『黒牢城』の感想

すごく良くできている。
とても良くできている。
が、ボンボンショコラの方が好きなのである。

一般的にはこちらのテーマが評価されるだろう。信仰の価値については『折れた竜骨』よりも明確に書かれ、飲み込みやすい。
ミステリ的合理からの離脱をミステリ内で描くのは離れ業だ。
ただ、最近の自分は人間臭い事の価値を重めに見ているので、解決編に驚きがあまりなかった。人間から逆算するとそうなるというお話だからだ。
ミステリに淫していた時に読んだのならば、とてもショックを受けただろう。年をとったということなのだろう。だから、小市民や古典部が眩しく見え、書かれる価値を感じる。
両方書ける米澤先生が凄いのだが…。

最後のエピソードの書かれる方だと官兵衛くんは改心しましたみたいな感じだけど、歴史的には全然そんな事ないのでほっこりする。
戦国時代やから、それはそれ、これはこれなんや…。

悪意で〆ないのが最近の流れみたいだが、『王とサーカス』みたいな無体な仕上がりが好きなので、次は大刀洗シリーズをがんばって欲しい。

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