プロジェクトの組み合わせでビジネス成果を創り出す!プログラムマネジメントの極意(後編)
こんにちは。NTTデータのデジタルサクセスコンサルティング事業部にて、デジタルサクセスマネージャー/データ活用コンサルタントをしている守谷です。
前編では、AI案件におけるプログラムマネジメントの実践を通じて、お客様(課長クラス)から「データ活用力強化」という、より広い視点での支援を期待いただけるようになった経緯をご紹介しました。後編では、この期待にどのように応えていったのかについてご説明します。
PgMO(プログラム・マネジメント・オフィス)の立上げ
「データ活用力強化」というテーマは、取組みが多岐にわたるため、お客様社内でも1課長チームで担えるものではありませんでした。そこで、他の課長チームを支援しているNTTデータ社員にも聞きながら、データ活用の取組み全体を俯瞰し、不足する取り組みや課題を提言するPgMOチームの立上げを提案しました。
PgMOとは、プログラム・マネジメント・オフィスの略で、お客様が組織目標を達成するためのプログラムマネジメントを、我々が実行支援していくという思いを込めて名付けました。PgMOチームの壁打ち役としては、お客様の部長クラスに就任いただくことになりました。これは大変ありがたい機会でしたが、その背景には「PgMOの必要性がよくわからないため、部長自身で判断したい」というお客様社内の慎重な姿勢がありました。
「チーム存続の重要な局面で、まず何をすべきか」。先述の書籍を読むと、プログラムマネジメントの導入や推進において、困難が発生したときに実施すべきこととして、以下が示されていました。
変革の必要性(WHY)を文書化し、プログラム憲章を作成する
プログラム憲章には、今後どのような状態に変えていくか(WHAT)を記載する
このときは、時間的な制約もあったため、まずWHATの定義から取り組むことにしました。NTTデータとして目指す、お客様の理想的な状態について仮説を描きながら、部長との意識合わせを進めました。
プログラムの構造化
部長との壁打ちでは毎回的確な指摘をいただけました。そのお陰で、お客様組織の戦略と、達成すべき状態目標について、詳細に整理することができました。
次に、この目標を確実に実現するため、達成に必要な取り組みについて議論を開始しました。戦略からトップダウンで必要なプロジェクトを洗い出すとともに、既存のプロジェクトのマッピングも進めました。さらに、マッピングした各プロジェクトを起点として、プロジェクト構造の妥当性をボトムアップで検証することで、戦略目標をより詳細に理解することにもつなげました。
この整理により、プログラムを構成する各プロジェクトの構造と、戦略目標への貢献が明確になりました。各プロジェクトの意義が明確になったことで、推進する課長チーム、および、支援するNTTデータ社員の努力が、幹部層にも適切に伝わるための基盤を築くことができました。
PgMO運用の確立
プロジェクトの状況は日々変化する中、各プロジェクトが整合性を保ちながら推進されるよう、PgMOとしてプログラムマネジメントを実践しました。週次で課長層全員に集まっていただき、プロジェクト間で調整が必要なマイルストンに対する進捗報告を受けるとともに、横断的な課題の共有と解決に取り組みました。
また、部長と連携して作成したプログラム憲章について、課長層を含めた共通理解を得るための活動にも取り組みました。各課長との個別ヒアリングで、プログラムに対する疑問点を解消するとともに、部課長全員で変革の必要性(WHY)を議論するワークショップを実施しました。
想定通りに進められなかったこと
プログラムの構造化など、計画面では質の高い活動を展開できた一方で、運用面では課題が残りました。特に、各プロジェクトを推進する課長層への支援を、より手厚くできれば良かったというのが正直なところです。進捗や課題の把握についても、課長からの週次報告に依存するのではなく、各プロジェクトの定例会議から情報を能動的に収集できることが理想でした。
リソース制約等による難しさもありましたが、課長間の情報連携に加えて、各プロジェクトを支援しているNTTデータ社員に対する情報流通も含めて、もっと効果的に行えればよかったと振り返っています。
デジタルサクセス活動への適用
NTTデータのビジネスは、依然としてシステム開発など「組織目標達成のための一部」を発注いただくことが多い状況です。そのため、個々のプロジェクトの視点だけでは、そのプロジェクトが目指す変革の方向性や目標とする状態(WHYやWHAT)が見えづらい場合が多くあります。しかし、PgMOのような活動がなくても、複数のプロジェクトを俯瞰することで、WHYやWHATの仮説を立てることは可能だと考えています。
私はデジタルサクセスマネージャーとして、WHYとWHATの仮説を立て、それをプロジェクトメンバに示しています。また、WHATの実現に必要な情報がプロジェクト間で適切に共有されるよう心がけています。日々奮闘してくれている仲間たちの努力がお客様にも適切に伝わり、お客様のビジネス成果を創り出せるよう、今後もこの活動をより一層強化していきたいと考えています。
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