【夏OC2024Day1会場レポ】DHUの先輩学生と先生たちに聞く、夏休みはこう過ごそう!
2024年7月21日、デジタルハリウッド大学(DHU)は夏のオープンキャンパス2024 Day1(夏OC)を開催しました。
春・初夏・夏・秋と全6回(初夏・夏は各2回)に渡って開催されるDHUのオープンキャンパス。最も規模の大きい夏OCは毎年、オープンキャンパスを盛り上げる在学生チーム「キャンパスPRプロジェクト」発案によるイベントコンセプトが掲げられています。
過去2年の会場レポートはこちら。去年は「公園」、一昨年は「サーカス」がコンセプトでした。
さて、今年(夏OC2024)のテーマは「RPG」。
不確かな時代でも自分の未来を掴もうとするドキドキとワクワクを、RPGにちなんだ企画やビジュアルで表現。目標に向かって学び、成長する様子をレベルアップに見立てて、参加した受験生がDHUでの学生生活を体感してほしいという想いが込められています。
大学を訪れた高校生(主人公)たちは、マップを手に各教室を巡ります。ラウンジでは、宝物のような先輩たちの過去のポートフォリオ展示が。ある教室では、スキルを手にするための第一歩である「体験授業」が。またある教室では、ドラゴンと戦うためのあの展示が…!?
今回企画・運営にかかわった在学生は総勢107名。4年次までの定員が1,000名であるDHUにとっては、全学生の約1割が携わるという一大イベントです。
入場前に行われたミーティングではイベント関係者が一堂に会して「頑張るぞ!」の声を上げるなど、過去にない規模と盛り上がりでイベントを作り上げていきました。
今回のnoteでは、夏OC2024Day1で体験授業や特別講義を担当した「先生たちの高校時代」、そして、制作にかかわった在学生から聞く「オープンキャンパスの舞台裏」を中心に取り上げます。
▼本編(YouTube Live)のアーカイブはこちら!
デジタルアーティスト・加藤オズワルド氏が語る「高校3年生の化け方」
夏OC Day1の目玉となったのは「ゲスト講師による特別講義」。今年は、ポケモンカードをはじめ、映画、ゲーム、アニメなど数々のイラストやアニメーションを提供する加藤オズワルドさんをお迎えしました。講義内では、学生時代やこれまでの活動を振り返りながら、イラストに関連する仕事やそれに紐づく加藤さんの実体験をお話しいただきました。
そんな加藤さんにDHU note取材班が突撃取材。加藤さんの高校時代について、さらに深掘りしてみました。
——加藤さんは高校時代、今のご自身の姿を想像できていましたか?
いえ、全然想像していないですね。僕は小学生のころからブラジルの日本人学校に通っていたんです。海外で暮らしているけれど、教科書や学びのカリキュラムは日本と同じ。日本人学校を卒業したら日本に帰って、日本で会社員として仕事をするのが当たり前だと思っていました。
でも僕は、授業を受けるのがすごく苦手で。学校そのものは好きだったんだけど、成績もよくないし、うまくやれないことも多くて。小学校は6年、中学校は3年で終わるけれど、会社って入ったら一生やらなきゃいけないんでしょ?と絶望していたんです。絶対うまくできない、って。
唯一、人よりちょっとできるのが絵を描くこと。だから、小学校4年生のころから「なんとか絵で食べていく道を見つける」というのが僕の命題だったんです。とはいえ高校に入っても、絵で食べていける確証は得られなくて、将来は全然見えなかったですね。
——そんな中で、自分の道はこれだ、絵で生きていけると思ったきっかけは?
大学3年のとき、初めて絵の仕事をしたときですね。そのときに「大丈夫だ。これで俺は食べていける」と思いました。将来有名になってやろう!というほどのものでもなくて、とりあえず当たり前に生きていくための手段・糧が得られて希望が持てた、くらいの話なんですけどね。
それまでは、絵でご飯を食べている人って漫画家くらいしか知らなかったんですよ。でも漫画なんて描いたことないしな、と思っていて。イラストの仕事をしてみて初めて、こういう順番でこういう注文が来て、こうやってお金になるんだとわかった。その仕事は2~3枚描いて終わる単発の仕事でしたが、仕事が集まる場所や手順がわかるにつれて安心できるようになったのを覚えています。
——今回、夏OCに来てくれた高校生や保護者の中には、クリエイティブな仕事がしたいけれど食べていけるか心配、という方もいるように思います。そんな高校生が今できることはなんでしょうか?
大学を卒業するまでの間は、何もしなくても“死にはしない”状態にあるじゃないですか。だったら、どんどん調べて、どんどんやってみて、どんどん失敗するのが大事。
今は僕らの時代みたいに足で仕事を取ってくるみたいなことをしなくても、クラウドソーシングで案件を受けてみるとか、SNSで仕事を探してみるとか、なんでもできる。ノウハウもそこらじゅうに転がっています。クリエイターとして食べていきたいなら、大学生のうちから始めちゃったほうがいいと思いますね。スキルや技術は、練習でしか身につきません。情報を入れ、とにかく数をこなすことを意識してみてほしいです。
こういう話をすると「人見知りだから緊張する」という人もいるんですが、ぐっと堪えてやるしかありません。もしくは、コミュニケーションの得意な友だちを味方につけて、一緒にやってみるでもいい。そういうのを繰り返していくと、いつの間にか量・金額ともに食べていけるレベルになるのではないかな。
卒業しました!仕事します!ってなると、すごい不安だし大変です。だからこそ、ご飯とベッドがある状態で練習しておく。助走の状態があれば、卒業してもなんとかやっていけるはずです。
——「バケモノたちの夏、来たる。」が今回のイベントのキャッチコピーなのですが、加藤さん自身が考える、「化ける」ために重要なポイントは?
もしクリエイターになりたいのなら、夏休み中に、なんでもいいから胸を張って自分の作品だといえるものを作っておくといいと思います。
一作目ってものすごく大変なんですよ。一作目を作ると、ものすごく成長する。映像でも、絵でも、CGでもなんでもいいから、自分のできる最大値のクオリティのものを作り切りましょう。作り終えたとき、人生が変わると思いますよ。
体験授業を担当した先生たちが語る「この夏の化け方」
《演習》やさしい3DCGシミュレーション担当:金森 慧先生
2024年春にDHUを卒業したばかりのCGクリエイターである、金森先生を講師に迎えた夏OC限定の特別授業です。直近では「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024」のオフィシャルCG映像の制作も担当しました。
今回は金森先生のお手本を見ながら、画面の中の「バケモノ」を動かしてみる3DCGシミュレーションの授業でした。参加した高校生の皆さんのほとんどが、プロ仕様のCG制作ツール「Maya」が初体験。操作方法に悪戦苦闘しながらも、TA(ティーチングアシスタント)の在学生に積極的に質問しながら、「バケモノ」をさまざまな形に動かしていました。
——今日の授業のご感想は?
在学中から「2~3年したら講師として戻ってこい」と先生たちに冗談を言われていたのですが、体験授業の機会をもらって、いよいよ現実味を帯びてきたのか?なんて思っています(笑)。
通常こういったCGの制作体験では、モデリングや形を作る作業をしてみましょう、となるのですが、今回はシミュレーションをして遊んでもらいました。手軽に動かせて、自分の操作ひとつで物体の動きや落ち方が変わるのは面白い。それを感じてもらえたらいいかなと思っています。
——金森先生が高校生におすすめしたい、夏休みの過ごし方は?
CGがやりたい高校生は特に「今のうちからCGをやったほうがいいのでは?」と思うかもしれません。ですが、個人的にはやらなくていいよ、と思いますね。CGは大学に入ってからいくらでもできるし、逆に高校時代にリードしていた人が大学に入ってから初心者に抜かれていくこともある。
将来CGをやりたいからといって今からBlenderに触れなきゃ、と思わなくても、作りたいものを作っていたらいいんじゃないかなと思います。もちろん、作品じゃなくてもいい。高校生のうちにできることは何なのか。いま時間を使いたい、好きなことは何なのか。自分で考えながら、今しかできないことを体験してみてください。
《講義》ビジネス心理学:安藤 健先生
社会に出ると、期待と理想、現実の間で心が揺れ動くことも多くあります。DHUの教養科目のひとつである「ビジネス心理学」の授業では、ビジネス的な視点から「心の揺れ」を解き明かし、どのようにそれらに向き合っていくのかを解説しています。
高校から大学に進学するタイミングは、楽しく心がワクワクすることも多い一方で、知らず知らずのうちにストレスも溜まりがち。担当講師の安藤先生からは、受験や進学に向けた心構えについての話もいただくなど、高校生たちは真剣な様子で耳を傾けていました。
授業後の安藤先生にお話を伺いました。
——普段はどんなテーマで授業を行っているのですか?
組織と人の心理をつなぐような授業を行っています。DHUのような大学に入ると、クリエイティビティや技術を磨くことに力を注ぐ学生さんも多いかもしれません。ですが、クリエイティブな仕事もひとりでやっているわけではなく、クリエイター・デザイナー・ディレクターなどがチームで仕事をしています。どんな環境に飛び込んでも切っては切れない「チーム」「組織」とどのように向き合っていくべきかを伝えています。
——高校生に、この夏どんな風に化けてほしいですか?
キャリアは「職業人生」のことだけを指すわけではありません。皆さんのキャリアはすでに始まっていて、高校から大学に進学するタイミングは「キャリアトランジション(キャリア・人生の転機)」と呼ばれ、まさに次の何者かに「化けるとき」。
そのキャリアトランジションをスムーズに進めるためには、この夏たくさん情報収集をして、自分を知ること、相手(志望大学など)を知ることが必要です。自分は何をしたいんだろう、何が向いているんだろう。この大学では何が学べるんだろう、この大学はどんな人間になってほしいと思っているんだろう…。それらを考え、調べていくことが「良い化け方」のコツです。
《講義》シナリオクリエイティブ:岡本 貴也先生
ドラマ、映画、舞台だけでなく、ゲームやCGの映像制作などにも必要な「シナリオ」。今回の体験授業では、「シナリオとはなにか?」の全体像を学んでいきました。
「モノづくりに関わるなら、どんなスタッフでも台本は読めなければなりません」。テレビドラマの脚本や舞台演出を手掛ける岡本先生の講義に、受講した高校生たちは熱いまなざしを向けていました。
——シナリオクリエイティブでは、どんな課題が出されるのですか?
最後の課題は、“30分もの”の脚本を1本書きあげること。読むと書くとでは大違いで、書かないとわからないですからね。授業では、1本書くまでのステップを順を追って扱っていきます。
いろんな作品を見て台本と見比べたり、短いシーンから書き初めてみたり、有名な作品の構造がどうなっているのか分析したり…。シナリオクリエイティブは実践的な授業です。特に実写映画を撮っている学生は夢中になってくれているように思います。
——受験生がひと夏で“化ける”ために、必要だと思うことは?
勉強してほしいですね。勉強は裏切らないですから(笑)!読書も大事だけど、今年の夏ばかりは英単語をひとつでも多く覚えたほうがいい!と言いたいですね。もしもすでにやりたいことが見つかっているのなら、それに向かって突き進んでいくのがいいと思います。何かに一生懸命になる。馬鹿になる。そんな時間が、半年くらいはあってもいいんじゃないかな。
——岡本先生は、高3の夏、何をしていましたか?
予備校に通って、ひたすら勉強していましたよ。当時は大学教授になりたくて、必死で勉強して、早稲田大学の物理学科を卒業しました。でも、大学に入って面白くなくなって、卒業後は出版社に就職して、27歳で脚本家になった。人生ってシナリオ通りじゃないんですよね。だから、勉強しろと言ったけど、人生は大学ごときでは決まらないというのもまた事実。好きなことを、思い切りやってください!
《演習》起業入門:太場 次一 先生
起業入門は、ビジネスパーソンになるために必要なこと、キャリアイメージを具体的に形にするための思考力や取り組みについて伝える授業です。
楽天ほか数多くのWeb Integrationに携わり、多くの起業家卒業生を生み出してきた太場先生。「労働の本当の対価って何だと思う?」「いい上司ってどんな上司?」などと高校生に投げかけながら授業を進めていきます。
「お客さんの笑顔かなぁ」「優しい人だと思います」。自分なりに考えながら、答えを導いていった高校生たち。深く思考する姿が印象的でした。
——どんな人が起業に向いていると思いますか?
今の自分では納得できない、今の自分が居たいところはここではない、頑張るんだという気持ちのある子たちが頑張れている印象です。その家庭の中で、子どものころに求めていたキラキラと、大人として求めるキラキラは違うということを見つけ出していきます。それを自分の力で見つけ、つかめたときの喜びを知れると、自信につながる。次やりたいことに躊躇なく立ち向かっていけるように思います。
——この夏、高校生たちにどんなふうに化けてほしいですか?
起業を志す高校生には、“早く覚える”をおすすめしたいです。
技術だけ身につけて卒業すれば、すぐに職業人として独立できると考えてしまう人がいます。でも、おいしいラーメンを作ればお店が儲かるわけではないのと同じで、他社とどう差別化するのか、どうプロモーションするのか、デザインで成功したら次は何をやるのか、お金はどうするのか…そういうのを考えておかなければ、成功はできません。
だから、今のうちからたくさん失敗すること。宇宙に行く人たちは、宇宙に飛び立つ前にプールで何度も何度も練習して、つらい思いをしながら演習していきます。早いうちにそういう経験をたくさんすれば、目の前に障壁が来たときに乗り越えていけるんです。まずは「俺がやったら成功する」という意識を変えることから初めてみてほしいですね。
イベントを支えた在学生たちに聞く
ここからは、当日の運営を支えた在学生たちにインタビュー。花形のあのポジションから、立役者的なあのポジションまで、さまざまな活躍をしたDHU生に、イベントの感想と受験生へのメッセージをいただきました!
作品展示を担当していたのは、キャンパスPRプロジェクト7期生で1年の仲秋さん。合成ソフトを使いクロマキー合成を楽しめる展示を行いました。
受付、お見送りなどを担当していた1年の伊藤さんは、訪れた高校生を見て懐かしい気持ちになったそうです。
夏OC開催時間中は、アバターで交流する2次元のバーチャル空間「oVice」で、在学生と高校生による交流も行われていました。運営を担当したのはキャンパスPRプロジェクト7期生で1年の和樽さん。オンラインで参加してくれた高校生にも会場の様子が伝わるよう、Instagramでの配信も行いました。
サークル展示の教室でひときわ多くの人を集めていたのはDOS/A(ドスエー)です。DOS/Aは、「PC・ガジェットをゆるく楽しむ」ことを目的としたデジタルハリウッド大学の公認サークル。1年生が中心となり、2024年の4月に立ち上げました。夏OCでは、入学後に必要となるPCの選び方についてレクチャーを行いました。
来校した高校生たちは、大教室でガイダンスを受けたあと、体験授業や展示室に向かいます。その高校生たちが迷わず目的地に向かえるようサポートしたのが、「場内誘導チーム」のみなさんです。
前々日からリハーサルを重ね、300名超の来場者を円滑に誘導したチームワークは目を見張るほど!イベントを終え、やり切った表情の6名に感想を聞きました。
教員・在学生・ゲストが力を合わせて作り上げた「夏のオープンキャンパス2024 Day1」の舞台裏、いかがでしたか?最後までご覧いただきありがとうございました!
2024年8月18日(日)には、「夏のオープンキャンパス2024 Day2」を開催します。Day2ではキャンパスPRプロジェクトによるトークショーのほか、「映像制作演習」「イベントプランニング」「広告発想論」など、Day1とは異なるラインナップでの体験授業が行われます。
初めての方はもちろん、Day1を体験いただいた方も、奮ってご参加ください!
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