ジョン・ケープルズ『ザ・コピーライティング』を読む
広告は「○○」が命
90年以上も読み継がれ、2008年刊行の改訂新版も26刷12万部とロングセラーとなっている『ザ・コピーライティング』。
広告業界の伝説のバイブルと言われているが、本書はまさに超実践的、超実用的な本である。実際に、どんな言葉が人を動かしたのか、どんな言葉が動かせなかったのか、豊富な実例をもとに解説されていく。
まず詳しく語られるのが「見出し(キャッチフレーズ)」についてである。第2章「広告は見出しが命」の冒頭で、著者のジョン・ケープルズはこう記している。
そしてケープルズは、こんな質問を投げかける。ある通販の広告で、一方は効果があり、一方はダメだった。どちらが効果的だったか。その理由はどんなものだったか。
「読まれた見出し」と「スルーされた見出し」の決定的な違い
全体の印象はまったく同じで、見出しだけが異なる2種類の広告が作られたのだ。読み手を惹きつける力の差の大部分は、この見出しにあった。結果はどうだったか。
はるかに多くの問い合わせと申込みを得たのは、2番目の見出しだった。
ケープルズはこう分析する。
一方、1番目の見出しの問題点についても指摘する。
たしかにそんな印象を受ける。だから、この見出しは効果を得られなかったのだ。こんなふうに、効果の出たもの、出なかったものを比較したり、実際の優れた広告を数多く紹介、ケープルズ自身が詳しく解説しているのが、本書の大きな特色だ。
しかも、どうやって見出しやコピーを作っていけばいいか、も指南してくれる。もちろん、効果が出るもの、という前提だ。50年以上にわたって、「科学的広告」の促進を目指してきたケープルズ。美しい広告などではなく、効果が出る広告こそ、彼が目指してきた広告だったからである。
そしてそれは、誰にでも広告づくりの大きなヒントにすることができる。だからこそ、90年も読み継がれてきたのだ。
人を惹きつける「効果的な見出し」3パターン
例えば、効果的な見出しは3パターンに分けられる、とケープルズは書き記す。「得になること」「新情報」「好奇心」の3つだ。本書では、例を挙げて解説されている。
そして、無意味な見出しの例、何が言いたいのかわからない見出しの例も挙げる。見出しを作るとき、何をやってはいけないか、何をやるべきかがわかるのだ。
さらに第3章では「どんな見出しが1番注目されるか」で見出しの成功例10本が解説され、第4章「効く見出しはこう書く」では、見出し失敗例10本、見出しを書く5つのルール、見出しを書く13のヒントと続き、第5章では「35の見出しの型――効果は検証済み」と続く。効果のあった型が35も紹介されているのだ。もちろん、見出しに続くコピーそのものについても、さまざまに指南が行われる。
とにかく徹底的に実践的なのである。広告やプロモーションに携わる人に、これから携わるかもしれない人に、モノやサービスを売ろうと考えている人に、大きな示唆を間違いなく与えてくれるはずだ。
(本記事は『ザ・コピーライティング 心の琴線にふれる言葉の法則』より一部を引用して解説しています)