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政党や市役所や病院や大学や裁判所などの非営利組織への評価制度はどうなってる? 1月17日 Management: The Central Social Function 企業以外のマネジメント
17日金曜日の #ドラッカー365の金言 テキスト『 #すでに起こった未来 』(1994年) 6章 #マネジメントの役割 116−117ページですが、このテキストの初出は、1969年の第15回CIOSの国際マネジメント会議における講演とのことです。
マネジメント:中心的な社会的機能
非営利組織には、企業における収益性のような基準となる指標が必要である。
非営利組織は、自らの運営方法を学ぶため、ますます多くが企業経営に注目している。病院、軍隊、カトリック教区、公務員組織など、すべてが企業経営を学ぼうとしている。しかし、これは、企業経営をそのまま非営利組織に移行できるということを意味しない。むしろ、これらの組織が企業経営から最初に学ぶべきことは、マネジメントは目標設定から始まるということであり、したがって大学や病院といった非営利組織は、企業とは大きく異なるマネジメントを必要とするということである。
しかし、これらの組織が企業経営を原型として見ていることは正しい。企業は特別な存在ではなく、単に最も早く出現し、最も詳しく研究されてきた組織の一形態にすぎない。
非営利組織には、企業における収益性に相当する評価基準が必要である。
言い換えれば、「収益性」は「例外」であったり、「人間的」または「社会的」ニーズと区別されるものではなく、組織の多元的社会において、あらゆる組織が運営され、管理可能であるために必要な測定の原型として浮かび上がってくるのである。
アクションポイント:
あなたが関わっている最も重要な非営利組織は何ですか?
その組織は業績評価のための具体的な基準を使用していますか?
その組織はどの程度成功していますか?
病院、軍隊、カトリック教区、公務員組織、裁判所、政党など、非営利組織といえども、評価基準が必要です。それらの組織においては、企業における収益性のような、客観的な業績評価基準があるのか?という問いかけです。
つまりは、市役所であろうと、国会議員であろうと、裁判所は業績評価基準があるのか、その基準によって評価された場合、優なのか劣なのか?指標がなければ、良いか悪いかわかりません.社会を改善していくには、社会を構成する、あらゆる組織の改善が欠かせません。
例えば、プロ野球選手も客観的数値で評価されています。MLBの場合、打者指標OPS、勝利に貢献したかを評価する選手指標WARという選手の優劣を評価する指標があります。
OPS (On-base Plus Slugging)
OPSは出塁率(On-base Percentage)と長打率(Slugging Percentage)を足した数値です。
1、出塁率:(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)
2、長打率:塁打数÷打数
3、OPS = 出塁率 + 長打率
一般的な評価の目安:
.900以上:優秀
.800台:好打者
.700台:平均的
.600台以下:低調
WAR (Wins Above Replacement)
WARは「代替選手と比べてどれだけ多く勝利に貢献したか」を示す総合指標です。
計算要素:
打撃成績
走塁能力
守備力
ポジション補正
リーグ・球場補正
例えば、WAR 5.0は「その選手が二軍レベルの代替選手と比べて、チームに5勝分多く貢献した」ことを意味します。
一般的な評価の目安(1シーズン):
8.0以上:MVP級
5.0-7.9:オールスター級
2.0-4.9:レギュラー級
0.0-1.9:控え選手級
0.0未満:代替選手以下
両指標の特徴:
OPS:打者の攻撃力を簡便に評価できる
WAR:選手の総合的な価値を評価できる
これらの指標は、現代野球における選手評価の重要な基準として使用されています。ただし、これらだけでなく、従来の打率やホームラン数なども含めて、総合的に選手を評価することが重要です。
大谷選手は、Baseball Reference 社の評価によれば、
![](https://assets.st-note.com/img/1736991728-VdU8RSb26Ggl5nNWrC7yIsQZ.jpg?width=1200)
STATSCASTの評価も
![](https://assets.st-note.com/img/1736992387-gb0j73tu6kULp8OKsMvFGP4c.jpg?width=1200)
FANGRAPHS社のWARランキング(NLリーグ)
![](https://assets.st-note.com/img/1737010198-Rky6TClNGBLsAVEvqrZ3nuDc.jpg?width=1200)
WAR9.2、OPS 1.036とナショナルリーグの選手で最も高い数値です。だからこそ、ナショナルリーグMVP受賞者なのであり、10年1000億円という高い報酬額で契約している、というわけです。
このような基準というか指標を用いた客観的評価が市役所や病院、大学といった非営利団体においても、なされるべきだ、というのが、ドラッカーの提言に思われます。
私は、指標による客観的評価に加えて、定性的な資料による定性的評価も必要と思います。なぜなら、お客様の声や取引先の声という定性データは、組織と取引している個人や法人がその組織に対して感じるものです。この組織と取引するのは心地よい、不愉快といったものだけでなく、感性に訴える内容も評価すべきと思われるからです。
どんな組織においても、客観的な数字による評価に加えて、お客様の声等の定性的な評価がなされるべきに思います。
その点、AmazonやGoogleマップにおけるお客様の声における5点満点における評価制度は、定性的評価のみであり、客観的な定量的指標ではありません。
組織だけではなく、同僚や他人やもの、お店、映画、書籍など、私たちは己の感性だけで良いとか悪いとか好きとか嫌いとか評価して、評価される、そんな世界に暮らしています。しかし、その評価は本当に正しいと言えるのか?ドラッカーが指摘するように客観的な基準、というのも必要と感じたところです。
非営利組織評価制度が発展してきた
ところで、近年、非営利組織の評価基準は、かなり発展してきており、いくつかの重要な指標が確立されています。主な評価基準をご説明します:
社会的インパクト評価 (SROI: Social Return on Investment)
投資に対する社会的リターンを数値化
例:「1円の投資に対してXX円分の社会的価値を創出」という形で表現
金銭的価値に換算できない成果も含めて評価
プログラム評価指標
アウトプット指標:直接的な活動結果(例:支援した人数)
アウトカム指標:中長期的な成果(例:支援者の生活改善率)
インパクト指標:社会全体への影響(例:地域の貧困率の改善)
組織の持続可能性指標
財務的持続可能性(運営資金の確保状況)
人材の持続可能性(スタッフの定着率、ボランティアの参加率)
ガバナンスの質(意思決定の透明性、説明責任)
ステークホルダー満足度
受益者の満足度
寄付者・支援者の満足度
職員・ボランティアの満足度
国際的な評価基準
SDGs(持続可能な開発目標)への貢献度
ESG評価基準の適用
GRI(Global Reporting Initiative)スタンダード
しかし、以下のような課題も残されています:
標準化の難しさ
組織の目的や活動が多様で、統一的な基準の設定が困難
分野によって適切な評価指標が大きく異なる
定量化の限界
社会的価値の数値化が難しい活動がある
長期的なインパクトの測定が困難
評価コストの問題
詳細な評価には多大な時間と労力が必要
小規模組織には負担が大きい
このように、ドラッカーの提起した課題に対して、様々な評価基準が開発されてきましたが、完全な解決には至っていないと言えます。
最近では、これらの複数の指標を組み合わせて総合的に評価する「マルチステークホルダー評価」のアプローチが主流となっています。
様々な分野において、評価制度の設計と充実が求められているようです。
A .国家行政の評価基準について、主な制度と評価基準を説明します:
1、政策評価制度(政策評価法に基づく)
基本的な評価観点:
・必要性:政策の目的が国民や社会のニーズに合致しているか
・効率性:投入費用に見合う効果が得られているか
・有効性:政策の効果が発現しているか
・公平性:政策の費用や便益の配分は公平か
・優先性:他の政策より優先して実施すべきか
2、行政事業レビュー
評価の重点項目:
・事業の必要性
・事業手法の有効性
・実施主体の適切性
・コスト効率性
・資金の流れの透明性
・成果目標の達成状況
3、 規制の事前評価(規制影響分析:RIA)
評価項目:
・規制の目的・必要性
・費用対効果
・規制による影響
・代替案との比較検討
・利害関係者の意見
4、 総務省による行政評価・監視
評価の観点:
・各府省の政策の実施状況
・行政運営の効率性・効果性
・法令等の遵守状況
・予算の執行状況
5、会計検査院による検査
検査の観点:
・正確性:決算の正確性
・合規性:法令等への準拠性
・経済性:無駄のない予算執行
・効率性:最小の費用で最大の効果
・有効性:施策の目的達成度
6. 独立行政法人評価
評価基準:
・中期目標の達成度
・業務運営の効率性
・財務内容の改善
・ガバナンスの状況
・サービスの質の向上
評価の課題と改善方向:
1、実効性の確保
・評価結果の予算への反映強化
・PDCAサイクルの確立
・フォローアップの徹底
2、評価の質の向上
・エビデンスに基づく政策立案(EBPM)の推進
・データ分析能力の向上
・外部専門家の活用
3、透明性の確保
・情報公開の促進
・市民参加の拡大
・評価結果の分かりやすい公表
4、評価負担の軽減
・評価作業の効率化
・重点化・簡素化
・デジタル技術の活用
人事院、内閣人事局、総務省などが評価制度の運用状況を公表しており、これらの情報は各機関のウェブサイトで確認できます。
B.日本の司法制度における評価システムについて:
1. 裁判員制度の評価最高裁による年次報告書
実施状況の統計
裁判員経験者へのアンケート結果
選任手続きの実施状況
審理期間の分析
評価指標:
裁判員の参加率
辞退率とその理由
審理の平均所要日数
判決の控訴率
裁判員経験者の満足度
2. 裁判所の評価システム事件処理に関する統計
未済事件数
平均審理期間
上訴率
破棄率
裁判官の人事評価
判決の適切性
訴訟指揮の適切性
事務処理能力
執務態度
10年ごとの再任審査
3. 検察の評価システム検察官の活動評価
起訴率・不起訴率
有罪率
控訴・上告の成功率
事件処理スピード
組織としての評価
予算執行状況
捜査の適正性
被害者支援の実施状況
4. 弁護士会の評価制度弁護士の懲戒制度
研修制度の実施状況
法律相談実績
司法支援センター(法テラス)との連携状況
現在の課題:評価の客観性
定量的評価の難しさ
質的評価の基準設定
情報公開
評価結果の透明性
個人情報保護との調整
市民の視点
利用者満足度の測定
アクセスの容易さ
効率性と質のバランス
迅速な裁判と慎重な審理の両立
コスト効率と司法の質の確保
国際比較
国際的な司法指標との整合性
グローバルスタンダードへの対応
改善に向けた取り組み:裁判のIT化(e-Court)の推進
評価指標の多様化
市民参加型の評価システムの拡充
国際基準との調和
専門家による第三者評価の導入
司法制度の評価は、法の支配や人権保護という基本的価値を損なわないよう配慮しながら、効率性や透明性を追求する必要があります。そのため、単純な数値評価だけでなく、多面的な評価アプローチが求められています。
昨今の情報公開への流れもあり、国家行政、地方行政、裁判官など評価制度は公開されつつあるようです。より充実した評価制度が望ましい、と感じていますが、評価コストばかり掛かる制度は、減税の観点から望ましくないと思っています。みなさんはいかがでしょうか。
今日のテーマ:
#Management :
#The_Central_Social_Function (中心的な社会的機能)
#企業以外のマネジメント
今日の金言:
#企業以外の組織は企業の利益に相当する評価基準を必要とする 。
今日のACTION POINT :
#直接関係している企業以外の組織であなたにとって最も重要なものは何ですか 。
#そこでは活動の評価基準をもっていますか 。
#その組織は成功していますか 。
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