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シネマ飛龍革命【ダークネスマン】

年末ヴァンダム商戦、到来!


掟破りのジャン・クロード=ヴァン・ダム主演作品が2本連続リリースされた、12月。
『ファイナルブラッド2』に続き、いよいよ締めを飾る作品『ダークネスマン』が遂にDVDでレンタル開始された!


大事なことなので強調しておこう。

配信、劇場公開ではない。

レンタル開始、である。


サブスク配信、劇場公開が当たり前とされる昨今、まさかのDVDレンタルのみ!
まがりなりにも、かつては劇場公開作品という表記があったヴァンダム作品(例え公開一週間限定だけだとしても)。
それにしたって、この扱いはどうだ!?
(しかもBlu-rayですらない)

そこはダークネスじゃなくて良いだろ!

陽の光を当ててやれよ!世間の!!

『ファイナルブラッド2』以上にプロモーションらしいプロモーションが皆無だった本作。
あったろ、何かしら…えー、なんだ…
『To LOVEる -とらぶる- ダークネス』とコラボとか!
ともあれ、まさに深刻な円安ヴァン高な事態だ。
暇さえあればヴァンダム作品の日本公開情報を追いかけていたデイトレーダーのようなヴァンダムファンは忸怩たる思いを抱いていたのではなかろうか?
なにせ声の出演だった『ミニオンズフィーバー』を除いて、単独の主演作品を我々ヴァンダマニア約3年も待ったのだ!
そう、ガンダム0083のアナベル・ガトーのように。
とはいえ、ヴァンダム映画を何かしらの形で観れる手段があるだけ良しとしましょう!!
振り返ると、今は数が少なくなってきたレンタル屋文化に寄り添ってきたヴァンダム作品だ。
これも「サブスクや劇場も良いけど、レンタル屋もよろしくな!」という彼氏なりのメッセージとして勝手に受け止めるしかない。
実に油断ならない俳優である。
ヴァンダムは。

そんな彼氏の最新作『ダークネスマン』のあらすじは、こうだ。

インターポールの捜査官だったヴァンダム扮するハッチ・ラッセル。
そんな過去も今は昔。
現在はアル中の無職として絶賛ブラブラしていた。
たまにあるバイトはコンビニのおっちゃんから頼まれる宅配、そして思春期真っただ中の少年ジェイデンの送迎。
というのも、かつて守れなかった亡き愛人スー・ミンから託された約束....『息子ジェイデンを守ってほしい』を律義に守っていたのだ。
スー・ミンの実家はゴリゴリの韓国系暴力団であり、彼女はもともとハッチが手掛ける犯罪捜査の証人だったのだ。
ジェイデンが犯罪と無縁に生きられるようハッチは日々生活指導するものの、住んでいるLAの治安は最悪。
ましてやハッチ本人がアル中無職なのも手伝い、生活指導の説得力はまるでない
肝心のジェイデンは実の親じゃないハッチが世話を焼くのを疎ましく思っていた。
これで「くすぶるな」というのが無理な話だ。
おかげさまで拭えない罪悪感から酒に飲まれて飲んでの日々を送るハッチなのだった。
しかし、

ヴァンダムの気持ち、子知らず。


ハッチの目を逃れ、ジェイデンは反グレ韓国グループに仲間入りしてしまう。
しかも間の悪いことに彼らは麻薬を巡って新興のロシアンマフィアと絶賛小競り合い中であった。
ジェイデンをきっかけに韓国ギャング、ロシアマフィアの抗争の渦に巻き込まれるハッチ。
果たして彼はアンダーグラウンドをサバイブし、ジェイデンを更生させることが出来るのか?
自らの過去にケジメをつけ、愛したものの約束を守る為…ハッチは闇の必殺仕事人として孤独な戦いを開始するのであった。

ヴァンダム版『酒と泪と男と女』な世界観の本作。

深夜1時位に観るにはうってつけである。
かつてのイケイケ路線だった頃に公開された『ハードターゲット』のキャッチコピーは『怒りを瞳に憂いを肩に、いまヴァン・ダムが行く!』であった。
しかし本作は『哀しみを瞳に憂いを肩に、しばらくしてからヴァン・ダムが行く!行けたら!!』というキャッチコピーが似合う。
『その男、ヴァン・ダム』から始まったであろう、よろしく哀愁路線の作品だ。
『ザ・バウンサー』『ネバーダイ決意の弾丸』に連なる作品といっても差し支えないだろう。
この路線の哀戦士ヴァンダムっぷりが実にタマらない。
本作ではパチ屋に開店前に並ぶオッサンのようなビジュアルで、アル中の元捜査官を演じているヴァンダム。
おかげさまで劇中の彼の顔にはくっきりと皺が刻まれ、拭えない罪悪感を抱えながら死んだ瞳で街を彷徨う姿が実に絵になる。

映画の中のヴァンダムは哀しければ哀しいほど輝く。

リアルでもキャリア衰退という泥水をすすったものにしか出せない輝きだ。
かつてのハッスルマッチョ路線があったからこそ、何とも言えない陰影を作品にもたらしている。


言ってしまえばベタなハードボイルドをヴァンダムでやってみました!
…という作品なわけだが、奇をてらわない直球ぶりが実にグッとくる。
おそらくヴァンダムなりにフィルムノワール、あるいはハードボイルドをやりたかったのかもしれん。
劇中のヴァンダムの部屋に貼っている1940~50年代のフィルム・ノワールのポスターからも、それが伺える。
また劇中ヴァンダムが猫を飼っているのはロバート・アルトマンの『ロンググッドバイ』を彷彿とさせてくれる…と思うのは俺の考えすぎだろうか?
俺のような映画ポン引きとは違う、シネフィル的な考察が求められるところだ。

でもあいつら語らねえからな!
ヴァンダムのこと!

俺の心の中にいるシューティング合宿の佐山聡が思わずシャウトしてしまう。

ヴァンダムを語るのも技術のうち!!と。


豪華なスケールや派手さ、ましてやヴァンダムお得意の無双アクションは本作にはない。
100人が100人もろ手を挙げてほめる作品ではないかもしれん。
今まで日陰者だったヴァンダムが失ったものを取り戻すべく奮起するだけの作品だ。


だが、明るい展望が見えず、くすぶっているリアル・ダークネスマン(俺とか)には実に沁みる作品だ。
思えば今まで散々映画で開脚し、たまにお尻も出して多くのファンを喜ばせたヴァンダム。
今度は我々観客が別な意味で心の開脚、あるいは心のお尻を出す番なのではないだろうか?
具体的に言うとレンタルだけじゃなく円盤買ったりとか!
ともあれ、かつてのヴァンダムに世話になったと勝手に思っている俺は、改めてレンタルなり円盤購入で仁義を通したくなった作品ですよ。

↑この記事はどうでもいい!各自買ってくれ!

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