資格
誰かが言った
生きていくには強さが必要で 優しさは生きるための資格
強さの定義も 優しさの意味も 教えないままに
道徳の授業で習う事柄 そこではこう説明した
強さは力 優しさは正しさ
なのに いくら力で従えても いくら正しく振舞っても
それらはすべてを傷つけた
生きていくのに必要なことも 生きる資格も 持たないままに
死ぬことだけは止められた 愚かなことだといって
ならばどうすればいい?
何をしても どう足掻いても 誰もが傷付く世界で
どうやって生きればいい?
今生きている人たちへ
強さはどうやって手に入れた? どうすれば優しくなれる?
その人たちは笑った 何も答えないままに
同じ授業を受けたはずなのに そこで何を理解した?
強さは全ての上に立つこと
そういった誰かは他の誰かに殺された
優しさは全てを受け入れること
そういった誰かはその全てに押しつぶされた
生きている人たちは何をもって どう振舞っている?
ねぇ教えてよ
その人たちの真似をしても やっぱり苦しくなる世界で
どうやって笑えばいい?
生きるのに何か理由が必要なのかい? そう聞く人もいた
だけど理由なく生きるなんて僕にはできない
限りなく神に近づく人たちは 生きているだけで強く優しいのだろう
だけど僕は
生きていくのに必要なことも 生きる資格も 持たないままに
強く優しくあるように そう見えるように 振舞っている
ねぇ教えてよ 僕は正しく振舞えている? 優しく見えている?
そうやって真似をしても 誰もが傷付く世界で
どうやって生きればいい?