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不確実性への耐性

イラスト:ムツナナツ

対話をする時に大事なことってなんだろう? その一つに「即興性」があると思う。

即興性」とは何か。

ジャズなどで予定調和ではなく、楽譜もなくまわりのミュージシャンの奏でる楽器の音に瞬間的に合わせて自分の音をはめていくことを言う。

僕は楽器を演奏できない。 だからという訳ではないが、対話で喉の声帯を使ってジャズセッションに参加しているのかもしれない。 グルーブ感のある対話が奏でられると気持ちがいい。

時にその空間に、感動や納得感、安堵の気持ちなどいろんなものがごちゃまぜに存在したりする。 僕はワークショップをファシリテーションするときはこの即興性を重視している。 対話はどの方向に転がるかわからないし、どんな展開になるか予測もつかない。 その予測不可能な感じが大事だと思う。

これはオープンダイアローグにおける「不確実性への耐性」(Tolerance of uncertainty)にも繋がる。 答えのない不確かな状況に耐えること。 それは、不確実性に寛容である、とも捉えられる。 参加者がその虚ろなゆらぎを楽しんでくれたらと思っている。 予定調和とは違う緊張感と自由な雰囲気。 その両方が流れている。 予定調和を崩す、と言ってもいい。

ワークショップの計画を立てる人もいるだろうが、僕は計画や想定を手放すようにしている。 相談面接を構造化するとか、半構造化するとか言うが、僕は「プチ構造化」くらいが丁度いいと思っている。 僕がワークショップを準備するにあたって、事前に決めておくことはどんなテーマについて対話するかの案をいくつか出すことくらいで、あとはその場で参加者さんたちと話しながら決める。

ちなみに音楽の即興演奏は、楽譜によらず音楽を即興で演奏すること、ラテン語でアドリブの意味。 対話においては「いま、この瞬間」を大事にしている。 型通りに進まないことで参加者の思いがけない本音や気づきが生まれる。 計画しすぎると計画以上のことは起こらない。 また、僕は対話のなかで質問された時、「こういう時にはこう返すのがいいんだろう」という答えを返すのではなく、自分の過去の経験の湖の中にドボンと潜っていく。 たくさんの想いや記憶にアクセスするために。 具体的には目の焦点をぼやかしていく。 浮上してくるまでに少し時間がかかることもあるが、あまり急ぐことなく自分のペースでやっている。 沈黙が流れることを恐れないようにしている。まわりに迷惑だと思わないようにしている。 むしろ、それは必要な儀式とすら思っている節がある。 その沈黙もまた即興性に含まれるのかなと思うからだ。
(2022年6月20日に書いた記事です)
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いつものように、レイアウト・タイトル・画像を決めてからこれ以降は投稿日にひろっちが追記していきます😊

イラスト:ムツナナツ

つぃつぃ。不測の事態が発生することを避ける傾向にある。特に、われわれは医療現場に携わっている事も心理的な影響を孕んでいると思う。不測事態が発生した場合の反射神経は、日頃から磨いておかなければ発揮する事ができない。つよぽんが話している事とは違うシチュエーションではあるのだが、不確実性への耐性という点では通ずるものがあると感じる。いずれも共通する事は「平常心」ではないだろうか。
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いつもこの場を訪れていただき、ありがとうございます。思いもよらぬことが発生すると、時にはパニック状態に陥ることもあると思います。湧き上がる感情を客観的に沈着して、自分を律することが出来るでしょうか。対話の即興性を日常から意識していると、少し心の安静を保つ事ができるのかもしれませんね。
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