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青森の学生を世界一の見本市 CES に連れていく理由 【CES2024レポート】

どうも、株式会社デジタルキューブ、広報室のタカバシです。

先日、ラスベガスで開催されたデジタル技術の見本市 CES(Consumer Electronics Show)にデジタルキューブグループ・ヘプタゴン代表取締役の立花さんが視察に行っていたので、現地でのお話を訊いてみました。


立花さんの主な目的は「最新のデジタルテック」ではなく、「CES 2024 学生派遣プロジェクト in 青森」での学生のアテンドでした。これは、ICT 分野に関心の高い学生を世界規模で行われるイベント CES に参加させることで、最先端のテクノロジーを体験する機会を作り、得たものを青森の地域課題へ還元するきっかけをつくることを目的としたプロジェクトです。

CES会場にて(一番右が立花さん)

CES ですごかったのは韓国勢

━━ まずは今回の CES の感想を聞かせてください。

CES は、2020 年に行って以来だったんですが、その時と比べて韓国勢の出展数や出展の面積が伸びていました。近年、徐々に増えてきてるなぁ、とは思っていたんですけど、今年はすごかったです。出展数で言うと日本の 6〜7 倍はあったと思います。

逆に、アメリカのスタートアップが少なかった印象で、以前は Kickstarter のようなところが、小さなスタートアップを取りまとめて大きなブースを出してたんですけども、それも無かった気がします。これから小さくなっていっちゃうのかな。

━━ 韓国のブースはどんな出展だったんですか?

エンタープライズ向けはもちろん、国が支援しているブースもスタートアップのブースもありました。そこで実際に展示しているものも、見せ方も課題ドリブンでわかりやすくて、説得力のあるものでした。

見せ方も K - POP を取り入れたりしていて上手に見せていて、国全体でうまくグローバルに出て行こうっていう印象を受けました。

日本だと「こういう技術がありますよ」ってところから始まるというか、技術ベースでブースを作っていくような傾向があるんですけども、韓国は課題ドリブンで作られているので分かりやすいんですよね。なので、韓国勢がある意味でとても羨ましく、勢いを感じました。

日本にも、アニメだったり何だったりっていうコンテンツがあるはずですし、そういう形で国がもっとバックアップをして、世界に出ていかないといけないんじゃないかなと思いました。

━━ その危機感が一番だったんですね。『ゴジラ-1.0』がアカデミー賞にノミネートされたり、Netflix で日本のコンテンツが広がりつつあるので、うまく組めるといいですよね。その他で印象に残ったものはありましたか?

AgeTech(エイジテック) ですね。高齢者向けの技術って、3 年前に行った時はほとんど見かけなかった気がしますが、今回は AgeTech のブースがだいぶ出ていたなという印象でした。

例えば、徘徊してしまう高齢者向けに、靴の中敷きを使ったソリューションとか。靴の中敷きにセンサーが入っていて、そこで通信もするし、歩くと中敷きを踏むことで発電をするので、ずっと使える仕組みもあり、とても説得力のあるものでした。

CES に学生を連れていく理由

━━ 今回は「CES 2024 学生派遣プロジェクト in 青森」で、学生のアテンドがメインだったと思いますが、そもそもこのプロジェクトを始めた理由を教えてください。

私が初めて CES に行ったのは 2016 年だったんですけども、そこで「CES ってすごい技術もたくさんあるんだけど、これでもいいんだ」と感じたものもあったんですね。意外と手短な技術もあったというか、自分たちでも参加できるんじゃないのかな、と思ったんですよね。

で、そんな体験を青森の学生にも共有することで、学生が自信を持ってくれたり、今後の活動の推進力になってくれたらいいな、ということで始めました。

初めて CES に行った 2016 年 

これまでに過去 2 回、2019 年と 2020 年に大学の研究室に声をかけて選抜してもらって、さらにその中から我々の方でも選んだ学生をスポンサードして CES に連れて行くということをやっています。今回に関しても、勉強も課外活動も頑張っている、とても優秀な学生ふたりを連れて行きました。

━━ 実際に CES に連れて行ってみて、いかがでしたか?

実はふたりとも、海外に行くのはもちろん、飛行機にも乗ったことがないということで、どうなるかなと思っていました。

でも、CES で半日ぐらい過ごしているうちに英語にも慣れていって、どんどん自分から話しかけていくようになっていくのを見て、成長を感じました。

話を聞いてみると、やっぱり「こんな技術でもいいんだ」っていうところだったり、「自分たちの技術のことを話してもちゃんと通用する」みたいなところで、とても自信を持っていました。

経営者が一晩飲みに行くことを考えたら

━━ プロジェクトの今後について教えてください。

今回のプロジェクトに関しては、彼らがスポンサー各社へのレポートを書いて、青森県内での報告会をして、完了ということになっています。

学生派遣プロジェクトは、学生の人生を変えるような体験になっていると感じるのと、それが青森県でできていることを考えると、他の地域でも同じことを広げていけたらいいなと思っています。

青森から出たことも飛行機にも乗ったこともなかった学生が、世界で一番のテックイベントである CES に行って、そこで自信を持って帰ってくる… その費用としては、ひとり 30 〜 40 万円くらいです。

例えば 1 社 5 万のスポンサードだとしたら 7 社ぐらい集まればいいので、そういうことに意識を持っている経営者の方とお話をして… 経営者が一晩飲みに行くことを考えたら、そのお金で学生一人の人生を変えられるかもしれないわけで、うまく各地域に広めていけたらいいなと思っています。

━━ 青森に続くところが出てくるといいですね。ありがとうございました!


CES に関するレポートはいろんな媒体で見られると思いますが、「意外と手短な技術もある」ということやその実感というのは現地に行ったからこそ感じられるものかもしれません。

まずは世界を見てみる、体験してみる、そして自分のポジションを知る、というのは学生に限らず重要な手順だと思いますし、そのためには「自分で行く、自分が行く」というのが大事だな、と改めて思いました。

それでは、また。

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