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第3回 ノンカスタマイズで導入するための業務要件の整理
前章ではSaaS導入の重要なポイントの1つ目である、「システム部門を巻き込んだパッケージの選定」についてご紹介させていただきました。今回は「ノンカスタマイズで導入するための業務要件の整理」について解説していきます。
システムを自社要件に合わせてはいけない
SaaSのパッケージが登場するまでは、何かしらシステムを導入する際には、開発ベンダーと夜中まで要件を詰め、要件定義書をしっかり作成してから、システム開発やシステム導入に入っていたかと思います。しかし、SaaSパッケージが登場した今は、この流れは大きく変化しました。SaaSパッケージ導入において、重要なポイントである2つ目は「ノンカスタマイズで導入する」ということです。SaaSパッケージを自社の既存の業務に合わせて、カスタマイズ開発を行うと、導入時点では自社の業務要件にマッチするので、現場部門からの不平不満がなく利用を開始することが出来ますが、それはあくまで一時的です。自社の既存要件に合わせてカスタマイズ開発をかけることで、例えば、法改正や機能改善などのアップデート時などに、逆に新機能を標準機能として利用することが出来なくなり、いつまでもSaaSパッケージベンダーの「個別対応」が必要になってしまいます。これでは、オンプレミス時代と同じです。SaaSパッケージはあらゆる企業が共通で利用しているクラウドサービスです。自社固有の要件を入れずに、既にある機能をそのまま使うことを強く推奨します。
「現状の運用を変えない」は誰もWinにはならない
ノンカスタマイズで導入するための、現場部門との業務要件の調整について、業務フローを作成しましょう。現場部門の業務について、ヒアリングを行い、「いつ」「誰が」「誰と」「何をやっているか」を明確にします。また、現場において、課題が何もない、ということはあり得ません。ヒアリングをする中で、どういったオペレーションが課題になっているのか、も併せて確認します。そこから初めて、SaaSパッケージを導入した場合、その既存の業務はどう変わるのかを想定しながらAfterとなる業務フローを作成します。実は現場部門の既存の業務フローはあるべき姿で運用されているのではなく、過去の様々な経緯から、そうせざるを得なくなったものも存在します。そのため、最初から現場部門に不平不満を言われたくない、という理由で現状の業務を変えずにカスタマイズありきで導入する、というのは実は誰もWinにはならず、新しいシステムに合わせて業務も変えていき、さらにその中で現状の課題も解決していく、これがあるべき姿ではないでしょうか。
業務フロー例)
業務フローで投資対効果を算出できる。
業務フローのBefore・Afterを作成することで、導入における業務内容の変化を見える化し、業務メンバーでオペレーション手順を共有出来るだけではなく、「どの業務」が「どのくらいの時間」効率化されるのかを見える化するツールにもなります。それをもとに投資対効果を算出し、経営層へ報告することで、よりスムーズに導入についての承認も得られることが出来ますし、導入後の検証にも利用することが出来ます。
今回は「ノンカスタマイズで導入するための業務要件の整理」について、解説させていただきました。これで、SaaSパッケージの導入の成功にさらに近づいたと思います。それでは、次回は、最後のポイントである「全体最適で考える」について解説致します。
(つづく)
★関連記事
第1回 カオスなSaaS業界
第2回 システム部門を巻き込んだSaaSパッケージの選定
第4回 全体最適で考える
深沢 七菜(Nana Fukasawa)
2012年4月新卒として大手小売業グループのシステム会社に入社。入社から5年間以上、インフラエンジニアとして従事。基幹システムからWEB系のシステムまであらゆるシステムの基盤を構築、保守、運用を担当。システムのセキュリティ資格取得の推進も実施。インフラだけではなく、もっとフロントや上流の業務を経験したいと思い、2017年8月に(株)デジタルシフトウェーブに入社。
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