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Hマートで泣きながら

アメリカ人の父と韓国人の母を持つハーフとして生まれた
ミシェル・ザウナーのアメリカで暮らす日々を書き留めたエッセー。
Hマートとは、アメリカに展開するアジア系スーパーだ。

物語のど真ん中にあるのは、
末期ガンで亡くした母との思い出。
ミシェルは最期まで付き添い、母の全てを看取った。

「母さん」〜近くて遠くて、良薬にもなれば毒薬にもなる
だけど、やっぱり、その存在は大きすぎた。


普通の親は子供が怪我をすれば、すぐに手当を思うが
ミシェルの母は怒鳴る!
その怪我が一生残るじゃないの。何やってんの!
我が子の行く末を案じているのだ。

愛のムチという言葉があるけれど、母の愛のムチは極太だった。
ヘビーデューティのタフな、弱みが入る隙のない、頑丈な愛だった。
わたしが傷つけば、母はその痛みを自分のことのように感じた。
母に罪があるとすれば、心を砕きすぎたことだけだった。
今ならそれがわかる。

Hマートで泣きながら

私もミシェルの母親の言葉を有難く受け取った。
泣くんじゃない!涙はお母さんが死んだときまで取っておきなさい」
自分の10パーセントは自分のために取っておきなさい」
  〜どんなに人を愛しても全てを捧げるのではなく、自分のための10%
   それは本当に必要じゃないかな?


母を亡くした後の喪失感を
キムチ作りによって埋めようとするミシェル。
それは形容し難いほど伝わってくる。
彼女のルーツ〜母親の母国〜
韓国の味はミシェルのDNAに刻み込まれている。

Hマートで泣きながら、ぎゅっと母そのものを噛み締める
食の記憶は消えないから。存在し続けるから。

あと書きを読むと
母親が亡くなってからミュージシャンとして認知されるようになり
エッセーも書きはじめた著者。

だが、その道のりは簡単じゃない。
この本の出版まで5年もかかっている。
その間に周りの皆さんの愛に支えられたことを率直に書いていた。
感謝、感謝、人生は感謝のうちに
これも母からの贈り物だろう。

読んでる最中は、
同じような話の繰り返しだと思っていたが
こうして何日か経ってから感想を書こうとすれば感情が込み上げる。
悲しみはいつも後からやってくる。



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ダイヤモンド・ペッパー
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