見出し画像

回復へのシナリオ~岡崎市の和食レストラン「魚信」コロナ禍経営奮闘記31(10月7日)

こちらの続きです。


さて10月。あたらしい月が始まりました。われらが魚信さんにとっても、新しい期、33期?34期?のスタートです。とはいえ、このコロナ禍はまだ続いています。飲食業にとって引き続き厳しい状況が続いています。


星野リゾートさん、ワタミさんら、いわゆる、先進的な経営者と言われる方々はいち早くコロナ対策期間は「1年ないし1年半」として、そのうえで打てる手を打つ、と社内外に宣言されています。ただ、我々はどうしても、足元の月次の営業結果をみて右往左往、一喜一憂してしまいますね。

こういうニュースで、「ああ、ワタミさん調子悪いんだな」と足元のことに目が向かっちゃいますね。渡辺会長からしたら、「1年ないし1年半」という期間を設定したうえで、

危機の今、経営者がやるべきことは3つしかない。(1)まず無駄な支出を抑え、現金を集め「守りを固める」、(2)次に「今、攻められるものを探す」、(3)そして危機後を見据えて「攻める準備をする」。

 ワタミさんも(1)中国から全面撤退し、無駄な支出を最大限おさえ、(2)そして、この状況下でも攻められるものとして、好調なワタミの宅食、外食事業も、生産者が在庫を抱えて困っていると聞き、できる限りワタミで応援したいと「緊急100円キャンペーン」を開始、(3)そして、危機後を見据えた準備として「まねきねこ」を展開するコシダカホールディングスと「から揚げの天才」の大型提携。資本制ローンの発行、居酒屋業態から和牛焼肉食べ放題「かみむら牧場」への転業へと進めています。


https://www.ryutsuu.biz/strategy/m061217.html

もう3か月も前のことなど、誰も覚えちゃいないですね。

この時の記者会見では「居酒屋業態は今より店舗・売上が3割縮小する。ファミリー向け外食、テイクアウト、デリバリー事業を強化する」と発言しておられました。

「祖業をも捨てる覚悟」という、この思い切ったワタミさんの行く末はわかりませんが、こうしたシナリオを描いたうえで進んでいくぞ、と社内外に経営者が宣言していくことで、進むべき方向性が明らかになっていくのは株主やFCオーナー、社員・スタッフなど利害関係者(ステークホルダー)だけでなくお客様にとっても、「どうあるべきか」「これからの当社は、お客様にこういう価値を提供していくんだ」という点を示しており、結果的にはいいことと感じます。

画像1

 

このワタミさんの危機対応の順番で言うと、魚信さんも、シナリオをもってここまで来ているように思います。

 まずコロナ禍発生時、(1)まず無駄な支出を抑え、資金確保に走り、融資や補助金で現金を集め「守りを固め」ました、(2)「今、攻められるものを探す」ということで、法人や団体さんの宴会・法事の需要に頼っていた体制から、お食い初めや七五三といった家族の祝席・慶事にシフト。家族の嬉しいことに寄り添う事業を進めていこう、と決めて、近隣の写真屋さんとのご紹介や産科医院さんへのご紹介もあり、お祝いのお客様が増えています。(3)そして危機後を見据えて「攻める準備をする」という点で、本格的に「釜めし」事業部を稼働させて、宴席はもちろんのこと、ご予約なしで来られるお客様にも、テイクアウトのお客様にも「岡崎釜めしの魚信」として、ブランドづくりをスタート。さらに、次の手として、岡崎手作り豆腐の伝承、豆腐会席料理分野へと研究中。

図らずもそんなシナリオで動いていますが、足元の数字は、7月中旬から9月中旬にかけての「第2波」とその余波で、居酒屋チェーン店さんほどではないにせよ、なかなかに苦戦中。

そこで、今日は魚信さんが考えている「回復へのシナリオ」について迫ってみました。


西田社長「なんだか今日はのっけから難しいこと聞いてくるなあ(笑)。うちはシナリオたてて計画したらそうなるって経営してないんだ。してないけどね、上で説明してもらったように、まあ、1−2−3とステップ踏んでやってるよね、気がついたら(笑)。だから順調。方向的には順調じゃない?間違ってないと思うよ。足元はまだついてきてないけどね(笑)。

でね、「風」は感じるようにしてるんだよ。世間の風ね。流行とか雰囲気とか空気っていうか。中小企業の経営者はみんなそうだと思うよ。そこの「感度」が悪かったら命取りになるからね。

だってね、今週末(10月9〜11日)もお陰様でご予約たくさんいただいててさ、ありがたいことなんですよ。でもね、

今朝もね、台風14号が来るらしい、愛知県直撃だ、なんて報道があったんよ。テレビみてるとさ、だんだんさ、台風の〇(=予報円のこと)がさ、昔より大きくなってるよね(笑)。「今回は伊勢湾台風の再来だ」なんて大騒ぎよ。いつも伊勢湾台風並みの勢力(笑)。「前線が活発化して大雨、土砂災害にご注意を」とかね。

もうそういう報道されただけで、「いつまでだったらキャンセルできますか?」って電話かかってきちゃうんだよ。うちはさ、「岡崎のみんな家族だからね」って性善説で経営してるから、気にしなくていいよ〜って言ってるけどね。

もうね、コロナだ、第二波だ、とか台風だ、とかに左右されっぱなしなのよ。それが飲食業のつらいところ。計画立てて、予約受付してて、今回は堅いな、って思ってても、台風やコロナで直前キャンセルってことを何度も何度も経験してきてるわけ。

じゃあ、キャンセル料取れるようにすればいい、ルールを変えればいいっておたくらカンタンに言うだろ?そうは簡単には行かないところが地域密着でやってる我々のいいところでもあり、悩みどころでもあるんだよ。

V字回復だ、改革だ、シナリオだ、成果だ、数値だっていうのは、おたくらコンサル的にはいいんだろうけどね、どっち向いて仕事してるかって言えば、うちらはお客さん向いて、お客さんに喜んでもらってナンボ、笑顔になってもらって、美味しいって言ってもらって嬉しいんですよ。お客さんのため、社員の幸せのためにやってるんであって、コンサルのために仕事してんじゃないから(笑)。

「地域と共に生きる」っていう大前提を忘れちゃいけないんだな。まあ、他人に流されるばかり、空気読んでるばかりじゃないけどね、バランスをみながらさ、でも、みるところは、自分勝手な計画やシナリオじゃなくて、お客さんなんだよ。お客さんの流れ。お客さんに生かされているからね。

そのお客さんの流れがここまでさ、上がっては止まり、上がっては止まりって繰り返し。まだまだおっかなびっくりってとこあるもん。うちも陽性者出たらってリスク考えたらね、こっちも怖いよ。うちで出た、なんてなると、狭い田舎なんだもん、もうエンガチョされちゃうからね。

もう政府の方で、「インフルと同じですから、ビビらなくてもいいですよ」って早く発表してほしいよね。ワクチンいつできるんだっけ?トランプ大統領も大丈夫だったんでしょ?もうそろそろね、収束宣言とか出てくると、お客さんの出足も変わってくるんだろうね。

だから、そういう「風」というか、世間の雰囲気というか、ね、徐々に落ち着きつつあるけどね。飲食経営のシナリオなんてそれ次第ってとこあるからね。


(続きます)




サポートもお願いします。取材費やテストマーケなどに活用させていただき、より良い内容にしていきます。ご協力感謝!