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人の形

人間味なんてない僕は 死にたいのに笑っていられる オートマ人形
形ばかりの愛情と 機械仕掛けの生命(いのち)をもって 人間の世界に流されていく
心の代わりに歯車を埋め込んで 口角を吊り上げる
感情の代わりに油をさして 透明な液体を流す
ネジを巻いたなら ほら
いつもの動きで 関節を軋ませながら歩きだす
僕らはオートマ人形 機械仕掛けの人形さ
僕らはオートマ人形 胸の奥で歯車が回る人形さ

考えることなんてできない僕は 本能なんてないのに動き続ける 操り人形
手足を動かす生命線と 人形遣いの持つ木偶の棒で 人間の中で生活する
知能の代わりに真綿を詰め込んで 首をかしげる
血肉の代わりに布を寄せ集めて 空気を震わせる
木偶の棒が動いたら ほら
いつものように 絡まらないよう注意して歩き出す
僕らは操り人形 糸で自由に動く人形さ
僕らは操り人形 頭に真綿が詰まった人形さ

泣いている 笑っている 僕は 本能のままに生きる 普通の人間
愛情も生命(いのち)もこの胸にあって 自分の意思で動く手足をもって
この社会の一部となる
なのに どうして 苦しいのに 口角を吊り上げるのだろう
なのに どうして 考えられず 首をかしげるのだろう
朝が来たなら ほら ベルを止めて 人形たちを横目に歩き出す
僕たちは人間だ 自分で自由に動けるはずだ
僕たちは人間だ ほら心臓が脈を打つ

この世界に必要なのは何なのだろう
感情を持たないオートマ人形 知能を持たない操り人形
それとも どちらも持つ人間
この世で幸せなのは誰なのだろう
愛情のわからないオートマ人形 鼓動を感じない操り人形
それとも どちらもわかる人間
あなたはどの形を望みますか?

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