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「ワンクリック特許、期限切れ」から

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三点に注目したい。
 1.多次元知財網の「出さない」部分のデザイン
 2.知財の価値の定量
 3.その出願がエコシステムに引き起こすこと

関連代表記事 Forbes テクノロジー 2017/01/11  https://forbesjapan.com/articles/detail/14817 

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A 知財は本当に奥が深い。そして、誤解も多い。「特許出願しています」と胸を張る企業を目にすることがあるが、その行動が、自社の価値を下げる可能性だってある。


B 確かに特許神話は存在する。特許は多次元の網目。自社の進む方向に、防護壁で左右を囲まれた道を敷き、相手が攻め込んでこないように、攻め込むルートの関所にも爆弾を配置する。更には、相手の進む道の先に地雷を埋めることもある。当然、相手だって同じことを考えている。駆け引きの世界であり、1つや2つ「出しました」では意味のないことの方が多い。


A 意味がないのであれば、労力と金銭の無駄遣い程度で済むからまだいい。例えば、非常に面白く魅力的な技術基盤ができたのに、そこで無暗に出願してします。この出願が練られデザインされたものでなければ、この技術には知財という足枷がついたことになる。他社がこの技術を使いたい・買いたいといっても、中途半端に出願したせいで、その魅力がさがることは多々ある。出願するのであれば、自社は何がしたいのか?を明確にするのが大前提。


B 一方で、数がモノを言う、というのも事実ではある。知財はその価値を明確に定量することが困難であり、この観点から、例えばクロスさせる場合に「数」が1つの重要指標になることも多い。これは伝統的な部分もある。特に大企業が知財の網目を戦略的にデザインする以前に、兎に角出す!という数戦略をとるケースが多いのも、歴史的部分が関与している。


A デジタルの波は多くの技術革新を起こしていて、AIやXXTechへと繋がっている。このような技術進化は、人間が捉えられなかった部分を捉える力でもある。知財も同様。あまりに多次元で価値定量が困難を極める領域であったが、ここのテクノロジーが入ることで、今までよりは、出願の価値が見えるようになってきている。


B 大企業は勿論だが、中小企業や個人に対しても、これは朗報である。資金的な制約もある中で、出せる知財の件数は限られてくる。例えば1件であっても、数でカウントされるのではなく、その価値で評価される、そしてそれがより客観性を帯びることで、自身や自社の価値を高めることができる。そのためには、業界動向は勿論、技術の方向性やボトルネックなどを把握し見通せる力が必用であることは、言うまでもない。


A アマゾンの1クリックに戻してみると、これは秀逸な知財である。顧客からみれば煩雑さがなくなるという価値を有し、事業者からみればかご落ち抑制という機能を有する。これが売上増に繋がっていく。この知財が切れることで当然、他社は直ぐに模倣しだすだろう。


B 事業単体で考えれば、模倣すべきだし、するはず。観点をずらすと、消費者としては「クリックしたら終わり」という状況が、こんご急速に普及するということを念頭に置く必要がある。かごにある状態で、悩み、やめる人もいたことだろう。今後は、これができなくなっていく。


A この流れでみれば、当然だが、注文/発送のリードタイムが極小化していく。どんどん機械化されていく。つまり、「買います」とボタンを押した瞬間に、すぐに倉庫から発送手続きに入り、キャンセル不能にしてしまう。事業の効率面でみれば、非常にリーズナブル。


B 誤発注で商品が発送されてもそれを手間なくキャンセル・返送できる仕組…といった皮肉的サービスが展開される未来は、悪い冗談でしかない。

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