社会人4年生
「どんなに短い義務教育でも3年だから、とりあえず3年は頑張ってみる」と家族に宣言した2021年の春。
あっという間にその3年が経過した。
2020年春、同級生に比べたらそもそもの社会人スタートが1年遅れていて、異質感1割、割り切り9割のマインドで就活をしていた。
東京オリパラ通訳ボランティアがやりたくて
アルティメットU20日本代表のマネージャーがやりたくて
日独スポーツ少年団の日独通訳をやりたくて
そんな夢を詰め込んだ2020年を過ごす予定だったので割り切って就活を1年遅らせた。
今しかできないことを目一杯やりたい1年にしたかった。
面接は前例がないオンラインで私のキャラクターは全然伝わらなかった。
こんなにも伝えることが難しいと思ったのは初めてだった。
アルティメットのマネージャーを続ける選択肢を残したくて、仕事以外でもプライベートを充実させられそうなアンテナを立てていた。
2021年春、無事に地元のメーカーに就職し、最初の配属は事務職だった。
社内の人はみんなマスクをしていて、顔と名前を一致させるのが一苦労。
お昼は横並びで黙食、歓迎会や食事は基本NG、プライベートで必要以上に深く関わろうとは思ってなかったけど、全くの0となるとこれまた人間関係を築くのは難しい。
自分のキャラクターや、プライベートな部分を知ってもらいたいと思う一方、それが難しい情勢だけに自分からグイグイ行くのもできなかった。
2022年、1年目に配属された部署で引き続きお仕事。
雲行きが怪しくなってきた。
社内と社外に挟まれてモノづくりをスムーズに動かさなければいけない難しい部署で段々と仕事の立ち回りを理解しつつもやっぱり自分1人じゃ何もできなくて、本当に社内外の色んな人にお世話になった。
どうやら私は、他人の目に「器用に物事をこなせる」ように映るらしく、いろいろ仕事を振ってもらったが実際はそんな器用な人間じゃない。
頭で理解して落とし込んでからじゃないと身体を動かせないし、判断材料が揃わないと決定打を打てない。
「適当にやっといて。」の指示が一番苦手だった。
正直何度も逃げ出したくなった。
「絶対3年で辞めてやる」って意気込んだ。
でもそんな私のそばで色んな選択肢を用意してくれて、私が判断できるようになるまでいつも付き合ってくれた、そしてプライベートも共有してくれる素敵すぎる先輩がいた。
この人だけは裏切れないし、絶対に力になりたいと思った。
私の決意が「3年で辞めてやる」が「3年で絶対一人前になってやる」に変わった瞬間だった。
このままではダメだと仕事メインの生活に切り替え、情勢や自分のライフプラン的にも今のアルティメットとの距離感は違うと思い、完全に離れた。
そこから色々動き出した。
2023年春、事務職から営業への異動が決まった。
自分にとっては突然だった。
確かに入社時の面接でも営業職を希望していた。
ドイツ語を活かすチャンスを手に入れるにはここでは現時点で営業しかなかった。
「チャンスを掴もう」と思う反面、辞めたくなるくらい気持ちが沈んだ私を引っ張り上げてくれた先輩に何も返せず異動になり複雑な気持ちだった。
異動後は出張が増え、今までデスクワークをしてたことが信じられなくなるくらい、色んな意味で落ち着きがなくなった。
おかげさまでフッ軽も復活し、活動的な部分が表向きになり交友関係も広がった。
それとともに人と「食」の時間を共有することが増えた。
やはり私が思う「心地いい人間関係」を築いていく上で「食事の時間をストレスなく過ごせるか」が大きな判断基準だと再認識した。
ここに違和感を感じると、それ以外のコミュニケーションも大体うまくいかない。
別に他人のご飯の食べ方を否定するわけではないけど、「あ、私と合わないな」と確認するまで。
それがわかったら人間関係を進めるか、ここまでかを判断するのが簡単になった。
営業職になり人との会食が増え、なおさら感じる部分だった。
マインドが上向き傾向になり挑戦したいことが増えた。
やる気が出てきた。
自分で決めた義務教育の3年間はどうだったんだろうか。
とりあえず、辞めずに頑張れたことは一つ自分を褒めてやろう。
(よしよし、よくやった。)
この3年は特に思考回路の矢印が自分に向いていた気がする。
ひとり旅や出張の行き帰りの新幹線は「自分」を考えるいい時間だった。
ジャンルを問わず本を読んで、いろんな考えに触れたり、自分の譲れない部分を再確認したり、自分の望む未来をぼんやーり考えたり。
仕事で嫌なことがあっても自分でご機嫌を取れるようになったと思う。
大人になったら当たり前だと思ってたけど、意外とこれが大事な要素で私は案外簡単に気分転換ができるタイプだとわかった。
ただ、3年という一つの区切りを達成できたことは間違いなく自分の頑張りではなく、周りのおかげ。
職場で馴染めてなかった私を輪に入れてくれた先輩達。
定期的に毒抜きと息抜きに付き合ってくれた親友。
どんな言語をチョイスしても自分の思う感覚やニュアンスを汲み取ってくれた腐れ縁達。
気持ちが落ち切った時も嬉しい報告ができた時もあったかいご飯を用意して待っててくれた家族。
工具の使い方も分からない私を出張に連れ回していろんな経験をさせてくれた職場のお父さん達。
素敵な人に恵まれてどうにか3年やれました。
たくさんのありがとうを伝えたい。
多分伝えきれてないし、これからもお世話になる気しかしないからありがとうと言い続けるしかない。
この3年はもちろん楽しいことばかりではなかったし、ネガティブな感情に覆われることが多かったけど。
それでも小さな達成感や些細な幸せを噛み締めて進めてこれてよかったと思う。
自分にも少しだけ「頑張ってこれてありがとう」と。
さあ、社会人4年生、色んな人に手をかけて育ててもらった工場から場所を変えて、グループ会社に出向と新天地でのスタート。
自分の学歴や経験・経歴とは程遠い職種へ本格的に挑戦する道のりが始まる。
もちろん不安がないわけじゃない。
正直いえば不安しかない。
ただ、これから望む未来を繋げるためにも、この道で挫けるわけには行かないのだ。
やれることからやるしかない。
またたくさんの人の手を借りることになりそうだけど、自分らしさを忘れず頑張らせてもらいます。
お世話になりました。
そしてこれからもお世話になります。
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