【大会編】デスクワーカーの京都マラソン3ヶ月チャレンジ
前回記事の続き。
昨日2月18日の京都マラソン2024に参加してきたので、大会当日のレポートを記していく。
当日の朝は想定より早く5時前起床。夜21時頃には就寝していたので睡眠時間は十分に取れた。少し余裕があるので軽くシャワーを浴びてから本番用の服装+上着に着替えて朝食。なるべく胃にやさしい蒸しパンやカステラなどを選んだ。まだ多少眠気はあるが、身体のコンディションはかなり良さそうな感じ。
そして7時半過ぎ現地着予定の電車に乗り会場へ向かう。最寄り駅の西京極には普段停まらない準特急が一日限定で停車するとのことで、京都市の交通規制はさることながら大会規模の大きさを改めて実感した。
いざ西京極駅に到着すると、ホームから徒歩数分のスタート会場西京極総合運動公園まで人の大行列が続いていた。去年まで京都市の桂に住んでいたのでここは馴染みが深く、日常ののどかな風景を知っているだけに非日常感が増し、良い緊張感が漂い始めてきた。
今回、職場から一緒に参加した人は把握しているだけでも6人いたが、回線が混んでいるのかLINEのテキストすらまともに送受信できない時間帯もあり、加えて手荷物預けやトイレ行列、スタートブロック整列とやることが多くあっと言う間に時間が過ぎてしまい結局3人としか合致できず…後日の打ち上げで土産話に華を咲かせようと思う。知り合いと参加する予定の方は電車の時刻を合わせるか会場のどのポイントで集合するか明確に決めておくべき。
スタート15分前になるとセレモニーが始まる。とは言え、大会初参加の自分は最後尾のKブロック整列でありメイン会場とは異なるサブトラックに居たのでスピーカー越しの清聴となった。そして9時にいよいよフルマラソンがスタート。ブロックが後ろであればあるほど号砲が鳴ってからスタートラインを通過するまでの時間に遅延が生じるが、今年のKブロックは13分30秒ほど遅れてのスタートとなった。
さすが京都最大の大会、スタート後も周囲を大量のランナーが走っているのだが、スタート会場を抜けた直後の五条通、葛野大路通、四条通は車道を全て貸し切りしており道幅がかなり広かったので人によっては追い越しもできそうな程度の混み具合であった。沿道の応援も賑やかで、京都在住当時に何気なく通過していた学校や会社人々からも声援がもらえるというのは感慨深いものがある。気持ちは昂りつつも走りは冷静に、数kmの感触を基に前半は6分40秒台/kmをキープしていくことにした。
そしてコースは市街地を抜けて桂川沿いへ。視界が一気に開けて京都が盆地たる所以の山々を一望することができるので個人的に好きなスポットだ。しばらく川沿いを走ると第一給水所に到達。手持ちの水筒だけではフルマラソンは到底足りないので焦らずここで給水していく。7km地点から計画どおりにジェルをポケットから取り出し補給する。また、大会で配布されている手袋を着用した沿道の応援ギャラリーとハイタッチできるゾーンもあり、ここでも元気をもらいながら順調に走ることができた。じきに有名な観光地、嵐山の渡月橋も見えてくる。コースとしては橋を渡る訳ではなく手前の曲がり角を進んでいくのだが、遠景も綺麗だし相変わらず沿道の応援も賑やかなのでそんなにがっかり感はない。
この辺りから京都マラソンの特徴らしい、前半の上り基調のアップダウンが牙を向いてくる。本番前から前情報として把握していたので、無理に駆け上がることはせず多少のペースダウンも許容して走ることに努めた。ビルの屋上と目線が並んだところにも応援があるのは他のコースには見られない光景で面白かった。
緑の多い景色を抜けていき、大会名物である仁和寺のお坊さんの応援もしっかり頂戴する。他にも迫力満点の太鼓やチアが各地で見られ、その応援のバリエーションの多さも飽きずに走り続けられる大会の魅力なのかなぁ、と思ったりしていた。また、立命館大学や佛教大学の脇を通過するコースで、大学時代にサークルの繋がりで何度か遊びに行ったこともあるので個人的な思い出に耽ったりしているうちに15km地点を通過。体感ではかなり好調。
20km地点の少し前からはまた景色が変わり、上賀茂エリアへと差し掛かる。ここで先を走っていてトイレ休憩から出てきた先輩と一時並走したり、今回観戦側として沿道に立っていたマラソン好きの上司とハイタッチしたりといくつかのイベントもあった。
そして上加茂から下って橋を渡っていくと北山通に入る。いよいよ中間地点だ。ここでは五山の送り火で知られる「妙」「法」の字が至近距離で見られ、通りに面した北山紅茶館でお茶するという流れが好きでよく訪れていたので夏の京都観光の際にはぜひ。正直大文字よりおすすめ。この辺りからコースに折り返しが多くなるので脚の負荷には気を付けながらペースを維持していた。脚には悪影響だが、近くを走る先輩や上司とすれ違いながら声を掛け合うことができるのは気分的にメリットでもある。
ここで活躍したのが大きなマラソン大会で採用されている応援naviというアプリで、本来は沿道で応援するギャラリーが目当てのランナーを検索して途中経過タイムから予想現在地を割り出してくれるサービスが提供されているのだが、ランナーにとっても仲間とのすれ違いタイミングや追い付けるかの目算が立てやすくなるのでおすすめ。また、23km地点付近でついに5時間のビブスを着用しているペースランナーさんの姿を捉えて追い越すことができたことも追い風となった。スタート遅延の分も考慮すると、サブ5達成に向けてそこそこ余裕も生まれている計算だ。
メンタル面で最高潮を迎えた状態で次は京都府立植物園の敷地内へ。普段は入場料を支払わないと踏み込めないエリアを走れるというのは何とも贅沢。しかもコースの途中では舞妓さんの応援もいただける。立ち止まることはなかったが、しっかりと京都マラソンの醍醐味を堪能しながら敷地を抜けていった。
その後は鴨川デルタ手前の河川敷へと降りて30km地点へ。京都の通勤通学や在住経験がある人にとっては馴染み深いエリアだが、この辺りは狭い道幅が続くので、特に給水所付近ではあわや接触といった混み具合で走りにくさがあったことは否めない。ここまでペースを崩すことなく維持できていたが多少は膝回りにジンワリとした痛みを帯びてきていたため、河川敷の最終給水所で一旦立ち止まってストレッチすることとした。とは言え、初ハーフマラソンでペース配分を失敗したときや30km走練習で襲われたほどの痛みや疲労はなく、焦らずゆっくり回復した上でコースに復帰した。サブ5に向けてもさして問題ではなかった。ここまでは。
河川敷を出ると京都御所→京都市役所とだんだん繁華街へと近付くにつれて沿道のギャラリーも多くなり、嫁と母が応援してくれるとのことで事前に待っていたポイントも笑顔で走り抜けて35km地点通過。ここでストック最後の補給ジェルを取り出したが、何だか全く喉を通らない。補給しすぎたか逆に空腹で気持ち悪くなった?と考えたが、そうでもなさそうで、脚に意識をやると激痛のあまり一気に気持ち悪さが増してきた。これはやばい…
とりあえずもう一度ストレッチ、とりあえずもう一度走れる。でも明らかにペースが遅くなってきている。HPが減るというより、HPの上限値ごとゴリゴリ削られていくような感覚。膝が痛すぎて脚が上がらない。ジェルはうまく喉を通らないし、水分もスポドリは口の中の甘さが却って気持ち悪く水しか飲めない。38km地点に辿り着く頃にはほとんど走れず、歩いても立ち止まってもストレッチしても収まらない痛みが付きまとうようになった。ラストスパートの大文字や京都大学に思いを馳せる余裕など残っておらず、タイムはいつしかサブ5絶望的な数字を示していた。こんなはずではなかったのに…と思いつつ、せめて完走はしようと早歩き立ち止まりを繰り返してゴールの平安神宮へと向かう。気持ち悪さが本格的に吐き気へと変化したらリタイアしようと考えていたが、幸いそこまでの事態には至らず、これまでの道のりの何倍も長く感じる灰色の約4kmを耐えに耐えて何とかゴールゲートをくぐることができた。
ネットタイム(スタート地点を越えてからのタイム)は5時間11分35秒。目標のサブ5達成とはならなかった。悔しさは後から滲み出てきたが、とにかくもうこれ以上脚に負荷をかけなくて良いという解放感からある種の嬉しさはあった。最後の力を振り絞って完走賞と手荷物を受け取り、フラフラと更衣室に入って座り込もうとしたら想像以上に下半身の自由が利かず、身体が固い人の前屈みたいなポーズで硬直してしまった。ふと隣を見ると、続いて更衣室に入ってきた人も全く同じポーズになっていたので目を見合わせて「これ座れないっすね…!」と笑い合った。知らない人とでもふとした折に波長が合って勇気を分けたり傷を舐めたりできるのもマラソンの魅力と言えるだろう。散々な目に遭ったが、この時点で、どれだけ苦しかろうがいつかまたフルマラソンの大会にリベンジしようという決心は固まっていた。できればもうちょっと傾斜が平坦なやつで。
それにしても、35km地点以降の強烈な膝の痛みはどのように対策すべきだったのか。30km地点を過ぎた段階ではこれまでの長距離練習やハーフ大会と比べても痛みは軽かったので、衝突も転倒もなしにまさかここまで急激に悪化するとは思わなかった。それでも、ラストスパートでゆっくりにせよしっかり歩かず走り抜けていくランナーを横目で見送っていた身としては何かしらの失敗があったことは認めざるを得ない。強いて言えば筋トレ不足だろうか。初フルマラソンへのチャレンジにあたって、ただただ走ることの楽しさにかまけて情報サイトでも推奨されている筋トレをサボってしまっていた。元々が運動不足であったから、なおさら脚の着地の衝撃に耐えうる身体作りには余念を残さず取り組むべきだったかもしれない。ランニングのみでは体重も少しずつしか落ちなかったし、余計に脚へのダメージが蓄積されやすかったのかもしれない。また、身体全体のフォームだけでなく着地衝撃を和らげるテクニックも身に付けておけばよりまともなラストスパートを迎えることができていたに違いない。
一応、今回の京都マラソンで用意した補給食を紹介しておく。
画像上のEnemotiはくるみ餅のような食品で、パラチノースという成分でゆっくり長持ちのエネルギーが供給される。普通においしい。スタート2時間前に補給。
左から順に、VESPA PROは酸っぱ苦めなドリンクで、スズメバチの成分が体脂肪をエネルギーに変換する。スタート1時間前に補給。
AMINO SAURUS GEL 02(レモン)→04(グレープ)→03(ピーチレモン)→01(マンゴー)はマラソンに必要な栄養が大体詰まっているオールマイティなジェル。Eliteと名付けられている2種類は成分の強化版で、後ろ2種類は集中力アップのカフェイン入り。スタートから7kmごとに順に補給。他社製ジェルは甘すぎるものも多いため苦手な人にもおすすめ。(個人的にはそれも好き)
Mag-on gelée(バナナ)は水溶性マグネシウムで素早く吸収されて食べ応えのあるジュレ。アミノサウルスの後の35km地点で補給。今回はその食べ応えが裏目に出た。
TOP SPEEDはこちらも酸っぱ苦めなドリンクで、ランナー界隈ではラストスパートのあともうひと踏ん張りでエネルギーを燃やし尽くす目的で愛用されているらしい。今回はそういう問題ではなく膝が痛すぎたので焼石に水だった。
目標達成とはならなかったが、いずれも練習時に試食して効果や飲みやすさは実感済なので、今後もこの組み合わせを基本としてフルマラソンに臨んでいくつもりだ。
大会前日に書いていた前回記事の時点では成功体験をドヤ顔で残すつもりだったのに結果として失敗談をつらつらと記す羽目になった悔しさもひとしおだが、次の新人ランナーたちには反面教師として活用いただければ無事に成仏できることだろう。