ヨーガはストレッチにあらず
ヨーガは体操のようで体操ではない?
■見た目は体操のようなストレッチのような感じだけど…
恥ずかしながら素晴らしく優秀な先生にヨーガを習っていながらも当初において、ヨーガのアーサナをストレッチのように毎日毎日と行っていました。といいますのは、上の画像のパスチモッターナアーサナという長座前屈運動となるポーズを見たままにごく普通に模倣すると、太もも裏・ふくらはぎ・足の裏・お尻そして背中等のそれぞれの部分を伸ばすために行う、と思ってしまいがちです。
おそらくですが、もともとは寒地のヒマラヤで行われているアーサナを暖かい南インドにて行うことで、ストレッチのような運動だと思い違いを私のようにしたのかもしれません。
■保守本流のアーサナは二通り
以前にもお伝えしたように、ヨーガの保守本流の教授法は、見て覚えろそしてわからないことは尋ねよ、という方式なので、訊くことなく見たままに勝手に勘違いしていただけなのですが…
いつまでも訊くことなく同じことをし続けていた私たちに業を煮やしたのか?先生は塩味の秘密を明かしてくれました。
たとえば、上の画像のパスチモッターナアーサナの場合、両膝を微妙に曲げていて両足を伸ばしながら両腕でその力にあらがいながら引っ張りながら前屈をする等尺性運動をしていると解説してくださいました。もう目から鱗でした。とともに、はじめから教えてくださいという気持ちも正直ありました。
ですので、ほぼすべてのアーサナは、座位であろうと立位であろうとも見ただけではわからないのですが、さりげなく等尺性運動をしています。等尺性運動とは、関節を動かさないで筋肉に力を入れる( 収縮させる) 運動で、少ない動きでできる筋肉のトレーニングです。 筋肉が伸び縮みせず長さが変化しないので、「等尺性」という名前がついています。 関節や筋肉の働きが弱るのを防ぎ、維持する目的で行います。
これも後々に気がついたことですが、ヒマラヤの保守本流の行者さんたちは、等張性運動と呼ばれる筋肉が収縮することで関節を動かす運動も行っています。 体を動かそうとして肩を上げたり、肘を動かしたりする。 この時、肩や肘の筋肉が収縮して関節が可動しています。 このように一定の抵抗に対して筋肉が長さを変えて(伸びる・縮む)関節が動く運動を「等張性運動」と言います。
たとえば、フロントランジとなります。フロントランジとは、直立姿勢から片足を前に踏み出し、重心を垂直に落としていく動作により、下半身の筋肉を効率良く鍛えることのできる筋力トレーニングです。フロントランジでは「大臀筋」、「ハムストリング」、「大腿四頭筋」といった下半身にある大きな筋肉をバランス良く鍛えることができます。有名なもので昔プロレスラーがしていたヒンズースクワットがよく知られています。
ヒマラヤでの過酷な寒地を練り歩くことを考えると下半身の大きな筋肉をバランス良く鍛えることが必須なことは想像するに難しくはありません。私の場合は、ヒマラヤを練り歩くわけではありませんが、等尺性運動としてのアーサナを毎日、そして、筋トレとしての等張性運動を自重やダンベルなどの負荷を課して週に二回から三回行っています。
等尺性のアーサナのやり方
■緊張と弛緩を観察する
前回にお伝えさせていただいたように、肉体に対して、負荷という刺激を与えて、そのときに、その負荷がかかっている部位に意識の光を与えることで気づく、もしくは、意識化することをしていく時に、等尺性運動がとても効果的となります。
たとえば、今すぐに体感できるものとして、椅子に座った状態で眼を軽く閉じて、胸の前に右手の平と左手の平を合わせて(合掌する)ください。そして、普通に呼吸を五回する間に右手と左手を押し合います。押し合っている間に身体のどの部位に負荷がかかっているのかを心の眼で観察します。五回目に息を吐くと同時に力を抜いて、緊張が解けて弛緩する様子も心の眼で観察します。弛緩する様子は普通の呼吸五回から十回の間に観察し続けてからもう一度、胸の前に合掌して同じように負荷をかけてから力を同じように抜いて弛緩した状態を観察する、これを三セット行ってみてください。
身体の緊張と弛緩を観察する心の眼を育てることができますし、観察することで身体から心を離して観れるので少し心が安らげると思います。
■動画によるインストラクションの一例
実習する前のオススメ事項として、以下の四項目をお知らせします。
・今ココを観察する
・判断比較をしない
・がんばりすぎない
・心地よさを選ぶ
「今ココを観察する」というのは、できる限り今現在にしていることに集中するということで、やりながら今晩のおかずは何にしようかとか郵便局でお金をおろさなくっちゃなどの考えが浮かんでもその考えのままにしておかずに、今現在にしていることに集中しなおすことです。
「判断比較をしない」というのは、眼を閉じているわけなので他の誰かと比べることなく自分の心の中での判断や比較をするようなことか生じても、今現在にこの部位に緊張しているとか弛緩しているという事実のみに集中することとなります。
「がんばりすぎない」というのは、等尺性運動での力加減をだいたい六割か七割ぐらいで始めてみるということです。がんばりすぎてしまうと力が抜けずにより身体を観察するどころか身体との一体化を強化することになってしまいます。だんだんと力加減に慣れてくると後で弛緩するのにちょうど良い力加減にて行えるようになってきます。
「心地よさを選ぶ」というのは、上の「がんばりすぎない」とも重なることですが、心地良く緊張し弛緩をすることとなり、この緊張と弛緩の繰り返しを心地良く観察するということになります。
動画を見て実際に実習する方が体感できると思いますので下記の動画をご覧になってお試しください。
ヒマラヤヨーガ初級編】簡単な運動で実習できます!
他の流派でも観察できるのか?
通常のヨーガ教室は、鏡張りの教室ではじめのうちは先生のポーズを見よう見まねで模倣することで精一杯だと思いますし、どちらかというと観察するのは先生のポーズと自らのポーズの違いとなるので難しいかもしれません。
しかしながら、すでに自分のポーズを先生を見なくてもある程度はできるのならば、眼を閉じて、ポーズをすることでの身体の負荷を観察することはできると思いますのでお試しください。
最後に
実際に教室にて試してみたいという方は、日本ヨーガ療法学会のヨーガ療法士が全国にいらっしゃいますので検索してお探しください。もしくは、日本ヨーガ療法学会で動画を以下のように提供しているので、その動画を見ながら実習することもできます。
日本ヨーガ療法学会/ヨーガ療法プログラム
ここまで書いてきて一方的にヨーガについて伝えるのはなかなかに難しいというのが実感です。聖典などの解説をした方が比較的に難しくはないのですが一般論として伝えるのはたくさんの伝え方がありすぎて、しかも、いろいろな側面を伝えると混乱することも考えられます。次回は、なぜ、心の眼で観察するのかについての解説ができるかなと思っています。
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