「途上国ニュースの深読みゼミ」と「エッセーの書き方講座(初級編)」がスタート、いま熱いのはクリエイティブ型のこの2つ!
■途上国ニュースの深読みゼミ
およそ半年前に立ち上がった「途上国ニュースの深読みゼミ」(全4回)は今回が早くも第6期。ほぼ毎月開講しており、最近は最も熱いプログラムのひとつです。
プログラムの内容は、途上国が絡む1本のニュース(日本語の記事)をganas編集長が選び、それをみんなで2時間かけて深読みするというもの。
深読みのやり方は、記事を読んで「この部分をもっと詳しく知りたい!」というところをみんなで挙げていき、それを各自調べ、わかったことをシェア。最後に「こんなことに気づいた!」「こう思った!」「こういう見方ができるかも!」と意見を言い合うスタイルです。
これをganasでは「クリエイティブリーディング」と言っています。驚くことにこのやり方で読むと、記事に対する理解度が格段にアップするのです。わかればわかるほど楽しくなるのがニュース、言い換えれば「世界の動き」。教科書を読むように字面だけ追っても、ニュースのおもしろさは絶対にわかりません!
初日に取り上げたのは「ホンジュラスが台湾と断交した」というホットなニュース。蔡政権が誕生した2016年以降、中米ではパナマ、エルサルバドル、ニカラグア、ホンジュラスが立て続けに台湾と断交しました(台湾と外交関係がある国は中米がもともと多かった)。この裏側にどんなことがあるのか、を「途上国ニュースの深読みゼミ」では調べていくわけです。
わかったことや意見を参考までに少しだけご紹介します。
・台湾の政権を民進党(独立志向が強い)、国民党のどちらが担うかによって中国政府の対応はがらりと変わる。中国政府は国民党(発祥は中国大陸)を好む。現在の蔡英文総統は民進党。来年1月の選挙に注目。
・台湾と国交がある国は現在13カ国だけ(小国ばかり。バチカンは台湾と外交関係あり)。これはパレスチナや西サハラよりも圧倒的に少ない。見方を変えれば、中国が与えるプレッシャーは、イスラエルやモロッコよりもえぐい。
・台湾は国連から追放されただけでなく、国際機関(たとえばWTO)へ加入するのも難しい(中国政府が阻害するため)。政治的には国際社会からますます孤立させられていく台湾。
・ただ台湾の輸出入をみると、相手国に中南米はほとんどない。断交による直接的な経済的な影響はなさそう。
・中国は一帯一路(要はインフラ投資)を武器に勢力を広げてきた。アフリカはほぼ陥落。最近は米国の裏庭(中南米)にまで進出してきており、いまや米国を取り囲む。
・パラグアイ(4月)、グアテマラ(6月)の大統領選の行方に注目。野党が勝てば、台湾と断交(一帯一路に参加)する可能性も。米国はどう出るか。
・途上国からすれば、中国と外交関係を結んだほうが(台湾との断交を意味する)、インフラ投資を受けられるメリットがある(一帯一路)。
・ホンジュラスはずっと貿易赤字が続く。米国も、台湾も助けてくれなかった。中国は救世主に映るかもしれない。
・ホンジュラスは人口およそ1000万人で、この1割近いおよそ80万人が米国に移民している(出稼ぎ労働者)。ホンジュラスはもともと、エルサルバドル、グアテマラと並び、米国への移民を目指す人が多い国。近年のキャラバン(歩いて米国を目指す集団)もホンジュラス発。だが米政府は不法移民の受け入れに厳しい。中国になびきたくなるのも自然の成り行きか。
・ギャングが多いホンジュラスは治安(人口10万人あたりの殺人件数)が世界最悪レベルで悪い。治安が悪いと外資は参入してくれない。また個人で自営業をするにも強盗にあう。となると、経済成長は難しいのが現実。ならば中国に頼ってまずはインフラを整備するほうが得策か。台湾との外交関係を維持して何のメリットがあるのか。
・中国は近年、インフラ整備だけではなく、ソフトパワー(厳密にはシャープパワー)の拡大にも力を入れてきた。その象徴が孔子学院、新華社をはじめとする中国メディアの海外展開。中国の評判を良くすることに力を注ぐ。この戦略が「台湾の外交関係」にも影を落とす。
・ホンジュラスのGDPに海外からの送金が占める割合は約25%と高い。これはおそらく、ホンジュラス最大の産業が「出稼ぎ」であることを意味する。貧しさから脱却したいホンジュラス。
・2020年代に入って中南米で再び起きる左傾化の波(ピンクタイド)。これは米国から離れる(中国に接近する)傾向も伴う。米国が焦るのも理解できる。
・途上国からすれば欲しいのは、民主主義・人権といったイデオロギーではなく、「経済(お金)」。ただ中国が一帯一路を進める際の原資となる資金は米中貿易の黒字ともいわれる。要は米中貿易が裏でカギを握る。
次回の「途上国ニュースの深読みゼミ」は6月(第7期)です。詳細・お申し込みはこちら。
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【〆切5/27】メディアのプロと一緒に学ぶ!「途上国ニュースの深読みゼミ」(6月)受講者募集
■エッセーの書き方講座(初級編)
今期の「エッセーの書き方講座(初級編)」(全6回)は第4期。このプログラムの内容は、途上国発のエッセーを書く際に必要となる「ネタ」「切り口」の作り方を学ぼうというもの。言い方を換えれば、クリエイティブライティングのイロハです。
「エッセーの書き方講座(初級編)」では毎回、ネタ・切り口を考えるためのグループワークをやります。初日のグループワーク(ブレインストーミング)のテーマは「チョコレートとコーヒー(違うもの)の共通項」、「ゲストハウスとホテル(似てるもの)の違い」を考えること。
「チョコレートとコーヒーの共通項」のワークでは、どちらも変容度が高いという気付きが出ました。チョコレート(カカオ)もコーヒーも、もとは「ただの豆」(いや、種!)なのに、そのまま食べたり、飲んだりするだけではなく、ケーキになったり、クッキーになったり、個体にも液体にもなったり、砂糖の量を増やしたり減らしたり、まさに変幻自在。この変容ぶりが、全世界、全年齢に受け入れやすい要因なのかもしれない、との意見が出ました。
似た特徴をもつものだと、たとえば寿司があります。寿司は、どんなネタでも受け入れます。生魚だけでなく、アボカドでも、ハムでも、マンゴーでも。外国に行くと、さまざまな寿司と出くわしますよね? 変容性(受容性)を武器に世界に広がりつつあるわけです。
ピザやサンドイッチも同じ。世界を制覇する食べ物・飲み物のキーワードは変容性・受容性。考えてみれば、人間も同じかもしれません。
「ゲストハウスとホテルの違い」もおもしろかったです。大きな違いのひとつが、ゲストハウスはシェア(キッチンにしろ、シャワーやトイレにしろ、くつろぐスペースにしろ)、ホテルは占有(すべて個室にある)という違い。
シェアと占有を突き詰めて考えてみると、何が見えてくるか。たとえば電話。かつては一家に1台の電話がありました。ですが今はひとりひとりが携帯電話をもつ(占有する)時代です。言ってみれば、シェアから個へ。
対照的に車はどうか。個人で所有(占有)せずに、とりわけ都心ではカーシェアを使う人も増えてきました。言ってみれば、個からシェアへ。
こうした中、宿泊業界ではトレンドとは別に、ゲストハウスとホテルが両立しています。ある意味、最先端! ちなみに、出てきたアイデアはまだまだ山のようにあります。
ここで言いたいのは、「エッセーの書き方講座(初級編)」を受講することで、「これまで見えなかったこと(気づかなかったこと)」が見えるようになってくるということ。他人と異なるエッセーを書きたかったら、「見えないことを書く」のが鉄則。その訓練をするのが「エッセーの書き方講座(初級編)」。クリエイティブに考えるからおもしろい。
次回の開講時期は未定です。ご関心のある方はganasのサイトをチェックしておいてください!
■現在募集中のプログラムはこちら。ganasならではのプログラムがずらり。
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