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公務員の魅力

最近、「公務員は魅力がない。」「公務員になってもつまらない。」という記事やコメントを個人的によく目にしました。

世界中の情勢が不透明な中で、公務員ももはや安定職ではないこと、テレワークやインターネットツールが発展し、世界中どこでも仕事ができる環境になったこと、そういった変化によって「終身雇用」「転勤がない」といった昔からの魅力が薄れたことが原因かもしれません。

一方で、私はまだ公務員を楽しんで、働き続けています。改めて、自分の仕事の魅力って何だろうと考えてみました。

1 危機への対処

大災害などの危機的な事象の時に、全力を尽くせる機会があるのは、魅力かと思います。

私は「公務員は黒子なので表に出てこない」と思っていますし、noteにもそのように書きました。そのため、自分の名前を世に知らしめたいといった志望にはマッチしていない職業だと思います。

一方で、災害時など、世の中が危機に瀕しているときは、別です。新聞記事に載る、取材を受けるなどスポットライトを浴びるわけではないのですが、震災などの時は、公務員の仕事が誰かの役に立っていると、強く感じます。

私も入庁してから2回、災害級の事象に巡り合いました。東日本大震災と、新型コロナウイルスへの対応です。いずれも、被害の把握、住民への情報発信、継続的な行政サービスの実施など、行政が主体的に発信しました。

個人的には、主役になれることや表舞台に立てることが魅力であるとは思いません。それは、首長や議員の役目だと思っています。

しかし、災害や疫病などの天変地異に直面すると、人はどうしても無力感にさいなまれると思います。「いったい何ができるのだろう。」「自分がとるに足らない存在に思える。」など、壁にぶつかってしまうことは、あるのではないでしょうか。

公務員は、その行き場のない思いを仕事にぶつけることができます。危機的事象の時は、どんな自治体であれ、一丸となって対応します。住民の救済や、政府等との連絡調整、効果的な施策の展開など、一人ひとりが何かしらの役割を持ちます。

対応している最中は必死であるため、そんなことを感じている余裕はないかもしれませんが、「誰かの役に立っている。」「誰かを救うために仕事をしている。」と思いながら仕事ができるのは、とても幸せなことだと思います。

もちろんボランティアとして、または、別の仕事として、災害等の対処に貢献することよりも、公務員の仕事の方が良いと、比較をするわけではありません。ただ、自分の仕事が誰かの役に立っていると、危機が起きたときに感じられるのは、公務員の大きな魅力だと思います。

2 正確な情報がいち早く手に入る

上記に比べれば弱いですが、情報の精度と速さも魅力的に思います。一般的に、行政や地方自治体は対応が遅いとよく言われます。今は少し変わっているかもしれませんが、拙速であるよりも慎重であることが美徳とされている文化があるからかもしれません。

一方でSNSの発達から、世の中には様々な情報が飛び交っています。その内容は玉石混合であり、信じるに値するものから、ゴシップや陰謀論まで様々です。その中で、行政や地方自治体が発信する情報は、一定の精度を持っています。

行政が政策的な判断をする際は、担当が幾度もエビデンスや根拠を積み重ねて、上司に説明し、実行に移されます。

施策を実行する担当となり、資料を作成する場合、まずは信頼できるところから情報収集を開始します。
・政府の関連の事務連絡を読み込んで、説明用の文章に直す。
・近隣の自治体の類似事例を調べ、直接ヒアリングを行う。
・他県市や他国の政府行政関連機関の発表資料から内容を抜粋する。など、
だれが見ても、一定の信頼ができるところから情報を収集して、案を作成します。

重大な案件であれば、上司も、課長→部長→局長→首長と順を追って説明することになります。それぞれから違った角度で質問があり、回答を行います。その際、上に行けば行くほど住民への説明に近づくため、誰にでも分かりやすく説明されている精度の高い資料となっていきます。

担当でない場合は、同僚の成果をお裾分けしてもらうことができます。誰かが首長への説明用に作った「誰でも理解できることを前提とした分かりやすい資料」をいち早く見ることができます。

世界中で様々な事件や出来事がある中、信頼できる情報を早くにキャッチできる機関に身を置くことができるのは、意外と魅力的です。ある情報が、正しいのか、正しくないのか、正確なのか、そうでないのかを見分けることができるので、日々の生活においても、役立つことが結構あります。

3 勤務環境が良い

自治体によると言われてしまうかもしれませんが、公務員の勤務環境は良いのではないかと思います。

個人としても、今までに、放任系、気配り系、がっちりマネージ系など、様々なタイプの上司に仕えました。パワハラなどは論外として「ちょっとどうなのか。」と思う上司には当たったことがありません。(庁舎内に全くいないというわけではなく、噂や昔話としては耳にします。)

安定志向、調整型、前に立つタイプでない、などに多様な気質を持つ方が多いからなのか、出世にそこまで熱心な方がおらず、競争が少ないからなのか、ざっくりいうと良い人が多いです。

また、頻繁に異動があり、局をまたがった事業もたびたびあるため、顔見知りも多くなります。異動しても誰かしら知り合いがいることが多く、新鮮味がない代わりに、ギャップに戸惑うことはありません。

加えて、改めて言うことでもないですが、福利厚生は充実しています。残業代はしっかり払われますし、産休、育休、傷病休暇、子どもの看護休暇など、もしもの時の体制も充実しています。

当たり前と言えば、それまでですが、なければ困ることを心配せずに業務に集中できるのはありがたいことだと思います。

周りの同僚や上司をはじめとした人間関係や福利厚生などの制度面の充実といった安定した環境で業務ができるため、会社に行くのが嫌だなーと思うことがあまりありません。(自治体によると思うので、異論はあると思います。)

4 バラエティー豊かな経験を積める

異動が頻繁にあり様々な分野の仕事ができることが公務員の魅力だと思っています。一度しかない人生なので、仕事として様々な分野に携って知見を得ることができるのは、非常にお得だと思っています。

個人的な経験としては、入庁して公立病院に配属されて医師や看護師の方とともに仕事をし、次は道路整備関係の業務について国への陳情やイベントの企画を行い、民間企業に派遣され、自治体に戻って福祉審議会を運営し…と、どれもこれも印象的な仕事ばかりです。

全ての経験が自分の糧になっていますし、思い返してみても充実した時間だったと言い切れます。これらすべての経験を、地方自治体の中で回っているため、例えてみれば、費用や負担なしで転職をしているようなものです。

私は使用したことはありませんが、面白そうだなと思うところに、志望動機を書いて出すと、熱意によりますが、庁内FAとして、希望を叶えてくれることもあります。

2~3カ所目の異動で、自分の希望を出して叶えたら、そこで成果を出して、次の異動で花形・トレンドの部署に行くというのが王道のように思います。

入庁して10年も経つと、最初の異動のように、期待に胸を膨らませるといったことはなくなりましたが、次の分野で、新たな経験をまた積めると前向きにとらえられます。

私もそうですが、就活もしたけれど自分が本当にやりたいことがいまいち見つからず、結局、まだまだ色々なことに興味があり、多くの分野のことを知りたい、仕事をしたいという人も少なくはないと思います。

そういう意味で、リスクなしで転職ができ、多くの経験が積める公務員はお勧めだなと感じます。

5 まとめ

公務員の魅力として、よく言われる「安定してる」「ホワイト」以外の魅力について考えてみました。私の実感なので、異論はあると思いますし、真逆と感じる人もいるかもしれません。

ただ、総じていえることは、入庁してから、朝起きて会社行くのが嫌だなとは思ったことはないですし、良い職業だと思います。もちろん自分の子どもにも勧められます。

何をもって魅力と言えるかは人それぞれですが、私にとって今自分が働いている公務員は、魅力的な職業だと思います。

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