観てきた!ようこそ!お菓子の国へ ―日本とフランス 甘い物語― at 虎屋 赤坂ギャラリー
身近すぎて、知っているようで意外と知らない、お菓子のはなし。
目にも楽しい、知って楽しい、そして帰り道にお菓子を食べたくなる、和菓子の老舗・とらやさんが手掛ける展覧会です。
場所:とらや赤坂店内 虎屋 赤坂ギャラリー(東京・赤坂)
会期:2020年9月26日(土)~2021年4月11日(日)
時間:平日9:00~19:00、土日祝9:30~18:00
休業日:3月6日(土)、4月6日(火)
料金:無料
事前予約制:なし
◎観に行こうと思ったきっかけ
昨年9月、マゼンタピンクのモダンなパッケージが素敵すぎるお菓子が、とらやさんから期間限定で発売されました。
これ、食べきりサイズのようかんです。そうです、あの和菓子の羊羹。
そしてとらやロゴの横にあるロゴ。そうです、ピエール・エルメです。
この羊羹、ピエール・エルメの定番ケーキ「イスパハン」の味だったのです。フランボワーズが香る、ほんのりボルドー色の小型羊羹。美味でした。
この羊羹を購入したとき、販売員の方から展覧会のフライヤーをいただいて開催を知りました。このフライヤーがまた可愛かったんです。元々とらやさんのデザインが大好きなので、思わず部屋に貼って眺めて暮らしてました。
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◎どんな展覧会?
「とらや パリ店」40周年を記念した展示を開催いたします。
フランス菓子界を牽引する「ピエール・エルメ・パリ」にご協力いただき、和菓子・フランス菓子の魅力と文化的背景に迫った、スイーツファンの皆様必見の展示です。
テーマは「日仏の菓子くらべ」。
日本とフランス、まったく異なる風土と歴史をもつ国ですが、それぞれ独自の菓子文化が生まれ、花開いた点は共通しています。
そこで、和菓子とフランス菓子の魅力を、「歴史」「くらしとの関わり」「職人」など、さまざまな切り口でご紹介いたします。(公式サイトより)
そうなんです、和菓子の老舗・とらやさんだからこそできる、フランスのお菓子といろんな切り口で比べて紹介する展覧会なのです。
開催されているのは、とらやの赤坂店。青山通り沿いの路面店で、赤坂見附と青山一丁目の間、豊川稲荷の近くです。
実はこのお店の地下に、ギャラリーがあるんですよー。
ちなみに写真撮影OK。そして予約不要・無料です。
展示室内は、とっても明るくポップな雰囲気で装飾されていて楽しげ&かわいい。ここが和菓子の老舗・とらやさんであることを忘れそうです。
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改めて書きますが、パリにとらやのお店ができて40年 なのです。すごい。
展示室の最初には、パリ店の紹介。そしてお菓子の歴史に特化した年表や、歴史上の人物とお菓子のお話が紹介されています。
その横には、お菓子の歳時記を紹介する展示。
季節の行事にまつわるお菓子と由来に、へ~ と、思わず読み入ってしまいました。解説は全て日英併記です。
そして、暖かみのあるイラストが可愛いんです。すみずみまで素敵です。
天井からもスイーツ。かわいい。
天井や床など、全体の配色・トーンが素敵ですよね。
お菓子の原料を比較・紹介したコーナーや、
五感を切り口にした味わいポイントの比較紹介も。
各コーナーのパネルには、丁寧に解説の文章がまとめられています。
ぜひ会場で、気になるテーマについてお読みになってほしいです!
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◎個人的におすすめ!インタビューコーナー
わたしがぜひ観てほしい!読んでほしい!!!と思ったのが、インタビューのコーナーです。(展示室入って右側のエリア)
わたしは、その人がどんな人生を歩んで今に至っているのか、みたいなお話を聴いたり読んだりするのが好きなんです。
有名・無名を問わず、その人にはその人にしか持ちえない人生の紆余曲折の話があって、それを知り、伝えることがとても楽しいので、インタビューのお仕事が大好きなのですが。
展示では、日本からパリへ和菓子を届けた人々と、フランス菓子を日本に届けた人々のお話が読めます。
じっくり全部読みまして、そうかそうか、そうだったのかー!と思う事がたくさん。どのジャンルも、パイオニアってたいへん・・・でもパイオニアがいてくださるから、今があるんですよね。感謝で胸いっぱいになりました。
でも、ちーょっとこの文字量を読むのはつらい、という方は、ぜひ動画をご覧ください。ここでしか観られない、とても貴重なインタビュー動画です。
登場されているのは、
ピエール・エルメのエグゼクティブ・シェフ・パティシエ、クリストフ・ドラピエさんと、とらやパリ店に10年以上勤務されていた、吉田太さん。
お二人が異国で自国のお菓子を伝えていくお仕事についてや、実際にお菓子を作る様子を観られます。20分くらいかな。思わず観入ってしまいました。
という感じで、展示室はワンフロアですが、見どころ・情報量たっぷり。しかも本当にわかりやすい&ここでしか読めない内容だなぁと思いました。
この展示だけで終わってしまうには、あまりにもったいない!!!
ぜひこの展示を1冊の本にまとめてほしい!!!!と切に思いました。
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◎コレクターでなくても必見 フェーヴ・コレクション
インスタで見かけた方も多いかもしれないのが、こちら!
フランスで食べられているお菓子 ガレット・デ・ロワの中に入っている、フェーヴ(元々は”そら豆”の意味)という陶器のミニチュアを紹介しているエリアです。
日本でも、フランス菓子のパティスリーやPAULなど、ガレット・デ・ロワを買えるお店が増えつつありますね。
このフェーヴ、実はコレクターズアイテムの一つだそうで、確かに展示されていたフェーヴたちはとってもかわいかったです。
サイズはどれも、だいたい親指の先くらいの小さなものですが、かなり凝ったつくりでびっくり。しかも陶器!
そして日本では手に入らない、とらやパリ店の歴代のフェーヴがずらっと並んでましたが、これがまた超絶かわいい!!!和菓子や和のモチーフなのですよ、素敵でした。
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◎洋菓子もいいけど、和菓子もいいよ
そもそも皆さま、普段から和菓子って召し上がっていますか?
お正月があったから、おもちやお汁粉を食べた、という方は多いかな。あとはお団子とか大福とか、ようかんとか。
でも、普段、デパ地下やスーパー・コンビニで買ってきて、お家でお茶やコーヒー入れて食べるのって、どちらかというと洋菓子が多いのでは、と思うのです。
わたしもそうでした。元々、和三盆糖が好きで、ときどき落雁をつまむことはありましたが、ここ数年で、特に生菓子(練り切りと呼ばれるもの)を自分で買ってきて、自宅でいただくようになったのは、大きな変化です。
きっかけは、茶道のお稽古。
お稽古を通して初めて、お正月の花びら餅、端午の節句の粽、夏越祓と水無月、炉開きの亥の子餅などのお菓子を知りました。
もし茶道を始めていなかったら、ここまで和菓子のことに興味を持たなかっただろうし、和菓子の美味しさに目覚めて、定期的にとらやさんで生菓子を買うこともなかっただろうなぁ、と思います。
店頭で生菓子を選ぶとき、お茶席でお菓子をいただく時はいつも、なんて繊細で豊かな素敵な食文化だろう!と感激してしまうのです。
と同時に、季節の移り変わりを噛み締めます。
そして、こんな素敵な世界を楽しむ人があんまり多くはないことが、ちょっともったいないなぁ、とも思うのです。
こんな展覧会を入口にして、ちょっと和菓子の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。
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◎お腹がすいたら3階 お土産は2階へ
いますぐお菓子を食べたい!ちょっと休憩したい!と思ったら、3階へ。
虎屋菓寮という素敵な飲食スペースがあります。お菓子だけでなく、季節のお食事メニューも。(12月にいただいた、柚子がふわーっと香るおうどん、絶品でした・・・)
わたしは、赤坂店に来て菓寮に寄らないのは人生損している!!!と思っていて、ぜひともお立ち寄りいただきたいです。ほんとにお薦めです。
これはオープン直後、2018年の投稿です。
メニューはちょっとリッチめのお値段設定ですが、場所代を考えればご納得いただけるかと。
いまは席数を減らしているので、ものすごーくゆったりできますが、混みがちなので、ご留意ください。(整理券も配ってます。)
また、2階は広々とした販売スペースです。生菓子がずらっと並んでいて、この赤坂店でしか買えないお菓子もあります。
また、羊羹やゆる羊羹、お汁粉セット、風呂敷などなど、とらやさんのお品物がフルラインナップでゆったり見られます。あと、ゆっくりと贈答品の相談などができるスペースも。ディスプレイを見ているだけでも楽しいです。
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◎まとめ
ギャラリーの展示は4月まで開催されています。
なかなかお出かけをためらうご時世が続いていますが、お散歩をかねた気分転換や、豊川稲荷にお参りしたついでに、家で楽しむための美味しいおやつを買いに、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
そして・・・とらやさんといえば、実は個人的に語りたい話、好きすぎるポイントが他にもあれこれたくさんありまして・・・
例えば、商品のパッケージデザインのこととか、オリジナルカレンダーや風呂敷のこととか、お店のデザインのこととか、ギャラリーでの展示のこととかとか・・・
ということで、次の記事に続きます!
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【告知です】インタビューさせていただきました
で、とらやさんが好きすぎるあまり、なんと光栄なことにインタビューさせていただく機会にも恵まれまして、こちらで絶賛連載中です。
ご紹介した展示を手掛けられた方のお話が読めます。ぜひぜひ!!!