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セリフを「自然な間」でしゃべるには?

どうも 小林でび です。
俳優のみなさんは「セリフの間が気になるんで、間をあけないで喋ってください」と演出家に言われたことはありませんか?
会話のシーンで、どうしてもセリフの出が遅れちゃう俳優さんって、じつは結構いるんですよね。

相手のセリフが終わってから自分のセリフを喋りだすまでにひと間の「余計な間」があいてしまう・・・これって映像の現場ではアウトです。

シーンを切り返しで撮影してる場合はこの「余計な間」をバンバン編集でカットして自然な間っぽく修正してゆくことができるんですが、ツーショットで撮っている場合はこの「余計な間」をあとでカットする手段が無いですからね。
 
しかもコレって演出家が注意してもなかなか直らないヤツなんですよね。
「間をあけないで」と指示するとセリフを喋る速度がどんどん早口になっていって、肝心の「余計な間」はそのままだったりします(笑)。
そう、この「余計な間」について俳優は無自覚だったりするんですよ。

われわれは日常の中でもっと「自然な間」で話しています。なぜ芝居となるとセリフを「自然な間」で話せなくなるんでしょうか?

それには2つの理由があるとボクは思っています。

理由1:家で練習してきた喋り方でセリフを喋ろうとするから。

俳優は家でセリフの練習をします。

多くの俳優はセリフに感情を込めながら喋る練習をしてしまいます。そしてその感情を込めた状態でしかそのセリフを喋れなくなって現場の日をむかえます。

しかし現場には相手役の俳優さんがいます。当然ですが、相手の俳優さんは自分が想定したような芝居をしてくれません。
なので相手のセリフに続いて自分のセリフを、自分が家で練習してきたような喋り方で言うためには、そこまでの芝居の流れを一回リセットして、自分が家で練習してきた気持ちや表情を作り直してからセリフを言う必要がでるわけです。
この「リセットして表情や感情を立ち上げ直す時間」が「余計な間」になるわけです。
 
だって現実の世界では、何かを喋る度に「感情や表情をリセットする」人なんて居ないですからね。観客はどうしても不自然な間に感じます。もしくは演技が下手なのかな?と感じるかもしれません。
 
家で練習してきた喋り方でセリフを喋ろうとするから・・・これが「余計な間」があいてしまう1つめの理由です。

理由2:相手のセリフがちゃんと聞けていないから。

よい脚本の会話というものは、相手のセリフをちゃんと聞いていると、自然と次の自分のセリフを言いたくなるように書かれています。
 
われわれの日常生活の会話で、我々はなにか事前に用意してきた言葉を喋っているわけではなく、その場で喋りたくなったことを喋っています。ではなぜその言葉を喋りたくなったのか?・・・それは相手が喋っているのを見て聞いている中で何かを喋りたくなるのです。
 
そう。われわれが普段喋っている言葉の多くは「自分が喋りたいことを喋っている」わけではなく、「相手の話を見て聞いているうちに喋りたくなったこと」を喋っている・・・つまり自分の言葉はじつは自分の中から生まれたものではなく、相手との関係性の中で生まれたものなのです。
 
つまり相手のセリフをちゃんと聞けていないと、次の自分のセリフを言う動機が生まれないのです。
そんな時に俳優は相手のセリフが終わってから、次の自分のセリフを言う動機を自分の中で作ってセリフを喋ります・・・この「動機を用意している時間」が「余計な間」になるわけです。
 
われわれの日常ではそんなことないですよね。相手が喋っている間にムクムクと何かが喋りたくなって、相手の言葉の切れ目を狙ってバッと喋りだしたりしますよね。それが「自然な間」というものです。
 
相手のセリフがちゃんと聞けていないから・・・これがセリフに「余計な間」があいてしまう2つ目の理由です。
 
俳優のみなさん、なんとなく身に覚えがありませんか? ボクも芝居を始めた当初はこの2つをやってしまっていたので、自分のセリフを喋りだすのにすごい時間がかかってしまっていました。当然演出家に「変な間があいてるよ!」と指摘されましたが「?」でしたw。
この2つの理由を、当時の自分に教えてあげたいです!(笑)

相手とのコミュニケーションの中でセリフを喋ってゆきましょう。

なぜ「自然な間」でセリフが喋れないのか?について解説してきましたが、その理由その1「家で練習してきた喋り方でセリフを喋ろうとするから」も、理由その2「相手のセリフがちゃんと聞けていないから」も、共通している要素は「ひとりで芝居しようとしてしまっている」という点です。
 
現場に入ったら、家で練習してきたことはすべて忘れましょう。そして相手に向かい合いましょう。
相手に対してガードを外して、心を開いて、相手の言葉や行動に心を動かされてみましょう。相手の言葉や表情に、傷ついたり、喜びを感じたり、腹を立ててみたりしましょう。

するとふと相手の言葉が聞こえてきて、次のセリフを喋る動機が生まれてきます。そのままの気持の流れで脚本通りのセリフが喋ってみましょう。
きっと「自然な間」でしゃべれると思います。しかもそのセリフや表情はきっとイキイキとしている筈です。
 
これって芝居の醍醐味のひとつなのです。ぜひ試してみてください。
 
小林でび


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