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【生成AI】指定ルールで確実に校正!文章校正AIツールの作り方

割引あり

OuterBrainのしのつかです。

文章を添削・校正する際、誤字脱字のチェックだけでなく、社内ルールなどに沿っているかも確認したい場面が多くあるのではないでしょうか?

書き手にとって、ルールを常に念頭に置いて文章を書くことは簡単ではありません。またレビュー担当者にとって、色んな人が何度も同じ間違いをしていることに頭を悩ませることもあるのではないかと思います。

そこで、生成AIを活用し、あらかじめ指定したルールに沿って文章を校正してくれるAIツールの作り方を解説します!

完成したツールでは下記のように、左側に文章を記入することで、校正結果を数秒で出力することができます。↓

ツールデモ

文章校正ってどこが大変?

覚えるのが大変なルール

ビジネス文書を書くとき、ただ誤字脱字を直すだけではなく、社内の表現ルールや業界特有の用語にも気を配らなければなりません。

しかし、「この表現はNG」「こういう言葉は避けるべき」といった細かいルールをすべて覚えるのは簡単ではありませんよね。書く人にとっては、毎回ルールを思い出しながら書くこと自体が負担となります。
また、ルールが増えるほど、意図せずルールに反した文章を書いてしまうことも増えるでしょう。

効率の悪いレビュー作業

複数人が文章を書くようなケースでは、別々の人が同じ間違いを犯すことが起こるでしょう。レビューワーが、その都度間違いを指摘するのは大変効率が悪いですし、単調な作業になるため集中力も落ちがちです。

また、レビュワーも人間なので、忙しいときに見落としが増えたり、ミスが発生することも考慮に入れなければなりません。

一貫性のないレビュー

複数の人が同じレビュー作業をする場合、一人ひとりの意見や表現のクセが混在してしまい、一貫性を保つのが難しくなることがあります。「このレビューで本当に統一されているのか?」と確認しながらの作業は意外に時間がかかります。

また、同じ社内ルールでも、個人の判断で解釈が微妙に異なることもあるため、「あの人はOKと言ったのに、この人はNGと言ってきた」ということも起こり得ます。

生成AIで校正がもっとラクに!

面倒なルールを自動でチェック

生成AIを使えば、社内や業界特有のルールをAIに覚えさせることで、文章の校正が格段にラクになります。例えば「この表現は避けて」「この言葉はこの文脈で使う」といった詳細なルールも、AIがしっかりチェックしてくれます。

あとでルールの確認をAIに頼めるため、書く側も「ルール違反に気をつけなきゃ」というプレッシャーが軽減され、スムーズに文章作成ができるようになります。

レビュー作業が数秒で

生成AIでレビューをすれば、人間が数分から数十分かけていたレビュー作業も数秒で終わらせることができます。これにより、人手での校正作業にかかっていた時間を大幅に削減でき、ミスや見落としの減少も期待できます。

誰でも高い品質のレビュー

人間では、人によってルールの解釈に揺れが出てしまいますが、生成AIを使えば、毎回同じ基準でレビューをすることが可能になります。「あの人はOKと言ったのに、この人はNGと言ってきた」といった不満が出やすいケースも生成AIを使えば回避できます。

文章校正AIツールの作成

文章校正AIツールの作成には、Difyというサービスを活用します。
Difyとはオープンソースの生成AIアプリ開発プラットフォームです。幅広い用途で使える生成AIアプリをノーコードで作ることができます。

「すぐにツールを使ってみたい!」「自分で作るのはちょっと難しい…」という方は、「今すぐ使えるツールのダウンロード」まで読み飛ばしてください。

今回は、文化庁の「公用文の考え方」という資料を参照し、この考え方に沿って文章を校正できるツールを作成しました。
「公用文の考え方」は63ページある長い資料なので、一般的に広く適用できそうなルールだけ抜き出して校正に使用します。

1. ワークフローの作成

Difyにログインし、「最初から作成」をクリックします。

アプリのタイプは「ワークフロー」を選択し、適当な名前をつけて「作成する」をクリックします。

アプリの作成

2. 入力フィールドの追加

ユーザーが生成AIにレビューしてほしい文章を入力できるよう、開始ブロックに入力フィールドを追加します。

フィールドタイプは「段落」、変数名とラベル名は "input_text" とします。最大長は入力できる最大文字数です。今回は5,000にしておきます。

開始ブロックの設定

3. LLMブロックの追加

LLMブロックを追加し、モデルはgpt-4o-mini、コンテキストはinput_textを指定します。

LLMブロックの設定

SYSTEM欄に記載するプロンプトは下記「プロンプトとJSON Schema」章に記載しています。(有料エリアです)

AIの出力が「修正すべき文章」「適用したルール」「修正すべき理由」「修正後の文章」の4つになるように、モデルの詳細設定を行います。
モデル名横の設定ボタンをクリックします。

Response Formatをjson_schema、JSON Schemaを設定します。

モデルの詳細設定

JSON Schema欄には下記を記載します。

{
  "name": "text_proofreading",
  "description": "ユーザーの文章校正",
  "strict": true,
  "schema": {
      "type": "object",
      "properties": {
        "proofreading": {
          "type": "array",
          "description": "校正する文章と校正理由、校正後の文章",
          "items": {
            "type": "object",
            "properties": {
              "sentence": {
                "type": "string",
                "description": "修正すべき文章"
              },
              "rule": {
                "type": "string",
                "description": "修正すべき理由を記したRules内の見出し"
              },
              "reason": {
                "type": "string",
                "description": "修正すべき理由"
              },
              "corrected_sentence": {
                "type": "string",
                "description": "修正後の文章"
              }
            },
            "required": ["sentence", "rule", "reason", "corrected_sentence"],
            "additionalProperties": false
          }
        }
      },
      "required": ["proofreading"],
      "additionalProperties": false
  }
}

4. AIの出力を整形する

3で追加したLLMブロックから校正の結果が出力されるので、見やすいように整形します。

JSON Parseブロックを追加し、下記のように設定します。

JSON Parseブロックの設定

JSON Parseブロックの出力をコードブロックに渡し、Array[Object]に変換します。

コードブロックの設定

コードブロックの出力をイテレーションブロックに渡し、JSON Parseブロックを使って、要素を一つずつ取り出します。

イテレーション内の設定

テンプレートブロック内で、JSON Parseブロックの出力をまとめます。

テンプレートブロックの設定

こうすることで、ユーザーに返答する際に校正結果が見やすくなります。

出力例

イテレーションブロックの出力をテンプレートブロックに渡し、リストの中身を一つずつ表示します。
最後に終了ブロックを追加すれば、完成です!

まとめ

生成AIを使うと、文章の校正作業がグッと楽になります。社内ルールや業界の基準に沿って、自動でチェックしてくれるので、今まで手作業で行っていたレビューが簡単になるのが魅力です。

このツールを導入すると、校正にかかる時間が短縮され、ルールを覚える負担が軽減されるとともに、レビュー作業のばらつきも抑えられます。また、Difyを使った開発はノーコードで進められるため、非エンジニアでも簡単に業務効率化のAIツールを作成できます。

ツールのデモ

弊社OuterBrainは大企業でAI活用実績のあるメンバーによって、Difyに関するあらゆるサポートをしています。お困りのことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
https://outerbrain.co.jp/


以下の有料エリアでは、今回解説したツールのDSLファイルのダウンロード、LLMブロックで使用したSYSTEMプロンプトの閲覧が可能です!

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