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変わっているけど、変わってないと感じさせることが商いの秘訣。 7月5日 The Obsolete Theory 事業の定義の陳腐化

7月5日 The Obsolete Theory 事業の定義の陳腐化

#進行性の病は先延ばしにしても治らない
#思いきった措置が必要である

 事業の定義の変革に成功したCEOは多い。それまで高収益の高価な医薬品に集中して成功していたメルク社のCEOは、大衆薬の流通会社を買収することによって、事業の定義の変革に成功した。そのCEOは、前の定義でうまくいっているときに、その変革を行なった。
 われわれは、奇跡を起こす人に頼って陳腐化した事業の見直しを行うことはできない。実際に奇跡を起こした人たち自身が、カリスマ性や未来予測の類を強く否定している。彼らは診断と分析から始める。
 彼らは、目標の達成と急速な成長には、事業の定義の見直しが不可欠なことを知っている。予期せぬ失敗を部下の能力や事故のせいにせず、システムの欠陥の兆候と見る。予期せぬ成功を自らの手柄とせず、自らの前提に変化が生じていると見る。彼らは、事業の定義の陳腐化は、進行性の病しかも生命にかかわる病と見る。
 彼らは、外科医の昔からの原理すなわち決断の原理を知っている。それは、進行性の病は先延ばしにしても治らない、思いきった措置が必要であるという原理である。

(『未来への決断』)

ACTION POINT

#事業の定義が陳腐化していませんか
#その恐れがあるならば分析し
#刷新してください

今日のテキストも、1995年刊の『未来への決断』第1章 事業の定義 43~44ページより。

原文では、theory of the business とあるのが、「事業の定義」と訳されています。

theory of business administration だと、経営学

theory of management だと、経営理論、経営学説。

じゃ、theory of the business では?

 奥様、1994年9−10月号の「ハーバード・ビジネス・レビュー」で発表された The Theory of the Business(「企業永続の理論」)というドラッカーの論文があるそうですって!

ああ、それって今読んでる論文のことですよ!爆笑。

「事業の定義」って、なんかわかりにくいですね。
ピン、ときませんね。なんて訳したらしっくりくるのかな。

 事業理論?ま、確かにそうなんですけど、もっとはっきりわかりやすく言えば、「稼ぎ方」とか「儲け方」と思うんですね。すぐに学者さんは格調高くしたがるけれど、ドラッカーさんて本来わかりやすく親しみやすい文体で、学者っぽくないからこそベストセラーだし、長年読み続けられているわけで。。。

 ま、本では「事業の定義」なんだけど、やらかく言えば、「どういう理屈で儲けるや?」ってこと。

 かつてソニーの儲け方は、家電製造業者として、ラジカセとかテレビ、ウォークマンなどのハードウエアを売って「作って稼ぐビジネスモデル」だったけど、1970年CBSソニーという音楽会社を、1991年ハリウッド映画会社のコロンビアを買収。1994年PlayStation 販売と、ハードへの需要を生むコンテンツ会社を売って、ハードでも儲けるっていう方向へと投資し、儲け方を変えてきました。(なかなかコンテンツが投資に見合ったようには売れず、それはなかなかハードな道のりとなりましたが、、、)。

 どんな商売にせよ、時代が変わるにつれて陳腐化します。ソニーは家電だけに留まっていたら、ブランドは残っていなかったのかも。。。

 ところで、これは聞いた話ですが、虎屋さんは、気候やお客さんの嗜好に合わせて、こっそりちょっとずつ羊羹の味を変えているそうです。そして、お客さんは、食べるごとにこうおっしゃるそうです。「昔からの味。変わってないなぁ」って。

 同社は、和菓子を作って売る、という稼ぎ方を中心に、時代に合わせて稼ぎ方も変化させてきています。

 御用商人から始まり、和菓子製造販売、飲食営業、不動産業などへと事業展開しております。ビジネスモデルとしては、大きく変わっているわけではないけれど、羊羹の味へのこだわりが同社のコアコンピタンス(卓越性)です。味が陳腐化した、と思われないよう先手先手で手を打っているとのこと。

強みが明確な企業は強いですね。今日もやっていきましょう。愛を込めて。


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