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スロースタートだったTHIS IS US シーズン5

前回のnoteは↓から


コロナの影響で放送開始が遅れた THIS IS US シーズン5も、年末年始のブレークを挟んで順調に話数を重ねていっている。しかし、そのスタートは必ずしも幸先よくという訳ではなく、1話がimdbの評価だと過去最低の7.5になっていた。

(最低スコアが7点台というのもなかなか凄いことだが…)


何かが悪かった、つまならかった、というよりもただずっと陰鬱だったのだ。THIS IS USの世界でも、こちらの世界と同じようにパンデミックとBLM運動が起きていた。だから、日本よりさらに過酷な2020年を経験したアメリカの世相を反映しただけで物語そのものが一気に暗くなってしまった。

コロナはともかく、BLM運動に対しては同じ兄弟であっても黒人であるランダルと白人のケヴィン、ケイトでは受け止め方が異なる。その微妙だが決定的な「差」を改めて認識させられたランダルは、黒人としてのアイデンティティをより意識した行動を取り始める。

imdbでの低評価の多くは、ニュース番組じゃないんだからドラマの世界にまで現実の惨状を持ち込まないでくれという怒りの声だった。このドラマに辛い現実を忘れられるような心温まるエピソードを期待していたとしたら、低評価レビューを投稿したくなる気持ちも分かる。

それでも、シーズン間の空白を総括するような息苦しい序盤が終わるとTHIS IS US本来の良さが出るようになっていった。

心の痛みと向き合う

このドラマの主題を追いかけるのは難しいが、物語がフォーカスする対象が少しずつ移動していることだけは分かる。最初はジャックから始まり、彼の死の謎が明らかになるとやがてレベッカへと移り、今シーズンはケヴィン、ケイト、ランダルのBIG3それぞれの現在が主題になっているように見える。

かつてなく過酷な2020年、2021年を乗り切るために、子供を育てる親になるという人生の変化を受け入れるために、自らが持つ心の傷、痛みと向き合わなければならない。

それは前シーズンから継続していることであったり、今シーズン初めて明らかになる過去の出来事だったりする。

激しい感情を出さずに視聴者に訴えかけるのがこのドラマの良いところだと思っているが、珍しく最新話ではランダルともう一人の女性が心の痛みを発散させるために絶叫していた。

彼らの痛みの根幹は別のところにあるが、そのシーンはコロナ禍で様々な負の感情を抱え込んでいる視聴者に代わって、苦しみを外に出しているようにも思えた。


希望

2021年もきっと楽しい一年にはならないだろう。なにより辛いのは、「外に出るのが危険」というこの状態に終わりが見えないことだ。

製作者の当初の思惑とは別の形だろうが、シーズン4で垣間見えたような遠い未来が存在することは、パンデミックが収まるのをただ待つしかない私達にとっても希望に思えてくる。少なくともこのドラマでは、登場人物の多くがコロナを無事に乗り越えられた未来が待っているのだと。

シーズン4の終わりで流れた胸の高鳴りを表すような、ジャックのテーマのアレンジ曲は「希望」というタイトルだった。

暗いスタートだったシーズン5も最後には希望に辿り着けると信じて見守りたい。


1/20追記

コロナ起因の撮影スケジュール遅延のため、さらに2週間ほど再放送を挟むとのこと。このペースだとシーズン5が終わる頃には夏になっていそうだが…。


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