【精神科医が教える】不安やストレスを消す「科学的に正しい脳の休ませ方」
日本人が知らない「科学的に正しい脳の休ませ方」
身体を休めたところで、脳は休めていない。そんな衝撃的な事実とともに、「最高の休息法」として脳を休ませる方法を説き、シリーズ30万部のベストセラーとなっている『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その方法こそが、マインドフルネス。瞑想などを通じた脳の休息法である。
瞑想というと怪しげなイメージを持つ人もいるが、瞑想こそが「科学的に正しい脳の休ませ方」だと言えるエビデンスが、最先端の研究を行っている科学者から、次々に集まり始めているという。そして、アメリカでは、マインドフルネスが爆発的に流行しているのだ。
本書は、アメリカで最先端の治療を取り入れた診療を行ってきた精神科医・久賀谷亮氏が、マインドフルネスについて脳科学的な知見を交えながら書いた1冊である。
ユニークなのは、まずはマインドフルネス瞑想のアウトラインをつかむため、メソッドとしての7つの休息法をイラスト入りでざっくり解説した後は、小説形式で本編が書かれていくことだ。その理由について、久賀谷氏はこう書いている。
マインドフルネスを科学的に解説しようとすると、あまりに単純すぎてとっつきにくいものになる。しかし、小説仕立てになっていることで、重要なポイントやメソッドが「知恵」として、わかりやすくしっかり頭に入ってくるのである。
グーグル、アップル…世界中で実践される手法
小説の舞台は、久賀谷氏も学んだイェール大学の医学部。主人公は日本からやってきた大学研究員のナツ。自身、研究がうまくいかないことに悩む中、経営が傾き始めてしまった叔父の経営するベーグル店を手伝うことになる。
ヨーダとも呼ばれるラルフ・グローブ教授のアドバイスのもと、この店のスタッフたち、さらにはお店そのものを、マインドフルネスを使って変えていく、というストーリーだ。
マインドフルネスが人を、組織をどう変えていくか、また脳科学の最前線とどう触れあっていくか、物語を読みながらわかる仕組みになっている。
興味深いのは、ナツが京都の禅寺の娘で、座禅の修行などを非科学的なものだと信用していなかったということ。その世界から抜け出すために、脳科学を志してアメリカにまでやってきたのだ。なのに、またあの「修行」なのか、という物語なのだ。
だが、研究員としてのナツは、もはやなりふりかまってなどいられないところまで追い込まれていた。その一方で、マインドフルネスはアメリカで一大ブームを巻き起こしていた。病院、学校、そして多くの企業にも、積極的に取り入れられているというニュースが、無関心を決め込んでいたナツの耳にも入り込むのである。
他にもセールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ、リンクトインのジェフ・ウェイナー、ホールフーズのジョン・マッキー、ツイッターなどの創業者エヴァン・ウィリアムズ、大手医療保険会社エトナのCEOマーク・ベルトリーニなど、マインドフルネスに関心を寄せるエリートは少なくなかった。
働くストレスが3分の1に
個人の生産性も爆上がり
そしてマインドフルネスのもたらす効果は、個人のみならず会社全体に及んでいた。
叔父の経営する店の、覇気のないスタッフをなんとかできるのではないか。ナツの問いかけに、ヨーダこと教授は「できる」と伝える。
何よりも実利を重視しそうなアメリカ人、しかも本当に役立つものにしか手を出さないはずの世界のエリートたちが、なぜマインドフルネスを実践し始めているのか。
マインドフルネスは最高の休息法だと教授が言いきるのは、もはやただの東洋式瞑想の焼き直しに留まらず、科学的に裏付けされたものに進化しつつあるからだ。世界トップクラスのアカデミック・ジャーナルでも、マインドフルネスに関する研究論文は相当数にのぼっていた。
もはや最先端の脳科学や精神医学が大真面目に研究する科学的休息法になりつつあったのだ。そしてそのメソッドが、効果を生み出していく。
(本記事は『世界のエリートがやっている 最高の休息法』より一部を引用して解説しています)