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喪失
生温い風が僕の傍を吹き抜ける
いなくなった体温を思い出させるかのように
離れていた時間は 僕らを別つには十分すぎた
僕の大切な一部だったはずなのに どうしてだろう
今は離れていても何も思わない 哀しみも 苦しみも
離れてすぐは あんなにも君を求めたのに
君の味も匂いもまだここに残っていたのに
ああ 無情にも 時の流れは傷を癒していく
まだ思い出すと疼くけれど それも次第に消えゆくだろう
まだ暑さを含む日光(ひかり)が影をつくる
繋いでいた指先がもうないと知らせるかのように
君との思い出は 僕の中に巣食う孤独を際立たせる
僕に居場所をくれた人 なのに どうしてだろう
やっぱり独りになってしまう 寂しくて 苦しくて
一緒にいたときは あんなにも満たされたのに
僕を求めてくれた君はいつも傍にいてくれたのに
ああ 無常にも 人の流れは僕を孤独にする
ねぇ 思い出すよ 君との場所 もう戻らないあの場所を
何か大切なことを忘れたまま 日常に流されていく
戸惑いながら 涙しながら 人ごみに紛れていく
君は今どうしてる? 君は今どこにいる?
触れたくて伸ばした手が虚空を彷徨う
いつもこうだ いくら愛しても
みんなグルで僕から全てを奪おうとするなら
望み通り 全部手放してあげよう
ほら 僕は 独り だ
味のない涙がひとつ零れ落ちた
ああ 無情にも 時の流れは傷を癒していく
まだ思い出すと疼くけれど それも次第に消えゆくだろう
ああ 無常にも 人の流れは僕を孤独にする
ねぇ 思い出すよ 君との場所 もう戻らないあの時を