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【ヒマラヤ山脈を歩く】ガイドのおしごと


2024年9月。ネパール滞在中に6日間かけてヒマラヤトレッキングをしました。 そこで感じたことを書いています。
今回はずっとずーーっと書きたかったガイドさんのお話をnote。





頼んで安心


2023年4月から、ネパールでは外国人がトレッキングをするときには公認のガイドをつけるルールになっている。

ネパール国内において登山をするすべての外国人は、政府の認定を受けたガイドを雇う必要があるほか、政府に登録された代理店を通じてTIMSカードの取得(日本人の場合は2,000ルピー)が義務づけられる、

在ネパール日本大使館HPより


チェックが甘くガイドなしでもいけるらしいという情報もチラホラと見えたが、揉め事は避けたいタイプなのでここは政府のルール通りにガイドをお願いする事にした。実際にトレッキングを終えてみての感想は、私達にはガイドが絶対必要だった。ガイド無しでは到底ムリ。


私の前を歩くガイドは常に振り返ってはゲストが登ってくるのを見守る



おすすめはポーターガイド。私たちは、ポーターガイドをお願いしたのだが、それがよかった。


ポーターガイドは、ポーターとガイドの役割をまとめて担ってくれる人

・ポーター:荷物を持ってくれる人
・ガイド :トレッキングツアーの添乗員的役割の人

重量上限10㎏までという条件つきだったものの、ガイドをしながらポーターの役割も兼ねてくれたのはありがたかった。

コースを案内するだけでなく、旅行が予定通りに進むように全てサポートしてくれる役割だったので、私たちのポーターガイドは、どちらかといえば「ポーター添乗員」といったほうがいいのかもしれない。

それくらい、手厚いサポートだった。

添乗員とガイドの違いをAIに聞いてみた。

↑ AIが教えてくれたガイドと添乗員のちがい



ガイドのおしごと


ツアー会社、ツアープランによっても変わってくるとは思うが、
具体的にガイドが私たちにどんなことをしてくれたかを私たちの体験をもとに紹介したい。

1.ルートガイド

迷子にならず、無事に怪我なく帰ってこれたのはガイドのおかげ。
ABCトレッキングのルートは基本行きと戻りが同じルートだが、途中いくつか分岐、新ルート、工事中の道もあったりする。案内がわかりづらい場所もあるので、登山者が少ない時には迷子になるんじゃないかと思った。

その点、ガイドがいると安心。トレッキング中もガイド同士で情報交換しているようで、行きと帰りで少しだけコースを変えて飽きないように工夫してくれた。また、夫がルートを間違えそうになると後方からすぐに呼び止めて正しいルートに導いてくれた。


そうそう、
崖っぷちなどの危険な道では落ちないようにサポートしてくれる。

へっぴり腰は恐怖のあかし
かなり顔色がわるいので顔規制かけました。

↑画像の解説
行きにこの階段を昇ったら、岩にトレッキングポールがあたり、その反動とリュックの重みでバランスを崩して転んだ。
幸い右側に転んだので事なきを得たが、左側に転んだらと思うとぞっとする。帰り道も同じかと思うと憂鬱だった。この画像(帰り)では、トレッキングポールを地面に置き、両手をあけた状態で降りた。シューレースが手をとってくれたので安心して降りれた。

2.宿の予約

ABCトレッキングにおいて、宿の予約は電話や直接交渉するものらしい。
ネットで予約ができるのなら、翻訳機能で自分で手配もできるかもしれないが、実際はアナログな予約になる。その予約をガイドが代行してくれる。宿を選ぶことができないのはデメリットだが、煩わしい手続きや支払いもすべてガイドが代わりにやってくれた。

3.食事の確保

また、ABCトレッキングでは、夕食・朝食は宿泊先でとるルールになっている。食事はあらかじめ時間とメニューを予約することで混雑することなくゆったりと食事ができた。オーダーや精算もガイドがやってくれる。
昼食は移動しつつ、自分でお店をさがさないといけない。私たちの場合は、ガイドが予約や店選びをしてくれた。私達はメニューから食べたいものを選ぶだけ。店へのオーダーもお支払いも全ておまかせ。(ツアー代に含む)

そして、トレッキング中にお腹がすいてしまった時のために、ガイドがドライフルーツやナッツ、果物などを提供してくれる。シューレースは毎食後にりんごのデザートを提供してくれた。彼のおかげで私は高山病になって食欲がなくなった時でもりんごだけは食べた。


4.ゲストの体調管理

体調が悪くなった私の酸素を測って状態を確認したり、持っているお薬などを提供してくれたり、食べられそうな料理を一緒に考えてくれたりした。


5.撮影の協力

写真好き?と聞いてきたのでYES!と答えたら、映るほうが好きだと勘違いして最初の頃は気にかけて何度も声をかけてくれていた。後に「撮るのが好き」とわかってからは、遠くでニコニコ待ってくれるようになった。
本音を言えばガイドのシューレースを撮りたかったんだよね…。ガイドさんって尊い仕事で尊敬しかなかったから。後半はそんな余裕なんてなかったけどね。

ABCの手前にある大きな岩ここを離れる記念に触れて感謝を込めてみました       photo by Suresh


6.その他

他にもこまごましたことをすべてお任せしていました。

ちなみに、インドのアッサムボーイはガイドもポーターも一切なしの全て1人で最後までやりきった。彼は登山が趣味で何度も山に登っていて、今回のトレッキングの為に入念な準備をしてきたからこそ出来たんだってわかる。そういう意味では彼もすごい人でした。
そんなアッサムボーイの話はこちらでお楽しみください。


ということで、ここから先はガイドのシューレースとの思い出話をたっぷりと紹介させていただきます。個人的にはここからを読んでもらいたい。


私達のガイドさん


6日間、私たちのガイドをしてくれたシューレース。

私たちのガイドさん


名前を覚えるのが苦手な私のために
「シュー(靴)& レース(競技)で、シューレースだよ」と教えてくれた。一発で覚えたよ、わかりやすいね。

控え目で、優しくて、笑うと声のトーンがとても高くなる。
そしてぽっこりおなかがちょっぴり気になるお年頃のようです。

最終日の計測の様子
首をかしげていたのでオッケー…だと思う


私たちがあまり英語が得意でないので、常に会話はシンプルな英語にしてもらっていた。

きついー!、つかれたー!ってばっかりいう客(私)に、彼はいやな顔1つせずいつも励ましてくれた。

「ほら!あの景色が美しいよ」
「足元に気をつけてね」
「この家の特徴はね…」
辛い気持ちをそらす様にたくさん話してくれた。

その中でも特に印象的だったのが、娘さんのお話。

娘さんが学校で習った言葉をパパに教えてくれたんだって。

「パパ、easyじゃないよ、easy peasyだよ!」って真顔で訂正されたらしい。

イージーピージーってなんか響きがかわいいと思わない?だって。
その話を聞くとイージーが更にイージーに感じるよねー!と
娘さんにデレデレな親ばかっぷりが、目の前を歩いている夫と重なっていて笑える。夫に、「ここにもいますよ、娘デレデレさん!」と教えておいた。

すごくかわいいイージーピージーの響きが気に入った私はそれから
イージーピージーを多用した。

辛い登りを目の前にしてはイージーピージー!
呼吸がきつい山頂付近を歩きながらイージーピージー!
食欲がない中、丼サイズのニンニクスープを前にイージーピージー!

娘さんに会えなくて寂しいでしょ、私たちのガイドで拘束しちゃってごめんなさいねとエクスキューズしたら、「ガイドの仕事が好きなんですよ、楽しいんですよ。」と言っていた。

先に歩いていてください!と声をかけていたので振り返ると絶景をスマホに収めていた。
おしえてよー!と言いたくて私も撮った

時々こうやって、素敵なシーンを私たちにこっそり遠慮しながらカメラにおさめるところを見ると、ホントに彼は山が好きなんだなぁとわかる。

大きな声では言えないが、後半の3日間の私の荷物は全て彼が持ってくれた。申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、体がフラフラだったので彼の申し出が非常にありがたかった。

最後にシューレースとお別れするまでに、私は彼に何回「ありがとう」と言っただろうか…。特に後半は、数分おきに言っていた気がする。とにかく彼にはいっぱい助けてもらったし、彼なしではゴールは出来なかったと思う。

彼も同じように何度も「Arigatou gojaimasu!」と言ってくれた。

シューレースと打ち解けてきたな、と感じていたときに感謝の言葉について話したことがある。

ありがとうございますは丁寧ないい方だからシンプルにありがとうでいいよ、だって私たちは仲間だからさ、ございますは省いちゃってもいいよ。お友達のようにね。」
それを聞いたシューレースはちょっと困った顔をしたが、結局最後までございますを付けたままでで通してくれていた。


余裕の登り


最終日のツアー最後の食事(昼食)で、ついにシューレースが一緒のテーブルで食事をしてくれた。何度か誘っても遠慮をして一緒に食べることはなかった。いつでも彼は私たち夫婦が食べ始めたら私たちのデザートのりんごを用意した後にレストランの奥や離れたテーブルに座り、食事をしていた。私たちが食べ終わる頃にはすでに彼の食事は終わっていて、ゆっくり食事もできないんだなぁと気の毒に思った。

今回のトレッキングで高山病になったことで、弱気になってしまった私は、
シューレースに「あなたがガイドでよかった」と感謝の気持ちを伝えた。
「これが最後のトレッキングなのかもしれないから最初で最後かもしれない。一生の思い出になったよ、ありがとうね」と話した。すると彼は「ネパールにはもっとイージーピージーなコースがありますよ、その年齢にあったコースがここにはあるんです。だから心配しないでまた楽しみに来てください。」と言ってくれた。


さいごに

ツアー中、多くのガイドさんを見てきたが、ガイドの皆さんは個性豊か。ツアーの内容にもよるかもしれないが、良しあしというか満足度は、ガイドさんの腕にかかっているともいっても過言ではないと思う
ヘリコプターでひとっ飛びのツアーもあるが「同じ金額を出すのなら!」とトレッキングを選んでみたが、五感をフルに使ったトレッキングを選んでよかった。時間をかけて歩いてみると見えてくるものや感じるものが、それはもう沢山あって書き足りないところ。

もしも、これからネパールの山をトレッキングする計画をしている方の参考になれば幸いです。

ヒマラヤトレッキングは、人生の思い出づくりにはかなりもってこいの体験。ガイドさんとのトレッキングは楽しいです。おすすめですよ。

シューレース!!ありがとう
Special thanks to Suresh!!

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guiz(グイズ)│海外引っ越し旅
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