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プロジェクトの組み合わせでビジネス成果を創り出す!プログラムマネジメントの極意(前編)

こんにちは。NTTデータのデジタルサクセスコンサルティング事業部にて、デジタルサクセスマネージャー/データ活用コンサルタントをしている守谷です。

前回の記事では、お客様のパートナーとなるために「意識していること」を中心にご紹介しました。今回は、その考えを実践するための方法論として、プログラムマネジメントという手法の活用方法について、事例とともに、2回に分けてご紹介します。


プロジェクトマネジメントの限界

私がデジタルサクセスマネージャーとして最初に担当したのは、お客様の社内データを活用して将来の需要量や故障数を予測するAI案件でした。お客様からは予測精度の改善を求められていたため、「どのようなデータを元に予測をするか」「どんなロジックを用いれば精度が上がりそうか」といった要件を引き出し、その要件を実現するためにQCD(品質、コスト、納期)の管理を行っていました。

しかし、AIには「やってみないとわからない」という特徴があります。そのため、お客様から聞き出した要件も、あくまで手段に関する「アドバイス」に過ぎず、要件通りに実装しても精度が向上する保証はありませんでした。さらに、ロジックの改善により精度スコアが向上したとしても、AIを使う業務担当者にとって処理がブラックボックスであれば、「AIは信用できない」と判断され、実務での活用に至らない可能性がありました。

「要件通りにQCDを達成することが目的ではない」、「お客様が真に求めているものは何なのだろうか」。このような問いに対して、どう答えを出すべきか頭を悩ませていました。

プログラムマネジメントとの出会い

そんなとき、社内の研修でプログラムマネジメントという手法に出会いました。プログラムマネジメントとは、共通のビジネス効果(ベネフィット)を持つ複数のプロジェクトを束ねて、構造的に管理していく手法です。書籍「プログラムマネジメント教本(著:アンリ近藤)」によると、プログラムマネジメントとプロジェクトマネジメントには、以下の違いがあると整理されています。

$$
\begin{array}{lll}
\hline
& \textbf{プログラムマネジメント} & \textbf{プロジェクトマネジメント} \\
\hline
1. 目標 & ベネフィットを目標とし & 成果物の\text{QCD}を目標とし \\
&て、段階的に詳細化され & て、初期段階で明確に定義
\\&定義される & される \\
\hline
2. 依存関係 & 配下のプロジェクト間の & \text{WBS}などの活動の依存関係\\
&依存関係をマネジメント & をマネジメントする \\
&する \\
\hline
3. 利害関係者 & 積極的に環境変化に対応 & 可能な限り限定する \\
&するため、追加・修正・\\
&削除を頻繁に受け入れる \\
\hline
4. 変更 & 積極的に受け入れる & 最低限に抑える \\
\hline
\end{array}
$$

これらの考え方は、私自身が「こうあるべき」と考えていた内容と大きく重なっていたため、今後の案件推進において、プログラムマネジメントを取り入れていくことを決意しました。

AI案件における実践

案件推進のスタンスを変えるため、お客様との契約更新の提案時に、「ビジネス成果を共に実現していくパートナーを目指している」ことを、当社の支援スタンスとして宣言しました。そのうえで、これまでのAI案件の成果と課題を整理し、AI案件の標準プロセスを整備するとともに、以下の考え方を組み込むことを提言しました。

  • 実際にAIを活用する業務部門を早期に巻き込むこと(「3.利害関係者」より)

  • ビジネス効果の観点で施策継続可否を判断するチェックポイントを置くこと(「4.変更」より)

とは言え、お客様から「委託費」をいただいている立場として、「利害関係者を巻き込むと要件が発散して収集が付かなくなるのでは」、「施策継続の議題を出すと自社のビジネスが縮小してしまうのでは」という不安は常にありました。新しいプロセスを実践していくことはとても勇気がいりましたが、「委託先からパートナーに変わるため」と覚悟を決めて、自身の行動を変革していきました。

行動を変革した結果

新しいプロセスによって得られた成果は、予想以上でした。例えば、業務部門からは、当初「今のやり方でも業務は回っているのだから、これ以上仕事を増やさないでほしい」という否定的な反応がありました。しかし、目指す世界観を、業務部門の視点に立って説明する等、丁寧な対話を重ねた結果、「このデータがあれば予測精度が上がるはずなので、連携できるように調整する」という積極的な協力や、「予測結果に併せてこのような情報も提示してもらえれば、安心して業務で活用できる」といった建設的なアドバイスを、自発的にいただけるようになりました。

パートナーとしての期待の高まり

目指すビジネス成果として、これまでは「個々のAI案件の成功」をターゲットとしていましたが、お客様からも能動的な支援スタンスが評価された結果、「全社的なデータ活用力強化を目指す」という、お客様(課長クラス)と同じ目線での支援を、期待いただけるようになりました。一部のAI施策については中止の判断をしたものの、代わりに、AI人財の育成や、データ活用基盤の整備など、AI案件に留まらないスコープで、ご支援の機会を提供いただくことができました。

この期待に対してどのように応えたか。その内容は、後編でお伝えしたいと思います。

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現在デジタルサクセスコンサルティング事業部では、採用を強化しています!AI・データ活用のためのコンサルテーションからデータサイエンス、データ活用に興味がある方はぜひ私たちと一緒に働きませんか?募集要項などの詳細はこちら。お待ちしております。

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