2023/11/22

最近買ったお気に入りの靴。
絶対に汚したくない私。

天気、行く先、歩行距離などなど
履いて出かけるために満たすべき条件を厳しく設定していた。

先日のこと。
テーブルの向かいに座る知らないおじさん。
突然怒り出し、私の宝物を踏みつけてきた。
案の定靴は真っ黒。
「嘘やぁぁあァァ!??!…」

殺人鬼に追いかけられたとき以来の飛び起き。
心底安心した私は、微笑みながら2度寝を楽しんだ。

起床後、改めて夢であったと確認するために靴箱から相棒を取り出す。
相変わらず、汚れひとつなく白く輝いている。

せっかくだからと、履いて出かけることにした。
相変わらず、これを履いていると足取りが軽くなる。
心にゆとりが生まれ、多少のことは許せてしまうから不思議。

信号待ちの度に相棒を眺めながらルンルンで歩いた。
目的に着く最後の信号。再び足元に目をやった瞬間に言葉を失った

左足つま先部分に付着した茶色いシミ。

一度目を頬をつねってみようか。
いや、すでに靴擦れ部分をかばいながら歩いている。

今回ばかりは疑いようもない現実だった。

ケース越しに靴を眺めるコレクターの気持ちが少しだけわかった気がした。


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