘り下げても良いと個人的には思ったんスけどね…
が、これはもはや好みの話なので、自分が合わなかっただけな気も。
唐突に青春っぽさ出そうとするのヤメテ
全体的に話の展開も上手いし、作画も安定してたし、セリフ回しもオシャレだし、ということで、基本的にケチをつけるところは少なかった。
でも、数カ所見るのがキツかった箇所がある。
超絶作画になって殴り合いの喧嘩をする数シーン。
生徒会長との話とか、ミノリンとの喧嘩とか。
ちょっと個人的にあそこらへんはキツかった…全然大河とかの行動に感情移入できなかったし、なんか、画面の演出も含めて「本気でぶつかり合う青春っぽさ」をプンプン匂わせていて…ちょっと露骨だなと思ってしまった。
ほんのり香るくらいが、青春っぽさとしては許容範囲で、ああいう演出されると恥ずかしくて見てられない。本気で視聴を止めるか迷った。
古さを感じないキャラデザ
しかし、2008年という、15年昔のアニメにしては、絵面から古さを感じないなぁと思っていた。原作の絵柄は、昔の電撃文庫にありがちなラノベイラストなのに。
多分、めっちゃキャラデザがよいからだと思う。『とらドラ!』って聞いたら、原作よりもこのアニメ版のビジュを思い起こす人が多いと思う。それくらい、良いキャラデザ。
調べてみたら、「田中 将賀」という方がキャラデザをしている。
経歴としては、『とらドラ!』の後、『君の名は』以降の新海誠作品のキャラデザを担当している。
古さを感じないのも納得だ。そりゃ現代のアニメ業界の最先端を走っている人のキャラデザやってるもんな…
という、スタッフ欄みても面白い作品でした。
声優も、監督も、当時の売れっ子たちが集まっていて面白い。
興味がある人はぜひWikipediaで調べてみてください。
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