“死神”という落語。
あの落語を初めて聴いたのは…確かラジオだ。日曜日の朝に放送されている春風亭一之輔の番組だったと思う。
そのラジオ内で“死神”という噺を一之輔さんが披露して、衝撃を受けた。
落語とはお笑いだと思っていた。昔から伝わる噺を、分かりやすく現代風にアレンジした大衆娯楽。
しかしこの“死神”という噺を、初めて聴いた時の感想は「何これ!?めっちゃカッコイイ!!」だった。
“死神”のあらすじは以下を読んで欲しい。
お笑いに必要なのは緩急だと言われている。緊張と緩和とも言い換えられる。“死神”はあくまで落語なので、ちゃんと笑えるポイントもあるが、肝はそこではない。
サゲ(オチ)が「緩和」ではなく、「緊張」で幕が下りるのだ。サゲに近づくほど緊張感が増す。
しかしこの緊張が堪らなく良い!暗闇と無数の蝋燭が目の前に浮かんでくる。
個人的には立川談志師匠の噺が好きだ。
談志師匠の死神はマクラがたまらなくカッコイイ!普通に日常の会話をしているかと思ったら、少しずつグラデーションで本筋に入っていく。
現世と落語の世界を混然一体とするマクラは身震いするほどだ。
週刊少年ジャンプで連載中の【あかね噺】の新刊でついにその“死神”が出た。
主人公の師匠が演じる“死神”。そのモデルはたぶん立川談志師匠ではないだろうか?と私は思う。
“死神”の怖さと人間っぽさ。そして人間の愚かさと諦めの悪さが見事に伝わってくる。
初めて見た人は「これが落語?」と思うだろう。今はYouTubeなどでも多くの落語が視聴出来るので、多くを観たが私は“死神”が一番好きだ。
落語は古くからあるエンタメであるにも関わらず、どこにも無い新しさを感じる。
来年からの新しい趣味に落語はいかが?