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「LUCKY」から学ぶ生き方
監督:ジョン・キャロル・リンチ/2017年/アメリカ
あらすじ
1匹狼のラッキーは90歳を迎えた。同じ時間に目を覚まし軽い運動をしてからコーヒーを飲みながらタバコを嗜む。午後になると老舗のバーに出かけて常連客たちと酒を飲む。カメの様にゆったりと毎日のルーティンを繰り返す。
ある日、ラッキーは突然倒れたことをきっかけに「死」について考える。
無を忘れない
ラッキーは天国や地獄といった思想を嫌い、自分の哲学だけを信じていた。
「死」は無になること。ただそれだけだ。無になることに向かって人生を進めるだけだと。
いきつけのバーで親友のルーズベルトは飼っているリクガメが脱走したという。常連客が「友情は魂にとって不可欠だ」という。
ラッキーは「魂」というキーワードが出てきただけで、「そんなものはねー!」と猛反発。いつも通り厄介者扱いを受ける。
ある日、ラッキーはいつものモーニングルーティンをしている最中に倒れてしまう。
病院に行っても体に異常は見受けられなかった。年齢の割には健康体で「老が原因」という診断結果。
ラッキーはやたらと身体の心配をして「もう一度検査しろ」と言う。
医者は「死ぬことより老いることの方が気になってしまう。自由が奪われることが嫌なんだ」と言ってラッキーを返した。
ある時、ラッキーが倒れたこと知ったカフェの店員が見舞いに来る。
ラッキーは自分が老いぼれていくことに恐怖を感じていると告げる。
死ぬことはただ無になることだと言いつつ、どうしても心が言うことを聞いてくれない。感情とは実に厄介で無に生きることを許してくれない。人は無であることが寂しいことであるかのように捉える生き物なのかもしれない。
だから周りに合わせたり、偉い人の言うことを聞いたりして安心を求め続ける。自分を見つめることが怖くなる時は誰にでもあるだろう。
ある時、バーでルーズベルトは「リクガメの失踪を受け入れることにした」と言う。「リクガメの人生を私が邪魔していたのかもしれない。縁があればまた会える。私はいつでも門を開けておくだけ。」
ラッキーはその話しを聞いてある答えを見出した。
自分の人生に管理者などいない。
全ての人生は無になっていくだけ。
ルーズベルト「だったらどうすればいい」
ラッキー「微笑むのさ」