1月27日 The Discipline of Management 体系としてのマネジメント
今日の #ドラッカー365の金言 テキストは、1986年発行 『 #マネジメント・フロンティア 』 終章 #社会的イノベーション #体系としてのマネジメント 424~427ページ と 28章の #教養学科としてのマネジメント 276~277ページ の2つの論文でしょう。
戦後日本の産業復興に際して、デミングは統計的品質管理とQCサークルを教え、ジュランは工場の生産工程の編成と現場の人間の訓練と管理を教えた。そして、ドラッカーは、マネジメントとマーケティングを教えた、という。
欧米企業の経営者がとんでもない高給を喰む一方で、わが国のトップ・マネジメントが彼らに比べて慎ましさを以て己を律することを非難する向きもあるけれど、それはトップ・マネジメントは地位や特権ではなく、責務であることをわが国は2000年もの歴史の中から理解しているからだろう。
「The Discipline of Management」(マネジメントのディシプリン)とは、ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)によって提唱された概念であり、管理や経営を一つの体系的な学問、つまりディシプリン(規律、学問分野)として捉える考え方です。
ドラッカーは、彼の著書『The Practice of Management(日本版タイトル「現代の経営」)』(1954年)でこの概念を広く紹介しました。
彼のアイデアは、以下のような重要なポイントを含んでいます:
理解と再現性 - 何かを本当に「発明」したと呼ぶためには、それを理解し、他者が再現できるようにする必要があるという考え方です。単に行うだけでは不十分で、それを体系化し、教えることができるようにする必要があります。
マネジメントの学習可能性 - ドラッカーは、マネジメントの知識やスキルが学習可能であることを示しました。以前は天才的な才能がある一部の人だけができたと考えられていたマネジメントを、誰でも学べるものに変えました。
多分野からの統合 - マネジメントは、エンジニアリング、会計、心理学、労働関係など、様々な分野から要素を抽出し、それらを統合することで生まれるものとしました。これにより、単一の分野からでは不十分な管理手法が、一つの体系的なアプローチにまとめられました。
体系的なアプローチ - ドラッカーは、即興的(アドホック)な管理ではなく、体系的で計画的な管理を推奨しました。彼は、マネジメントを一つのツールキットのように見なし、適切なツールを適切な時に使用することで効果的な管理が可能になるとしました。
行動ポイント - ドラッカーは、自分の管理実践が即興的か体系的かを自問することを奨励しました。これは、管理者が自分の方法を評価し、必要に応じて改善することを促すものです。
ドラッカーのこのアプローチは、マネジメントが単なる経験や直感ではなく、学問として体系化されるべきだという考えを広め、現代のビジネス管理の基礎を築きました。彼の理論は、組織運営、リーダーシップ、人材管理など、多くのビジネス領域に影響を与えています。
わが国でも、7&iホールディングス創業者の伊藤雅俊氏、ユニクロ創業者柳井正氏、ヤマザキパン創業者飯島藤十郎氏、ソニー創業者盛田昭夫氏、オムロン立石氏らなど戦後まもなく企業創業した方々がこぞってドラッカー経営哲学に傾倒して、学び続けました。
「わかりやすく」「再現しやすい」。それがドラッカーが経営を伝えた方法です。これ以前に、アメリカでもわが国でも経営についてわかりやすい教科書はありませんでした。わが国では、再現性があるようなないような「教訓」「戒め」ばかりで、マーケ、会計、イノベーション、人事といった幅広い経営のお困りごとについて答えてくれる書籍や情報はありませんでしたから、戦後の経営者や管理職にとっては、有り難かったことと思います。
ただ、現実は、「理論が先にあって、現実が後にある」のではなく、「現実が先にあって、それを理論立てる」という順番です。現実から理論立てられたことに従って行えば、すべて再現性があって、理想の現実が手に入る、とは限らないのです。なので、全て理想通りにいかないところが面白いところです。概ね再現できることもあれば、全く理論通りに再現できないと言うこともあるわけで、まずはやってみて、結果から学び続けるドラッカーが言うところの「フィードバック分析」を行い続けることが正解に感じます。
と言うことで、今週で1月も終わりです。早いですね。1月も残り数日ですが、お元気で!