ディアボロ×バルーンドレスの目指した姿【デザフェスvol.55】
■日本一のディアボロ×新進気鋭のバルーンアーティスト
来たる2022年5月22日(日)、デザインフェスタvol.55にてディアボロとバルーンドレスのコラボレーションパフォーマンスを実施する。この記事ではパフォーマンス制作に向けた思い、出展のコンセプトを記す。
この記事を読むことで、コラボレーションパフォーマンスをより楽しめる、観た後にちょっとだけ濃い余韻に浸れる、そんな内容。
■バルーンアーティストすな子の【グロかわいい】バルーンドレス
「バルーンアートは可愛いだけじゃない」
みなさんはバルーンアートと聞いてどのようなイメージを持つだろうか。ふわふわ、ファンシー、かわいいなど、人によって様々な言葉が出てくると思う。
みなさんと同様に工藤もそうだ。しかしより正確に言うなら、すな子さんのバルーンアートを見るまではそうだった。
彼女のバルーンアートを生で見たのは2016年。あるイベントの傍らでバルーンドレスを作っていたところだった。もともとTwitterですな子さんのバルーンドレスを拝見していたこともあり、その技巧にとても感心した記憶がある。
しかしながら2016年に見たバルーンドレスは非常にかわいらしいものではあったが、ここ最近彼女が作っているバルーンドレスとは趣が異なるものだったと工藤は感じる。
彼女のTwitterやInstagramを見ると、その変遷を客観的に追うことができる。依然としてかわいいバルーンドレスもあるが、おおよそドレスとは形容できない形をしたバルーンドレスがちらほらと顔を覗かせる。花、目、口をモチーフとしたものもあれば、地球外生命体を彷彿とさせるようなバルーンドレスも製作している。
本人も言っているが、かわいいだけではなくなっているのだ。言葉で表現するなら、こわい、おどろおどろしい、ゾッとする、などだろうか。
しかしながらバルーンの質感と彼女の技巧の妙か、怖さだけでなくかわいらしさも内在している。
コラボレーションにあたり、彼女のバルーンドレスをどのように表現するか悩み、最終的に見出しにも書いている【グロかわいい】が一番しっくりくると考えた。
今回のコラボレーションは工藤から依頼したものだが、かわいいだけのバルーンドレスなら着ようとは思わなかっただろう。彼女が近年作っている【グロかわいい】バルーンドレスを着ることで、既存の自己から抜け出した何かになれると確信し、今回コラボレーションを依頼した。
■パフォーマンスのコンセプト
『無限の眼』
ジャグリングに限らずパフォーマンスにおいて、演者の視線には大きな効果、意味があると考えている。
想像してみて欲しい。あなたは観客席に座ってパフォーマンスを観ている。演者が緊張感のある音楽と共にジャグリングの大技を決めた瞬間、決めポーズをすると共に視線をあなたへ向けてフィニッシュをアピールをする。それを受けてあなたは自然と拍手をしてしまう。
好きなアーティストのライブでも良いだろう。十八番の曲を歌うボーカルがステージを軽やかに歩き回っている。ステージから観客席に向かって歌うボーカルがあなたの方に目をやったその時、視線が合ったと感じたことがある人は少なくないと思う。好きなアーティストであればあるほど、その瞬間にほど良い緊張感と胸の高鳴りを感じるはずだ。
工藤が過去に作ってきた演技においても、視線が生み出す効果を最大限利用している。ディアボロの技や所作などの形式的な動きだけでなく、眼差しの鋭さ、視線の移動などすべて演技に組み込んでいる。
今回の演技では、その重要なファクターである眼を増殖させた。バルーンドレスのいたるところに眼を模したバルーンを配置してもらい、360°どこから見ても視線が合うような衣装に仕上がった。
観客はパフォーマンスを観ながら常に演者に見られる感覚に陥る。これにより演者と観客の間で行われる視線のコミュニケーションに変化が発生する。今回のパフォーマンスの狙いだ。
『無限の眼』という名前は、私が好む芸術家の草間彌生の著書であり作品群である『無限の網』をもじって名付けた。1959年にニューヨークで初めて発表され、その高い独自性と芸術性から草間彌生を大きく世に知らしめた作品だ。
『無限の眼』は単純に衣装の名前だとか、パフォーマンスのタイトルではない。デザインフェスタvol.55の5月22日、ショーステージと屋上パフォーマンス、またその前後で引き起こされるムーブメントを総称した「出展名」である。
『無限の眼』が、ディアボロプレイヤー工藤正景とバルーンアーティストすな子をさらに大きく世に知らしめる一歩になると確信している。
■ディアボロの技術的な挑戦
ショーステージでは今回の演技のためにカスタマイズしたディアボロを用いる。通常、ディアボロは両側のカップとパーツの重さを同一にし、安定した回転を実現する。
今回はあえてカップとパーツの重さを片側のみ大幅に重たくし、ディアボロの重心が中心からずれるようにした。これによりディアボロは水平軸方向に通常の回転をしながら、同時に地面に対して垂直方向を軸にして回転し続ける。
ディアボロの演技は通常、観客に正対する面(以降は正面と呼ぶ)と背面が存在し、意図的に面を変える演出を行わない限り正面と背面が崩れることはない。ヨーヨーなどと異なり、ディアボロは加速動作に時間がかかるため、面を変えるコストが高いからだ。これはディアボロプレイヤーが知らず知らずのうちに拘束される縛りである。
常に向きが変わり続けるディアボロは正面と背面の概念を曖昧にし、ディアボロプレイヤーの縛りを擬似的に消滅させる。
これにより、ステージと観客席は必ずしも正対する必要がなくなり、360°どの角度からもディアボロの演技が楽しめる。三方囲み舞台であるデザインフェスタのショーステージにおいて、今回の演技は最も適したディアボロの演技だと言える。
■おわりに
当日はショーステージと屋上パフォーマンスの間にデザインフェスタ会場内をバルーンドレスを着て闊歩する予定である。前述の通り、ショーステージと屋上パフォーマンス、その前後で引き起こされるムーブメントすべてが私達の出展だ。
もしあなたが「演技の動画は後でYouTubeにアップされるだろうから大丈夫。」とか「Twitterにアップされるバルーンドレスの写真を見ればいい。」と考えて会場に行かない選択をしているのなら、非常にもったいないと言わざるを得ない。
すでに書いてきたことからわかる通り、当日に起きる出来事はこれまでに誰も見たことのない、体験したことのないものになる。もしこのnoteを読んで興味を惹かれたなら、会場に足を運んで欲しい。会場でグロかわいいバルーンドレスを着た工藤がお待ちしている。
デザインフェスタvol.55
『工藤正景 Dressed by すな子 ー無限の眼ー』
パフォーマンススケジュール
○5月22日(日)
・13:50-13:55 ショーステージ
・16:35-16:50 屋上パフォーマンス
デザインフェスタ公式ホームページ