オゾンホールの現状を可視化 データアナリストへの道#18
デジテック for YAMAGUCHI 運営事務局 兼 Y-BASEスタッフのハラマルです。
Jリーグの今シーズンの開幕まであと2週間ちょっとと迫ってきました。レノファ山口は、現在、鹿児島県でキャンプを行っていて、チームの連携を深めているところです。
2月18日(土曜日)14時からの、みらスタでの開幕戦は、NHK山口放送さんでテレビ放送されるほか、東京でのパブリックビューイングイベントが開催されます。
翌週の26日(日曜日)の、みらスタでの第2節は、山口放送(KRY)さんでのテレビ放送と、大阪でのパブリックビューイングイベントがあります!
たくさんの方が試合を観る機会になるといいなぁと思いつつ、個人的には、やはりスタジアムでの雰囲気を体感してもらいたいなとも思います。今シーズンは、ホームの全試合で場外イベントが企画されていて、それを盛り上げるMCを募集!みたいな新しい試みもありますので、とても楽しみです!
是非、スタジアムでお会いしましょう。
オゾン層が回復!?
さて、先日、「国連の専門家委員会が『地球のオゾン層が回復しつつあり、世界のほとんどの地域で2040年頃には1980年レベルまで回復する見込み』であることを発表した」というようなニュースを目にしました。
え!?あのオゾン層が!?
私が子供のとき、オゾン層が破壊され、南極の上空にはオゾン層が薄くなって穴のように見える、いわゆる「オゾンホール」が発生したという事実が発覚し、「人類はなんて大変な過ちをしてしまったんだ!」と強い衝撃を受けました。
1990年代後半には、あの「ノストラダムスの大予言」とセットに、「オゾンホールから降り注ぐ紫外線で人類が大ダメージを受ける。これは地球滅亡の始まりだ!」みたいな煽りが世の中にあふれていて、当時、インターネットで情報を確認するということもできず、私にとって「オゾンホール」という言葉は、「アンゴルモアの大王」と同じくらいの恐怖の対象でした。
それが、今回の報道によると、オゾン層を破壊すると言われていた「フロンガス」が世界中で禁止・撤廃され、その効果もあって、今は回復途上にあるとのことです。
え~っ!人類ってすごい!と思いつつも、あれ?でも、フロンガスが地球温暖化の一因って話だった気がするけれど、温暖化ってまだまだ進んでいるよな?どうなってるんだろう?という疑問が。
これはちょっと調べてみるしかありません。
オゾン層とは
オゾン層の専門的な知識を持っているわけではないので、何か、一般的なことが分かるサイトがないかと色々調べていると、環境省の子供向けサイトが分かりやすかったです。
オゾン層は、地上から10~50kmの上空にあり、太陽光に含まれる紫外線を吸収する役割を持っているそうです。これが、地球上の生物に対してバリアのような役割を果たしているので、なくなると、地表に有害な紫外線の影響が大きくなり、例えば、皮膚がん等が増えると言われています。
そして、南極の上空にあるオゾンホールは、日本の観測隊が初めて見つけたそうで、毎年9~10月頃に観測されるそうです。
このため、オゾン層を破壊する効果のある「フロンガス」の使用が世界中で制限するようになりましたが、このフロンガスは、地球温暖化の効果も高いとされていました。
気象庁のデータサイト
次に、オゾン層やオゾンホールについて、オープンになっているデータはないかなと探していると、気象庁の各種データが掲載されている中に、南極のオゾンホールについてのデータを見つけました。
気象庁では、NASAの衛星データを基に、「オゾンホールの面積」と、オゾンホール内の「オゾン全量」を算出しているそうです。
オゾンホールの面積とは、オゾンの量が一定の値を下回っている領域の面積で、そのうち年間の最大値データが掲載されています。単位は万km2ということで、全くピンときませんが、南極大陸の2倍くらいの大きさになっているそうです。
オゾン全量とは、「ある地点の上空に存在するオゾンの総量で、大気の上端から下端までの全層に存在するオゾンを仮に全て地表付近に集め、0℃・1気圧にしたときの厚さ」ということです。この最低値データが掲載されており、オゾンホールの深まりの目安となっているようです。
今回は、この2つのデータを使ってみようと思います。
データのダウンロードができないみたいなので、画面を見ながらExcelに数字を打ち込みます。
また、地球温暖化の状況を見るには、同じく気象庁のサイトに、世界と日本の平均気温のデータがありました。こちらはCSV形式でダウンロードできました。
ここで、気温の場合は、何℃という数値ではなくて、1991〜2020年の30年平均値を基準値として、そこからの「偏差」を用いるそうです。これは、例えば、日本の気温といっても、観測地点や標高によって全く異なる値になるため、観測点ごとの平均的な状態からの気温のずれ(偏差)を元に計算するそうです。
オゾンホールの状態を可視化
それでは、集まったデータを可視化してみようと思います。
例のごとくTableauにデータを突っ込んで、オゾンホールの面積とオゾン全量をグラフにしてみました。
自然体でグラフにしてみたのが上図です。
青の縦棒がオゾンホールの面積(年最大値)を表しています。オゾンホールは小さい(ない)方が良いので、縦棒が短くなっていく方が望ましいですね。確かに、2000年をピークに、やや減っているように見えます。
オレンジの折れ線は、オゾンホール内のオゾン全量(最低値)を表しています。オゾン量は多い方がいいので、上に位置していた方が望ましいということになります。こちらは、1994年が最低で、やや持ち直しているように見えます。
しかし、このグラフは見づらいですね!
望ましい状態が、上に行った方がいいのと、下に行った方がいいのと、入り乱れています。
なので、ちょっと工夫できないかといろいろいじってみたところ、スケールを反転できる機能を見つけました!
これで、オゾンホールの面積のスケールを反転してみました。
縦棒が天井からぶら下がっているという、あまり見かけないグラフの形になってしまいましたが、面白いですね。
青の縦棒のスケールを反転させたので、今度は、青い縦棒が上の位置に止まっている方が望ましい状態になりました。
これで、縦棒と折れ線の両方が、上に位置している方が望ましいという状態に統一されたので、ぱっと見で分かりやすくなりました。
合わせてみると、2000年ごろから徐々によくなっているように見えるようになりました。
両者のデータに関係性がありそうなので、今度は、オゾンホールの面積とオゾン全量でグラフにしてみました。
横軸がオゾンホールの面積で、今回もスケールを反転させましたので、右に行くほど面積が減って望ましい状態になります。
縦軸はオゾン全量で、上に行くほど量が多くなり、望ましい状態です。
つまり、右上にいくほど望ましい状態(面積が小さく、最小値が大きい)となります。
また、年で色分けしました。黄色の濃い状態が昔で、緑の濃い状態が最近となります。
さらに、Tableauの機能で「傾向線」を入れてみました。これで関係性が一目で分かりますね。
これを見ると、昔は右上にあって、左下に来たけれど、徐々に右上に戻っている(濃い緑色が少し右上に上がりつつある)ことが見て取れます。
おお~っ。オゾン層、頑張って回復しつつありますね。
ただ、当初に比べたらまだまだです。このまま回復してくれることを祈りましょう。
世界の気温の傾向を可視化
次に、世界の気温の傾向を可視化してみます。
先ほどダウンロードした世界の気温に、北半球と南半球のデータがありましたので、これをグラフにしてみました。
北半球が水色で、南半球が赤色です。
実線の折れ線が気温偏差で、点線の直線は、それぞれの傾向線になります。
これを見ると、どちらも上昇傾向にあり、北半球の方がより急激に気温が上昇しているようですね。
次に、世界の平均と日本の平均を比べて、今と同じようなグラフを作りました。
黄色の日本という単体の国で見ると上昇下降の波が激しいですが、やはり、傾向線としては上昇にあることが分かりました。
赤色の世界平均だと、いろんな局地的な要素が薄まるからなのか、確実に上昇していっていることがよく分かります。
え、日本って、世界の平均よりも上昇傾向(傾向線の上昇角度が急)なの?と思いましたが、この傾向線の角度、見覚えがありますね。
そうです、比べてみると、北半球の平均とほぼ同じ角度でした。日本だけが激しく上昇しているわけではなくて、少し安心しました。
オゾンホールと気温の関係を可視化
最後に、オゾンホールと気温の関係を可視化してみます。
オゾン層の方は、オゾンホールの面積とオゾン総量に比例関係がありましたので、面積の方だけで見てみようと思います。
オゾンホール面積は、またもスケールを反転させました。気温も、低い方が良いというわけではありませんが、温暖化を防ぐという観点からは、気温が上がってしまう方を下に反転させ、グラフとしては右上に行く方が望ましい設計にしています。
え、両方、右下がりの傾向線になっとるやん!
あ、そうだった。オゾン層の回復が見られたのは2000年頃以降だったので、年でフィルターをかけてやり直しです。
すると、オゾン層の回復は、ほんのわずかに上昇傾向になっていますが、気温の方はガクガクと下がってきていますね。
2000年以降とすることで、前向きな材料を頑張って見つけましたが、1979年以降のデータでクラスター分けしてみると、以下のようになります。
右上の青色「クラスター1」の中でも、特に3つが離れています。これが1979年~1981年ですね。
それからオゾンホール面積の拡大が始まり、グラフで言うと1982年~1985年が左側に移行していっています。この時は、気温の上昇(グラフ下側への移行)はそれほどでもありません。
続いて、1990年代になると、赤字の「クラスター3」に移行していき、オゾンホール面積が拡大(グラフ左側へ移行)しつつあります。この時点でも、気温の上昇(グラフ下側への移行)はやや認められますが、そんなにでもありません。
その後、2001年以降になると、グラフ左下の緑色「クラスター2」に移行します。
このクラスターでは、オゾンホール面積の拡大(左側への移行)は歯止めがかかる一方、気温の上昇(下側への移行)がかなり進んでいます。
フロンガスの使用が制限されたことにより、オゾン層の方はいくらか回復傾向にはなった一方、気温の方は、その制限効果にも増して、化石燃料の使用等により、温暖化が一気に進んでしまっていることが分かりました。
まとめ
オゾン層については、回復というか、破壊に歯止めがかかりつつあるといった傾向が認められましたが、気温の上昇は世界レベルで一気に進んでいます。
オゾン層にしたって、1979年の状況に戻るには、まだまだ時間がかかります。上昇傾向が止まっていない気温については、今後、回復していくことができるのか、とても不安ですね。
しかし、「あの」アンゴルモアの大王ばりの恐怖であったオゾンホール問題でも、世界中で力を合わせれば、なんとかなりそうという期待が持てるような状態にまで来ています。
世界中で一致団結すれば、気温上昇にも立ち向かっていけるのではないでしょうか。
そういう明るいデータ分析ができるような日が来ることを楽しみにして、日々、地球温暖化対策として自分にできることをやっていきたいと思います。