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獏の夢(歌詞ver.)

才の無さを嘆いて爪弾くは夕立
沈み揺蕩う現実は最も浅い陽の水際(みぎわ)
浮遊する夢は深く濃い雨霧(あまぎり)の中
捕らえるための枷を握って
わざわざ自分に囚われる

もういいかい まぁだだよ
ずっとずっとまぁだだよ
世間から隠す 醜い姿

暗くなるまでゆっくりと
皆(みな)が寝静まるまでひっそりと
才の芽を奪うように
才の蕾を嫉むように
自分の現実を売払って他人(ひと)の夢を渡り歩く
悪夢を見せる貘はそれも才と己を呪う


業の深さを知って荒ぶるは朝焼け
光を纏う己の影は濃ゆい雲に映って水彩
虚空あく己の眼は浮き沈む浅い微睡み
籠を蹴破り自由を見ても
未だ鎖は断ち切れぬと気付かぬまま

もういいかい もういいよ
じっとじっと息をひそめて
守るため隠す 少しの希望

薄明かりの中ゆっくりと
誰かに見つかるまでひっそりと
才の芽を育てるように
才の蕾を守るように
自分の現実を売払ってそれを元手に夢を紡ぐ
悪夢に抗う貘はそれも運命(さだめ)と己を嗤う


夢の煌きを見て縋るは晴天
手を伸ばしてもその天井には届かない
地を蹴ってもその高みには登れない

もういいかい まぁだだよ
もういいかい もういいよ
白い陽の中ゆっくりと
自分がぼやけるくらい強い光は
醜さすらも溶かして
希望も燃やし尽くして

もういいかい まぁだだよ
もういいかい もういないよ
自分の現実を売り払って憧れた煌きを手にする
もう何もない獏はこれこそ幸福と死を嗤う



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