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失敗が問題じゃない。失敗の後が大事なんだとドラッカー『イノベーションと起業家精神』  7月14日 Unexpected Failure 予期せぬ失敗

本日のテキストは、『イノベーションと起業家精神』1985(昭和60)年版では、73〜82ページより。

#ドラッカー
#365の金言  に学ぶ3連休の中日である 
#7月14日  日曜日。

今日のテーマ:
#Unexpected_Failure
#予期せぬ失敗

今日の金言:
#予期せぬ失敗はイノベーションの機会の兆候と受け止めよ

今日のACTION POINT:
#あなたの組織や競争相手の予期せぬ失敗の例をあげてください
#失敗の原因は何だったでしょうか


 予期せざる失敗に直面した時、経営陣特に大組織の経営陣に見られる反応は、ほとんどの場合、内部でよく検討し、分析せよという言葉である。しかし、錠前のケースや「基本住宅」のケースが教えてくれることは、そのような態度は、完全な間違いだということである。予期せざる失敗が要求しているものは、外へ出て、よく見、よく聞くことである。予期せざる失敗は、常にイノベーションの機会の微候として、正面から受け止められるべきものなのである。

同書、78ページより


「分析を行えるほどにはまだわかっていない。だから調べよう。出かけていって、見て、質問して、聞いてくることにしよう」と言わなければならないということである。

同書、79ページより

 マーケティングの大惨事=予期せぬ失敗として、ドラッカーが例示しているのが、1957年フォード社の新車「エドセル」の失敗であるが、

 ちょうど、この本が出版された1985年に手酷いマーケティングの大惨事が起こっていた。それは、コカコーラ社の「ニューコーク」の失敗である。100年続いた伝統の味を新しい味に変更したところ、全米から抗議が殺到し、ニューコークは廃版へ、主導したマーケッターは失脚した、カンザス計画である。

 そして、昨年起こった2023年、バドワイザー「バド・ライト」の失敗はご記憶のあるマーケッターも少なくないだろう。

バド・ライトはアメリカ国内のビール部門で20年以上売り上げ1位を維持していたブランドだったが、2023年3月、メインの購買層である保守層に不人気なLGBTインフルエンサーをブランドアンバサダーに起用したことで、保守層から不買運動が起こり、2023年5月にはコンステレーション・ブランズ傘下でコロナビールなどを製造するモデーロのメキシカンラガー「モデロ・エスペシアル」に追い抜かれ2位に陥落した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/バドワイザー#2023年のバド・ライト不買運動 より

 バド・ライトはこの失敗で、売上30%ダウン。23年度同社収益も前年比10%もの減少となった要因の1つとされています。同社は、2024年に入り、メイン購買層が共和党支持層であるという分析から、トランプ前大統領を起用したスーパーボウル広告でテコ入れを計りましたが、ボイコット運動1年後の24年2月未現在もボイコット前の水準には回復せず、未だ苦戦していると伝わっています。

ブランドがボイコットに対してどれほど脆弱であるかを決定するいくつかの要因を説明しています。ボイコットは、製品がより代替可能であるとき、より目に見えるとき、そして消費者がそれに対して心理的な「所有権」を感じるとき、より大きな影響を与える可能性があります。

上記記事より

 同じく昨年年末、某国タレントをアイコンに起用したことから、保守層から「どん兵衛ボイコット」運動があったことは記憶に新しいと思います。

 マーケティング活動では、失敗は許されない、と言われますが、マーケティング巧者と言われるフォード、コカコーラ、バドワイザー、そして、日清食品といった大企業ですら、消費者からのボイコット運動が発生すると、そこからの回復には時間がかかるものです。

ただし、失敗後の対応が問われるのは、どこも同じです。例えば、フォードは、

 フォードは、消費者の気まぐれに文句を言うことによって、問題を片付けようとせず、自動車市場について自動車業界が持っている固定化された考え方、あまりに長期にわたって固定化されてきたため、自明の理とされている仮説と合致しない何かが起こっているに違いないという結論に達したのである。
 フォードが外へ出て、見て、聞いた結果明らかになったことは、アメリカの自動車市場に重大な変化が起こっていると言うことであった。1920年代にGMのアルフレッド・P・スローンは、アメリカの自動車市場を「大衆」「中流の下」「中流の上」「上流」の4つに分けることによって、GMの今日を築き上げた。ところが、フォードは、この分類がもはや間違いであること、あるいは少なくとも、この分類と並行して、全く新しい分類の仕方のあることを発見した。すなわちそれが、ライフスタイルによる市場の分類であった。

 フォードは、エドセルの失敗の数年後、サンダーバードを発表し、アメリカの自動車史上、ヘンリー・フォード・Sr.による1908年のモデルT以来の大成功を収めた。フォードはサンダーバードによって、GMの模倣者の地位から脱皮して、強力な競争相手として復活したのである。

同書、81ページより

失敗を糧として、次に繋げる。地味で厳しい道のりですが、しっかりやり切った先に栄光は待っている。そう信じて、今日もやってきたいですね。

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