「歴史は繰り返さない」から
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3点に注目したい。
1.濁流形成前の察知能力
2.トリガーの把握
3.集団への作用の把握と、仮説化。
代表関連記事 東洋経済ONLINE 2019/02/21 15:00
https://toyokeizai.net/articles/-/266214
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A マーク・トウェインの「歴史は韻を踏む」という言葉は、非常に的を射ていると思う。「歴史は繰り返す」というマインドセットと、「歴史は韻を踏む」というマインドセットとでは、思考を巡らす幅や深さが大きく変わってくる。
B 人間というモノの本質が大きく変化しないのであれば、人口密度やテクノロジーが変化しても、群として形成する主観的事実の質も大きくは、変化しない。ここには、何かしらの傾向のようなものがあり、時間や物理的距離を跨いで、これからのイベントを類推できることがある。これが「韻を踏む」という概念であろう。
A 例えば、昔々に起きたある事象Xをひっぱってきて、それをまるまるパクり、「事象Xが昔起きた⇒今回もXと同じ道筋を辿る」と安直に判断するのが、「歴史は繰り返す」思考である。言ってしまえば、考えたフリだけしている状況でもある。
B 野性的感であったりマグレ当たりという成功結果に対して、あとから立派な根拠を引っ提げることは簡単である。世の中に報告されている「成功体験」の中の多くのものは、このような類のものではないだろうか。同様に、成功事例だけを表面に出して、失敗事例は闇に葬るケースも多い。
A 未来予想的中・問題解決能力万歳が、過度に強調されている可能性も否めない。過去と今の情報から、未来の変化を予測できるのだろうか。私が思うに、当然失敗は存在するが、大きなイベントに対する予想確度は上がっていく。
B 人間の活動も全てが、アルゴリズムにより規定されている。科学的思考に立脚するのであれば、「行動に至るためのステップ」に所定の(複雑な)ルールがあったとしても、何らおかしくはない。この状況でデータ至上主義が更に進み、扱えるデータ量が指数的に増えていくとなると、科学的に人間の集団活動の向こう側が見えてくることになる。
A あらゆるデータを全て吸い尽くすというのは非現実である。しかし、扱えるデータ量が爆発的に増えるのは事実である。正規分布の外側についても、その威力がよりはっきりと把握できるようになってくる。
B 人間的な集団としての行動に、起こりうる確率の低いキッカケが作用することで、爆発的な潮流を形成していく。集団としての行動ルールは、それこそデータ至上主義の得意分野であり、コントロール対象にさえなってくる。
A 発生確率の低いトリガーを見抜くことが重要であり、ここで、「韻を踏む」が本領を発揮する。些細なトリガーにいち早く気が付き、それが集団としての主観事実形成にどれだけ寄与していくかを判断していく。
B トリガーの把握でさえ、データ至上主義は味方をする。バブルでも、リーマンショックでも、北朝鮮問題でも、ジェノサイドでも…、歴史的に見たときのこれらの「トリガー」部分に着目することが容易になってきている。
A トリガーというのは、人間の心理や行動へと影響を与えやすい因子でもある。この因子が、現在の人間い作用した場合に、新しいテクノロージーや思想に対してどう作用していくかを考えていく。ここでも、現在近傍の人間性に対するマクロなデータは存在しているため、たんなるあてずっぽうよりは確度高い予想が可能となる。
B トリガーが集団に作用し、集団が変化していく。この変化速度は、デジタル依存症が強くなるほど早く・広くなる。シンプルに考えるのであれば、大きなイベントの発生頻度が上がり、萌芽から開花までの時間が短縮される。
A 関連記事でジム・ロジャーズが「30年後の日本」について指摘しているが、このような観点は非常に重要である。人口減少、高齢化、債務…これらはインプットであり、トリガーの1つである。このようなトリガーを持った国々が過去どのような経路をなぜたどったかを、知る必要がある。
B それを現代版にモディファイしていく。このときに、現在の「日本の国民性」や「行動原理」といった項目を、しっかりと把握する必要がある。これもデータが得意とする領域である。
A インプットの確度が高く、処理過程のメカニズムもわかってくれば、出力(未来)は見えやすくなる。やるべきことは、それを回避するように動くか、それを阻止するかであろう。
B 表面上は日本を支える(阻止する)と述べるも、自分の資産や家族を逃がす(回避する)選択を採る人がどれほどいるのか。これが富裕層側から発生し濁流と化した時、何が起こるのか。仮にこのような仮説を持つのであれば、どのようなデータを採り追うべきかは明確になるだろう。
A 重要なことは、トリガーが集団に作用して濁流となる「前に」気が付くことである。それは、リーマンショックのような大きな負のイベントだけでなく、ビッグビジネスをいち早く獲得するという意味でも同じである。
B 繰り返しになるが、キー因子であるトリガーを把握すること。それが集団に対してどのように作用するかを、考察すること。共にデータが武器になり、日進月歩で情報アクセス性が改善されている。その上で、「インプット⇒処理⇒アウトプット」の強い仮説に対して、「何をマークするか(どのような情報をどうやって追い続けるか)」を決め実行していく。この一連のアクションが、濁流と化す前の重要イベントへの察知能力をあげる。
/2018.02.21 JK
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