完璧主義が崩れた話
「もう、完璧じゃなくていいんじゃない?」
突然、頭の中の私がこう話しかけてきたのだ。
以前の記事でも書いたが、私は完璧主義なところがある。100点を取りたい。欠けているものは許せない。友達に、自分自身に負けたくない。
頭の中の私はそんな私の性格を体現した人物で、すごく厳しい。考え事をするときや、大事な選択では必ず頭の中で対話をして決めることにしている。彼からの厳しい指摘に何度も耐えてきた。
そんな彼が、完璧でなくていいと言い出したのだ。一体全体どうしたのか。
その理由は私にも分からない。
でも、1つ心当たりがあるとすれば。
私はついに私の限界を認めてしまった気がする。
何にでもなれると思っていた。自分は天才だと思っていたこともあった。自分よりずっと上の人を眺めて、いつか自分もあんな風になれるって、そう思っていた。
全力で前に闇雲に進んでいた。辛かった。100点を取りたい自己顕示欲だけがそれを後押ししていた。
現実は甘くなかった。何をしても自分の上位互換がいた。自分が自信を持っていたことだって、完膚なきまでに打ち砕かれた。自分の足りないステータスに、重ねられない努力に、甘さに。
上の人を眺めて、「こうなりたい」よりも、「こうなれない」と思ってしまったあの瞬間に。
私を支えていた自己顕示欲という名の向上心が途絶えてしまった。
ついに私は、立ち止まれたと思う。良くも悪くも、「自分はこのくらいの人間」と分かってしまったんだろう。ようやく立ち止まれた安心感と歩きを止めた罪悪感。そこでも板挟みになる私の心情を、完璧主義ながらに少しは感じ取ってくれたのかもしれない。
「もう、完璧じゃなくていいんじゃない?」
その真意は諦めを含んでいるのだろう。私が歩みをやめたところで、その棘は、その毒は簡単には抜けそうにない。
彼からの追及はまだ続く。